財政規律を維持する仕組みー令和6年3月議会代表質問

2024年3月27日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

 前回コラム(←クリックするとコラム「子どもの医療費完全無償化実現のめどは?」が開きます。)の続きとなります。

 財政規律を守りながら財政運営をするのは、地方行政の基本と言っていいと思っています。
 国のように通貨発行権もありませんから、地方財政法により借金をするのにも、いろいろと制限がかけられています。ですので、災害が発生したわけでもないのに、目先の収支改善を、慌てて何年もかけて行わなければならないような状態になるなど論外 と言ってもいいのです。

 前々回のコラムにも掲載した通り、本来は、社会情勢の変化に行政が対応できるように、真に「財政構造」を変えていくこと必要があると考えてきました。

 財政規律については、16年前に提案した際に、その提案に対して市が取り組むと回答した「公共事業評価」や「施策評価」については、機能させてこなかったははっきりしました。

 財政規律のルール化について再び議論することになるのは残念な思いでいっぱいでしたが、過去の失敗を踏まえ、令和6年3月議会代表質問において、実効性のある財政規律のルールの策定について再び提案しました。

===本会議場での議論の概要===

令和6年3月議会代表質問

1.財政運営について
ウ)財政規律の確保
■質問の背景(田中まさたけ)

 私は、恒常的に健全な財政運営ができる市政運営が必要であると考えております。経常経費を伴う新規事業を行う際には、必ず既存事業を廃止するなどして一般財源を確保するという、この当然の財政規律を守りながら、まちづくりや福祉の充実を計画的に図るべきと考えております。
 
 このことは、平成20年度まで行われました第3次行財政改善実施計画の期間が終わる前から、この本会議場で提案、指摘をしてまいりました。しかし、その提案は放置され続け、再び財政状況の悪化を招くという結果になったわけです。
 今後はその反省に立ち、その場限りではなく、長期的な影響も勘案しながら、計画的に事業を実施するという堅実な行政運営が可能となる仕組みや明確なルールが必要だと改めて痛感しております。

■質問(田中まさたけ)
 平成20年度に第3次行財政改善実施計画が終了した後も、行政経営改革を進めてきたはずですが、15年を経過して、再びこの財政構造改善計画に取り組まなければならなくなったことについて、市長はどのように評価されているのか、お尋ねをしておきます。

■市の回答
 本市は、阪神・淡路大震災以降、3次にわたる行財政改善実施計画の取組によって、深刻な財源不足を回避することができましたが、その後は、結果的に、投資的事業を大きく抑制したことから、公共施設の老朽化対策が不十分であったほか、高止まりした経常収支比率の改善には至らず、財政構造の健全化は引き続き課題となっておりました。

 令和元年度には、行政経営改革基本方針を策定し、財務マネジメントを含む四つの柱による取組みを進め、令和2年度から4年度の3か年で約47億円の効果額を出したものの、扶助費などの社会保障関係経費や公共施設の老朽化対策にかかる経費の増大などにより、引き続き厳しい財政運営を強いられる状況となっております。
 赤字基調に陥った要因としましては、平成30年度以降、公債費が下げ止まりとなり、扶助費などの増を吸収し切れなくなってきたことや、歳出の増に見合うだけの歳入の増になっていないことによるものでございます。

 また、3次にわたる行財政改善実施計画の取組み以降、事務事業をスクラップする取組みが十分ではなく、歳出削減が進まなかったことも要因であると考えております。

 市としましては、早急に赤字体質である財政構造の抜本的な改善に取り組む必要があると考えており、西宮市財政構造改善基本方針の策定に至ったものでございます。

■再質問の背景(田中まさたけ)
 再び、財政改善に集中的に取り組まなければならなかったことに対する評価案につきましては、
まず一つ目に
・扶助費など社会保障関係経費が増大したこと、
そして二つ目に、
・公共施設の老朽化対策にかかる経費の増大、
 を挙げられました。

 今後こうした課題を解消するためには、さらに経常収支比率の改善や、投資的経費を抑制することなく収支改善、構造改革を実現していかなければならないと考えておりますので、今後とも強力に取組みを進めていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、
・事務事業のスクラップをする取組みが十分ではなかった
 ということも要因として挙げていただきました。

