中央図書館の移転整備に思うことー令和6年3月議会代表質問

2024年6月29日[カテゴリ:公共施設マネジメント, 質問

 2030年をめどに、阪神西宮北側の土地区画整理事業による大街区化を行った後に、民間主導の再開発事業が行われることが発表されました。

 

 この大街区化するにあたって、市の道路も提供されることになっており、市もかかわる事業となります。

 「公民連携事業」として、ここまではいいお話だったのですが、市役所周辺の公共施設の再編の構想の一環で、わざわざ市がこの大街区化されたところに建設される建物の床の一部を数十億円出して購入し、その床を図書館として活用するという提案が民間事業者からなされ、市長は議会での議決もないままに常任委員会に報告だけして、いわば勝手に民間事業者と協定を結んでしまいました。

 公民連携事業は元来、市が所有する土地の有効活用であったり、市が抱える課題を民間の力を借りて解決していくことであって、その逆に、民間の土地を公共が買って「公民連携事業」として西宮市が実施するとなれば、JR甲子園口駅の駅前も、民間が再開発する建築物の床を市が一部購入して、駅前の再整備をする覚悟はあるのか?という話になります。そうでないと公平なまちづくりとは言えなくなります。

 むしろ、市が土地を購入して初めて駅前のまちづくりを進む可能性が出てくるのは、JR甲子園口駅の北側だと聞いていますし、例えば、建築後60年以上経過している「上甲子園センターを駅前に移転し再整備する」という目的をもって、西宮市民とって重要な交通結節点であり、歩行者の安全確保が必須のJR甲子園口駅の南北の環境を向上できるではないかと私は感じています。

 阪神西宮駅北側の大街区化は、土地の有効利用を図るうえで有効であり、そのためには市道の再編という協力は必要不可欠になりますが、市道に使っている駅前の市の土地を民間に売却することで大きな収入となることは予想されますので、100億円以上を投じた第2庁舎の建設費の借金返済など他の必要事業への財源に用いることも可能となります。

 そして、大街区化された土地は、民間だけで十分に再開発可能と思われますので、市が余分に手出しすることで、かえって邪魔をするだけなのではないかと考えてしまいます。
 また、2階部分のペデストリアンデッキも作る計画のようですが、これも市が整備するようなことになれば維持管理も市が行うことになります。
 つまり、公共の構造物が増えることになるわけですが、アクタ西宮につながるペデストリアンデッキ(市道)や地下駐車場を買ったことで現在どのような影響が生じているのかを見れば、将来の市民負担は容易に想定できます。

 私はまちの維持発展のために、将来世代に対する投資は重要だと思っています。

 しかし、市民からの税金を活用する以上、公共が本当に果たすべき役割を無視して、将来世代にとって見返りの少ない投資は許されないと思っています。

 駅前に図書館を整備することは将来世代にとっていい投資のように一見すると感じますが、それは、同じく駅の近くに存在して、すでに老朽化が進んでいる市役所を建替える際に、複合施設として移転整備することも可能と考えています。そのころには、現在の中央図書館も建築後50年を超えた状態になっています。
 
 駅前の再開発に市が絡むのは、許認可による誘導にとどめるべきで、わざわざ土地を購入して民間によるまちづくりを邪魔する必要などないと思っています。
 阪神淡路大震災で大きな被害が出た西宮北口北東の復興のために都市基盤整備公団(現在のURの前身)が建設した再開発ビル「アクタ西宮」に北口図書館が入っているわけですが、これと同じようなことが、大義がない中で、阪神西宮北側で行われようとしていることを市民の皆さんが本当に理解を示されるのか甚だ疑問です。

 ましてや、一方で、財政が厳しく市民の負担を上げたり、公共サービスの質を下げないといけないと言いながら、アクセスに多少の不便があるとはいえ、わずか40年しか経過していない現在の中央図書館を、「利便性の向上」という目的のためだけに数十億円をかけて移転しようとするわけです。

 せめて、これからの公共図書館としてどのような機能を果たそうとしているのか、民間の複合施設に床を買わなければ実現できない図書館サービスとはいったい何なのか、説明は必須です。
 
