教職員の研修ー不登校の急増と子供の変化に対応するために

2022年8月31日[カテゴリ:学校教育, 質問

 先月、モリアオガエル保存会の取り組みについてお話を伺うため山口中学校にお邪魔した際に、無理を言いまして、学校体育館に設置されたエアコン(平成30年12月議会一般質問で提言した内容を掲載したコラム「学校体育館へのエアコン設置①」が開きます)を見せて頂きました。

 体育館の窓を開けるだけで涼しい風が吹いていた日でしたのでエアコンは稼働していませんでしたが、ようやくその実物と設置された様子を見ることができました。

西宮市内の中学校体育館に設置されたエアコン

 また、今月の8日(月)には、西宮市総合教育センターで、夏休みの間に市内の市立学校の教員を対象に行われた「ライフスキル教育研修」の現場を見学させて頂きました。

「ライフスキル」とは、世界保健機構(WHO)が以下の通り定義しています。

日常生活に生じる様々な問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な能力

具体的には、
・意志決定
・問題解決
・創造的思考
・批判的思考
・効果的コミュニケーション
・対人関係
・自己認識
・共感性
・情動への対処
・ストレスへの対処

と10の能力が定義されています。

 私たちは、教員向けの研修の現場を見ることはなかなかできないので貴重な機会でした。
 ライフスキルを子供たちに教えるためには、まずは大人が学び続ける必要性を実感します。中核市である西宮市は、県費の教職員の研修を任されていますので、市にはこれからもその権限を発揮して、時代の変化に合わせて内容を発展させ、子供たちの教育環境の向上につなげてもらわなければなりません。

 今回のコラムも、令和4年6月議会で取り上げました不登校対応に関する議論を掲載します。保護者から学校の先生の子供に対する理解不足を指摘されることが多いため、質問は「家庭教育支援」の項目の中で問いましたが、内容は、学校の教職員の方々への研修の強化についてです。

====本会議での議論の概要====

令和4年6月議会一般質問より

1.不登校の対応について
ア)家庭教育支援
(教員の研修の向上)
■質問の背景(田中まさたけ)

 私が受ける相談の大半は、先生の対応が不登校の要因となっている事例が多く、資料3及び4(←クリックすると資料をご覧いただけます。)に掲載致しましたが、文部科学省が行った不登校児童生徒本人を対象とした実態調査では、先ほどの調査結果とは大きく異なり、不登校になるきっかけに先生との関係を挙げている児童生徒が3割近くに及んでいるとの結果が示されております。

■質問(田中まさたけ)
 不登校の未然防止に向けて、発達障害の特性や新しい概念として認識されつつあるハイリーセンシティブチャイルド(HSC)などに対する理解を深めることも含めて、教員の指導力の向上を図る体制が必要と考えます。教育委員会の今後の対応をお尋ね致します。

■教育委員会の回答
 教育委員会では、教員の指導力向上を図るため、要請がある学校に対して不登校対策研修を行うとともに、今後、各校の不登校の実態に合わせた研修を充実させることで、教員の力量を高めてまいります。
 また、各学校に出向き、教育支援センター「あすなろ学級」の紹介、県内施設などの情報も提供しています。さらに、定期的に開催される不登校担当者会や生徒指導担当者会においても、不登校児童生徒に関する最新の情報を提供し、共有しています。

 このような取組みを通して、学校では、不登校の悩みを担任一人が抱え込んでしまわないよう、組織的な対応を基本とし、必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど外部の人的資源を生かしながら取組みを進めているところです。このような取組みを着実に進めることで、不登校の未然防止、初期対応の強化が図られると考えています。

 今後も、魅力ある学校づくりを目指して、授業づくりや特別活動での仲間づくりなどにより、新たな不登校児童生徒を生み出さない取組みを充実させ、学校が居心地のよい場所となるよう努めてまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 まずは、先生方に対します発達障害であったりHSCなどの子供の特性について理解を深める研修、実態に合わせた実効性のある研修、この実施を要望しておきたいというふうに思います。

====ここまでが本会議での議論の概要====

 時代の流れにより、新しい課題が次々と生じている学校現場では、研修の強化による教員の対応力の強化が喫緊の課題であると感じます。その研修を受けてもらうためには、教員でなくてもできる仕事を引き受けてもらえる体制の強化も大切だと思っています。

 今回の議論では、研修の強化については、「今後、各校の不登校の実態に合わせた研修を充実させることで、教員の力量を高めてまいります。」の部分だけ前向きの回答が返ってきたようにも見えますが、不登校になる児童生徒が増えている要因が適切に把握できているのか、教育委員会による要因の把握が曖昧な中で、本当に「対応力を高めるための研修が実施できるのか」不安の残る回答でした。

 今後、具体的に何をどのように強化したのか、研修の効果についても、注視したいと思います。

 令和4年6月議会一般質問での不登校に関する一般質問の内容は、次回以降も続きます。

●●●●フェイスブック投稿より●●●●

■8月20日投稿

 先週、ライオンズクラブが提供している「ライフスキル教育」の研修が西宮で実施されましたので、一部とはなりましたが現場を見学させて頂きました。
この研修の目的は、
・(学校で)よい集団をつくる
・健康で実り多い人生の基礎となる「ライフスキル」の指導を行う
・子供たちが薬物に関わらない生活を確立する
・地域や学校をよりよくするために、子供たちが奉仕活動を企画し実施する
・子供たちと家族・友人・学校・地域とのつながりを強化する
ということを先生方に実践して頂くとしています。
 
 西宮市の小中学校に勤務している有志の先生方に受けて頂いていますので、大変意欲的に研修に取り組まれている様子を見せて頂きました。

■8月6日投稿

 市民からモリアオガエル保存会について情報を頂いたので、山口中学校の有志の生徒と先生方が続けておられる取り組みについて、今週、先生よりお話を伺う機会を頂きました。
環境の変化により、兵庫県では、モリアオガエルは絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

 ビオトープや「モリアオさんの家」の中を見せて頂きました。
 昭和43年から始まった活動で、平成18年には環境大臣賞、令和2年には野生生物保護功労賞の文部科学大臣賞を受賞されている取り組みであることを知りました。
 
 年間約50万円の経費をかけた活動に対して、環境学習都市宣言をしている西宮市からは、文化財課から7万円の補助金が出ているものの、環境学習活動としての経費補助はなく、大部分を有志の生徒が負担して取り組まれているそうです。
オタマジャクシの生態や卵塊の調査、エサにベビーフードを使用するなど、研究活動もされています。
大学との協働も含めて、もう少し市の協力、支援があってもいいのではないかと感じました。
 
 また、私が学校体育館へのエアコン設置に取り組んでいたことを先生がご存じでして、ご配慮により、クラブ活動が行われていた体育館も見学させて頂きました。
 風が吹いて比較的涼しかったので、エアコンは稼働していませんでしたが、貴重な視察をさせて頂きました。

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