 しかし、この事務事業のスクラップについては、そのときの雰囲気で判断をするだけではなかなか進められるものではないということはこれまで幾度も経験してまいりました。
 
 昨年から、この本会議場におきましても、この財政規律をルール化する条例を制定すべきとの趣旨の提案もなされておりまして、市のほうは否定的ではありますけれども、この財政規律を守る仕組みを明確にルール化しておくことについては、私も賛同するところでございます。

■再質問(田中まさたけ)
 新年度に5年を計画期間とする財政構造改善計画を策定されるとのご報告が先日ございましたが、恒常的に財政規律を守って、市政運営に当たることをルール化するためにも、まずはその計画を計画期間内に毎年更新しながら取組みを進め、この5年後以降も財政構造改善を続けていくという内容とするべきと考えますが、市の見解をお尋ねしたいと思います。

■再質問に対する市の回答
 財政規律を維持することは重要であり、財政運営にかかるガイドラインを策定することも検討しているところでございますが、まずは早期に財政収支の均衡を目指す必要があると考えております。

 毎年の決算等の節目で、財政収支見通しを見直すとともに、財政構造改善実施計画について、必要に応じて取組内容の見直しを行うなど、適切な進捗管理を行い、早期の財政収支改善に努めてまいります。

 財政構造改善の取組みは、令和10年度までの5か年の取組みとなっておりますが、その後も常に財政収支の状況を見据えながら、引き続き取組みを進めてまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 御答弁の中で、まずはガイドラインを策定するということに触れられました。
 このガイドラインですが、これまでの経験、傾向でいいますと、例えば、前の行政経営改革の中では、PFI推進指針、アウトソーシング推進指針の作成などがございました。
 指針とかガイドラインをつくっても、常に全庁で使わざるを得なくなるような仕組みがなければ意味をなさないということも経験してきたはずです。

 ですので、財政構造改善計画を今後策定するにあたっては、目先の、場当たり的な収支改善ではなくて、恒常的に堅実な財政運営を可能とできる仕組みを意識して策定にあたっていただきたいと思います。

===ここまでが本会議場での議論の概要===

 近年の政策に関する意思決定過程に問題があったという反省に立ち、今後策定される財政構造改善計画については、中央図書館の移設や中央体育館の建替えのような投資的事業も、子供の医療費無償化のような施策的事業も、西宮市総合計画も踏まえながら、新規事業を計画するたびに、その財源を、事業実施までに新たに生み出せるよう毎年財政構造改善計画を見直していくというルールが必要だと考えました。

 事業のスクラップ、廃止については、本来は、毎年発行されている事務事業評価を使って、議会の決算審査においてもっと時間をかけて協議をして、各委員がおのおの意見を言うだけではなくて、議会としての提言をまとめて市に対して提出するような取組みが必要だと考えてきました。なかなか実現までの道のりは遠いです。

 市役所が主導してそうした取り組みを実施するとなると、昔、少し流行った「事業仕分け」のような取り組みになるのだと思います。このやり方は、住民の意向を反映できるとは言い難いことから、私は良しとはしていません。

 新たに実施する事業と、それに伴ってやめる既存事業を天秤にかけて、市民に説明責任が果たせる政策判断をしていかなければなりません。
 しかし、市はまだ、なんとなくガイドラインを作ってごまかそうとしているようですので、引き続き、現場での政策の議論を通じて、財政問題についても注視してまいりたいと考えています。

フェイスブックの投稿

■3月24日投稿

明日25日(月)は、いよいよ3月議会の最終日です。
いろいろと課題の多い内容ですが令和6年度の予算が決まる予定です。
その他、教育長が文部科学省からお招きする方に交代するという議案や市役所職員の給料に関わる議案など重要議案が目白押しで、午後から開会する予定の本会議では討論もたくさん行われると思われます。
私は「年金制度における外国人への脱退一時金の是正に関する意見書提出を求める請願」について賛成討論する予定です。
外国人労働者が増加している中で、他の市議会では可決している内容ですが、西宮の民生常任委員会では僅差で不採択となりました。
明日の本会議でどのような結果になるのか、以前の本会議で行った代表質問の結果も合わせて、改めて発信していきたいと思います。
今日はあいにくの雨でしたが、新しくオープンした西宮地方卸売市場で行われた「2438マルシェ」というイベントの様子を見てきました。
市議会では公金投入に賛否両論があった中で、慎重に検討して再整備された施設が市民に活用されて賑わっている様子を見ると少し安心します。

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