 そこで、令和6年3月に行いました市長の施政方針に対する代表質問の中で取り上げて、ぎろんしました。

===本会議場での議論の概要===

令和6年3月議会代表質問

4.まちづくりのビジョンについて
項目の名称は、まちづくりのビジョンといたしましたが、市長の施政方針の中で、住環境・自然環境の項目の中で述べられました中から3点お尋ねをしておきたいと思います。

ア)阪神西宮駅北側エリアの再生における図書館のあり方
■質問の背景(田中まさたけ)

 昨今、我が国においては、少子高齢化、国際化、ICTの進展など、社会情勢が大きく変化する中で、本市のこれからの自治体図書館のあり方が示されることもなく、中央図書館の移転が発表されたときには、違和感を抱かざるを得ませんでした。

 しかも学校をはじめとする公共建築物は、長寿命化等により80年ももたそうとしている中で、(現在の中央図書館が)建築後40年そこそこしか経過していない状態であればなおさら です。
 阪神西宮駅北側の民有地のまちづくり、こちらは評価できる内容と考えておりますが、それとセットのように計画されている市立中央図書館の移転整備については、どの程度の財政負担が伴うのかも分からないまま、意思決定をすることは難しいと考えております。

■質問1(田中まさたけ)
 昨年11月に民間事業者と市長は、互いに連携協力してまちづくりに取り組むことを目的とした基本協定を締結したとホームページに掲載されております。
 今後中央図書館の移転を決めるに当たって、事業スキームや具体的なスケジュールは、いつ頃明らかになるのかお尋ねをしておきます。

■質問1に対する市の回答
 阪神西宮駅北側エリアの再生における図書館のあり方についての御質問のうち、事業スキームやスケジュールが明らかになる時期についてお答えいたします。
 阪神西宮北側エリアの公民連携事業による中央図書館の移転整備については、大街区化による土地の有効高度利用と、駅前立地を生かした中央図書館の機能強化により、本庁舎周辺エリアにおいて、本市の都市格にふさわしい都市拠点の形成を図るものです。
 加えて、大街区化により、道路等の用地を図書館の敷地と建築費の一部に変換し、残りの建築費についても、中心拠点ならではの国庫補助制度を活用することで、通常図書館整備と比べて一般財源の支出を大幅に圧縮することが可能となるものです。
 今回の中央図書館の移転整備を含めたまちづくりは、公民連携が可能なタイミングでしか成り立たず、市としても積極的に事業を推進すべきと考えており、現在事業スキームやスケジュールなどの事業概要について、秋頃に御報告できるよう検討を進めているところです。

■質問の背景(田中まさたけ)
 また先日、公共図書館の運営に指定管理者制度を導入しておられる和歌山市民図書館、こちらを休日ではございましたが見学に行ってまいりました。こちらの図書館では、休日も朝の9時から夜の9時まで開館しておりまして、主に自習室ではありますが、夜まで多くの方が利用されておりました。

(↑日曜日の夕方と晩に駅前の図書館の雰囲気を確認しに和歌山市民図書館に行ってきました。)

■質問2(田中まさたけ)
 今回、この阪神西宮駅北側エリアで、整備が提案されている公民複合施設について、設計及び建築は当然民間主導で行われることになると考えておりますが、そこに新中央図書館が入る場合、魅力的かつ効率的な運営ができるよう、維持管理、運営についても、民間事業者に委託できるよう準備を進めるべきと考えますが、市の見解をお尋ねいたします。

■質問2に対する市の回答
 阪神西宮駅北側への移転整備を検討している中央図書館については、現在、新中央図書館移転整備基本構想及び基本計画を策定中で、令和6年度に実施するパブリックコメントを経て、夏頃には決定する予定です。
 運営体制については、令和12年頃に予定される供用開始に向け、新図書館で計画する新たな取組や機能を踏まえて検討してまいりますが、財政構造改善の基本方針を踏まえながら、効率的でかつ魅力的な図書館運営が可能となるような運営手法を選択する必要があるため、民間委託も含め、十分に検討してまいります。

