水道管の老朽化対策について②ー給水管の管理

2023年10月9日[カテゴリ:公共施設マネジメント, 質問

 前回のコラムの続きです。
 
 水道管の老朽化対策として、公道の下に配水管が埋設されていない箇所で生じている不公平の是正についても取り上げました。

 水道管の老朽化対策と不公平の問題は一見関係ないようにも感じるかもしれません。しかし、そうではないのです。

 普段生活をしている中で、道路の下に埋設されている水道管のことを意識する機会はあまりないと思います。
 市上下水道局は、浄水場や配水場から全市の住宅エリアに配水管を巡らせて水道水を供給しています。そして市民は、自分の家の近くの「配水管」から家まで「給水管」を接続して、水道を利用することができています。
 配水管までは、市の上下水道局が整備、維持管理をすることになっています。まずはこの市が維持管理する水道管が漏水したり破裂したりすることのないように、計画的に新しい管の入れ替えをする必要があります。
 そして、給水管は、前回コラムで問題にしたとおり、私有の管ですから、所有者がメンテナンス等管理をする必要があります。

 そして、特に戸建てですが、家を建てるときにはこの給水管を引かないといけないのですが、家に接道している公道に市の水道配水管が埋設されていない場合、自宅から配水管までの距離が長いと、その分、給水管を自宅まで引いてくる管の長さが長くなり、その距離が長ければ長いほど道路を掘る距離も長くなるわけですから、工事費が非常に高くなります。

 つまり不公平が生じることになります。

 これは、新たに家を建てる場合だけではなく、家を建て替えたり、給水管が古くなって入れ替える際にも直面する課題となります。

 そして、この問題を放置していると、家を建て替える際に給水管だけは放置され、給水管の老朽化が進んでいく可能性も高まり、漏水による人身事故のもとになる可能性も否めません。

 私有管が管理不全状態でも、市には責任はないということになるのですが、人の命にかかわる事故が想定される限りそうはいきません。

 そこで、水道管の老朽化対策を一層進めるためにも、配水管までの距離の不公平を是正して、私有管の適切な管理を促せないものか一般質問で取り上げて議論しました。

====本会議場での議論の概要====

令和5年9月議会一般質問

1.水道管の老朽化対策について
イ)公道に配水管が埋設されていない箇所の対応
 建築基準法では、建築物を建てるためには幅員4メートル以上の公道への接道義務が課されておりますが、その公道に配水管が整備されていない場合、同じ公道に接している住宅でも同じ配水管から宅地までの給水管の距離に大きな差が生じ、給水管の更新に要する工事の費用負担に不公平が生じている箇所がございます。

■質問
 上下水道局は配水管が未整備の公道において、必要な箇所に計画的に配水管を整備することで、積極的にこの解消を図るべきと考えますが、見解をお尋ねいたします。

■市の回答
 現在、公道において配水管が未整備である箇所が多く存在していることは認識しておりますが、水道管路の整備については、漏水事故時に市民生活への影響が大きい配水幹線などの更新を優先して行っており、更新事業が一段落するまでは、配水管の未整備箇所の対応に時間を要している状況です。
 
 今後、管路更新事業に合わせて配水管未整備箇所の解消を促進するためには、財政面での検討が必要であり、今般、国が進めている水道行政の厚生労働省から国土交通省への移管に合わせ、国庫補助制度の見直しも行われていることから、情報収集を行いながら補助採択基準の要件緩和などを求めてまいります。

■意見要望
 公道への配水管の整備につきましては、財源の確保に向けて国に働きかけねばならないことを改めて認識をいたしました。水道管を適切に管理できる環境整備は、国民の命の源でもあります水の安定供給、そしてまた水道料金にも関わる問題でもございますので、今後もしっかりと課題に向き合いたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 私道を含めて、老朽管を放置し続けていると、私たちが道路を通行している際に、道路が陥没したり、水道管の破裂により大けがをするようなことにもなりかねません。

 これまで厚生労働省が所管していた水道事業の、特にハード面での支援は少ない状況でした。一方で、下水道を所管をしている国土交通省は、雨水の排水にもかかわり、災害対策の観点もあることから、補助金等支援が手厚い状況でした。

 そして、令和6年4月より上水道と下水道の所管が一元化され、国土交通省が所管することになりました。

 命の源である水道を供給するための管の維持管理に対しても支援をいただけるよう、国に対しても求めていきたいと思います。

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