私道下の水道管の老朽化対策ー令和5年9月議会一般質問

2023年9月29日[カテゴリ:公共施設マネジメント, 質問

 今回からは、令和5年9月議会で行った一般質問の内容を連載します。
 
 まずは、水道管の管理についてです。

 全国的に、水道管の老朽化が問題となっています。水道事業は、水道の利用者、つまり、私たち市民等から徴収している水道料金を原資として、水道管や浄水施設等施設の更新を計画的に進めています。

 その水道管は、道路等に埋設されていて更新には多額の費用がかかることは容易に想像がつきます。

 そして、特に昭和の時代に開発された住宅地に見受けられますが、開発時に設置された道路の中に、市に移管されずに私道のまま住民等が保有し、管理されている道路があります。
 建築基準法第42条第1項第5号の規定に従って、同一敷地内に住宅を数軒建設するために設けられた「位置指定道路」と呼ばれる行き止まりの道路も私道です。

 また、私道の両端が公道につながっていてその土地の住宅の住民以外の人たちが通り抜けができる道路でも、私道のままになっている箇所も多数あります。アスファルト舗装もされていて、普段通っていても、市道と見分けがつかない箇所もあります。

 それら私道の下に埋設されている給水管は、数軒で共有している水道管でも基本的には私有となっており、管の管理、老朽化による更新は利用者が行うことになっています。
 しかし、管理組合等を作ってメンテナンス費用や更新費用を積み立てている事例は少なくメンテナンスが十分にできていないこともあってか、漏水が発生した場合、市上下水道局が補修工事をしています。

 件数の推移は資料の通り(←クリックするとPDFファイルが開きます)です。

 現在は、開発が行われた段階で、開発事業者が市の規格に合わせて道路や埋設管を整備して、工事完了後に市に引き渡しされていることが多いものの、昔に開発された住宅地においては、そうではないところが見受けられます。
 
 住民さんから他市の事例について情報提供を受け、近隣ではお隣の尼崎市さんなど、私道に埋設された共同管を市の水道局が引き取っている事例があることが分かり、本市でも制度化を検討できないか、本会議一般質問で取り上げて議論しました。 

====本会議場での議論の概要====

令和5年9月議会一般質問

1.水道管の老朽化対策について
ア)開発道路等の私道で共同利用している給水管
■質問の背景(田中まさたけ)

 まず、お手元の資料の表1(←クリックするとPDFファイルが開きます。)に、近年の給水管の漏水修繕の件数をお示ししました。
 市は令和4年度に管類、付属物を合わせて623件、無料で対応されております。そして、近年は年間600件前後で推移しておりますが、そのほとんどが老朽化によるものだそうです。

 さて、以前より、昭和40年代に開発されました住宅地の私道に埋設されている給水管の老朽化対策について、住民の皆様からご相談をいただいておりました。

 当該給水管は、延長約270メートル、29世帯で共同利用されており、近年、漏水が頻繁に発生して工事が行われる状況となり、(共同利用している方々の費用負担により)漏水管の更新を検討されております。しかし、老朽管の更新には多額の費用を要することから、住民の合意形成が難しく更新することが困難な状況となっております。

 そこで、不特定多数の往来がある私道であることから、市上下水道局に対して、当該給水管の移管を希望されておりましたが、上下水道局は私道の公道化に合わせて移管受けを行うとの協議を行っていると聞いております。
 住民の皆さんは、(私道の)公道化に向けて検討を進められておりますが、道路を市が引き取るためには、様々な基準を満たす必要があり、さらに多額の費用負担を伴うことから、行政による何らかの支援がなければ困難ではないかと推察しております。
 
 他市の事例を調べましたところ、資料には北九州市の制度を掲載しましたが、既存の老朽管が給水している戸数や、私道の幅員、私道が不特定多数の用に供していることなど、条件は自治体によって異なるものの、多くの自治体で水道の安定供給のために、水道局が私道に配水管を整備する制度を設けている事例がございました。
お隣の尼崎市にも制度がございます。

 しかしながら、本市では、私道に埋設された給水管を移管受けした事例はございますが、市の制度としては確立しておりません。

■質問(田中まさたけ)
 本市においても、開発道路等の私道で共同利用されている給水管の老朽対策として、一定の条件を満たした私道に埋設された給水管を、上下水道局が移管受けする制度を導入すべきと考えますが、見解をお尋ねいたします。

■市上下水道局の回答
 水道管の老朽化対策についてのうち、まず開発道路等の私道で共同利用している給水管(以下「共同利用管」)の老朽対策として、一定の条件を満たした私道に埋設された共同利用管を、上下水道局が移管受けする制度を導入すべきとの御質問にお答えいたします。
 市内において多くの私道の中に、上下水道局が所有していない共同利用管が存在していることは把握しております。
 議員御指摘のとおり、過去に住民の方に一定の負担をしていただいた上で、将来の市道移管を条件に共同利用管の移管を受けた事例もございます。また、神園町のように、開発された時期から相当の期間を経ている箇所もあり、老朽化した共同利用管の更新については、住民による費用負担の面から困難になっているという問題があることも認識しているところでございます。
 
 局では、これまで共同利用管に漏水が生じた場合は、無料にて修繕を行い対応している状況でありますが、修繕回数の増加や有効水量の減少は局としての損失につながるのではないかとの懸念もあることから、今後、私道の道路使用や道路占用に係る協定の締結や、一定の負担をお願いするなど、共同利用管の移管に際しての条件を整理してまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 開発道路等の私道で共同している共同管の対応につきましては、移管受けの制度化に向けて、非常に前向きの御答弁をいただいたと思っております。ありがとうございます。前例にとられることなく、早急に条件等を整理していただきまして、制度化を実現されるよう要望します。

====ここまでが本会議場での議論の概要====
 
 制度の創設に向けて動き出すことは期待できると思います。
 しかし、その引き受ける管の規格や引き受ける際の老朽化対策、それらの対応に要する住民の費用負担の額など、今後、注視する必要があります。

 次に、公道であっても給水管が整備されていない箇所についても、取り上げました。次回以降のコラムに掲載します。
 

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