===ここまでが本会議場での議論の概要===

 市の回答にありました「駅前立地を生かした中央図書館の機能強化」とはいったい何なのか、整備費についても明らかにされていない中で、本当に市の回答にある通り、「通常図書館整備と比べて一般財源の支出を大幅に圧縮することが可能」なのか、しっかりと監視をしたいと思っています。
 そして、運営体制についても「民間委託も含め、十分に検討」という回答を得ましたので、現在、指定管理者制度を導入することで、開館時間が大幅に長くなるなどの機能強化が果たされている事例が増えていることから、運営体制についても、この移転検討を機に議論しなければならないと考えています。

 今年度は、民生常任委員会を担当することになりました。
 将来世代のためになる図書館となるよう、議論してまいりたいと思います。

フェイスブックでの投稿

■6月28日投稿

15日(土)、第77回西宮市民体育大会バドミントン大会が開催され、開会式で開会の挨拶を述べた後、試合を観戦しつつ、役員の方々と協会の活動や体育館の課題について、お話を聞かせていただきました。
中央体育館は、いつ見ても、天井の電気がいくつか切れています。

午後は、やまと郡山城ホールに行ってきました。高校の時に私は音楽の授業を選択していたのですが、その時の担当の先生が退職して、現在、奈良県音楽芸術協会の会長に就任されていて、同級生のグループラインを通じて、協会創立50周年と平城京歌姫音楽演奏連盟創立の記念式典と演奏会にお誘いいただきました。
先生のバリトン独奏は、年齢を感じさせないくらい迫力があり、また、同じ畷高出身の右手のピアニスト樋上さんによる片手の演奏とは思えない独奏なども聞かせていただきました。
郡山城の城跡は、西宮からは車で行くと東にほぼ直線ルートで1時間弱で行けることが分かり、先生の出番が終わったら失礼して、西宮に戻って、スポーツクラブ21安井主催で、オリンピック銀メダリストの朝原さんをはじめNOBY T&F CLUBの方々のご協力をいただいて開催された「かけっこ教室」を見学しに行く予定だったのですが、演奏会での先生の出番が聞いていた時間よりも遅くなったので、今回は、教室の見学は断念しました。
帰りは下道で帰っているとナビで国道308号線に導かれ、酷道と呼ばれている生駒山を越える暗峠(くらがりとおげ)を一人でヒヤヒヤしながら運転して帰りました。

大和郡山市は、リニア中央新幹線の駅の誘致に力を入れている様子でしたが、リニア新幹線という最新技術と歴史や自然が残された古い国道のギャップも感じられた気がします。
近鉄郡山駅の近くで、関西セルラー電話の看板を見つけました。

■6月26日投稿

14日(金)の晩に、他市の市議会議員さんからのお誘いでJ-PANDEという団体が開催されている勉強会にオンラインで参加させてもらいました。
能登半島地震で被災した地域に、大阪府と連携していち早くキッチンカーを派遣し、無料の食事支援を実施され、半年間で約7万8000食を提供した実績をお持ちの枦山義彦さんのご講演を拝聴しました。
これまでに、大阪府内の自治体の防災訓練を企画実施され、防災以外にも、様々な地域課題の解消についても取り組まれてきたそうてす。
防災訓練って関係者以外の参加者が少ないというイメージがありますが、参加者がもっと楽しめたり、有意義だと感じたりできるイベントにすることで参加者を増やした事例を知りました。
ひょっとして西宮市内でも、地域によっては、1万人を超えるような市民が集まる訓練を実施できているところがあるのかも知れません。御存知の方がいらっしゃったら是非とも現場を見てみたいので教えてください。
もっとこの情報を早く知っていれば、先の3月議会の代表質問を作る際に参考にできたのにと、少し悔しい思いをしました。
西宮市の職員にはこうした勉強会に積極的に参加して情報を収集し、民間の発想を取り入れた良い取り組みをどんどん取り入れて企画、実践して欲しいと思います。
あと、災害時だけではなく、平時の地域イベントでも活用可能な移動式のトイレトレーラーの導入の必要性ももう一度考え直してみようと思いました。
キッチンカーの写真は、先日お隣の尼崎市で開催された「尼崎ボウル」を見学しに行った際に撮影したものです。

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