認知症予防ー平成27年12月議会一般質問

2016年6月9日[カテゴリ:質問, 高齢者福祉

 医療技術の向上により、日本では平均寿命が延伸しています。しかし、長期にわたって介護が必要な状況になるのは、できるだけ避けたいとお考えの方は多いのではないかと感じています。
 
 ですので私は、今後は、平均寿命の延伸と合わせて、高齢者のQOLの向上、つまり、介護の必要のない状態でずっと過ごせる、健康寿命の延伸が必要と考えています。そこで、平成24年9月議会一般質問(←クリックするとコラム「介護予防事業の実効性」が開きます。)で取り上げて以来、介護予防の重要性について議論してきました。

 健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。

 平成25年の日本の健康寿命は、男性が71.19歳(同年の平均寿命は80.21歳)、女性が74.21歳(同86.61歳)だったそうです。男性で9年、女性はなんと12年もの開きがあります。
 今後、本格的な高齢化社会を迎えるにあたり、一刻も早く、この健康寿命の延伸に向けて本格的に取り組まなければなりません。

===本会議場での議論の概要===

平成27年12月議会一般質問

2.介護予防について
ア)認知症予防
■質問の背景(田中まさたけ)

 本年1月に厚生労働省から認知症施策推進総合戦略──新オレンジプランが公表されました。

 その中では、認知症になった方の人数を、2012年で462万人、65歳以上の方の7人に1人と推計し、2025年には700万人を超え、5人に1人が認知症になるという推計が示されました。西宮市では、人口推計から計算すると、約2万5,000人にもなります。認知症対策は急務であります。

 認知症の予防として、国立長寿医療研究センターにおいて、コグニサイズと呼ばれる認知症予防に効果的とされる運動が開発されています。これは、ステップやウオーキングなどの軽い運動と、計算やしりとりなどの認知課題を同時に行い、認知機能の向上を図るものです。

 そこで私は、民間事業者が実施している認知症予防の取り組みを視察してきたのですが、そこでは、音楽療法を取り入れて、その科学的理論に基づいて専門的なプログラムが組まれており、参加者は、定額の費用を負担してまで参加し、熱心に取り組んでおられました。

 音楽療法とは、音楽の持つ生理的・心理的・社会的働きを、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上に向けて意図的、計画的に活用して行われる治療的・教育的技法と定義づけられています。
 この音楽療法とコグニサイズを組み合わせた認知症予防の取り組みは、本市においても是非とも試してみる価値があると感じました。また、本市のいきいき体操の模範となった高知市でも、そのいきいき体操の場で認知症予防の運動を取り入れようとしていると伺っています。

■質問(田中まさたけ)
 認知症の一般介護予防事業としてコグニサイズや音楽療法を取り入れ、認知症予防を普及すべきと考えますが、認知症予防に関する市の見解と取り組みをお尋ねいたします。

■市の回答
 本市では、高齢者の増加や長寿命化に伴い、今後、認知症の方が増えてくることが予測されるため、認知症予防への取り組みが必要であると認識しております。

 また、国が推奨するコグニサイズや、心理療法の一つである音楽療法は、認知症予防に効果があると期待されているため、取り入れていきたいと考えております。
 
 一般介護予防事業として実施しております西宮いきいき体操では、運動機能や口腔機能向上のための体操に加え、認知症や栄養に関する講義をプログラムに取り入れております。
 これまでの西宮いきいき体操の前に行っている転倒防止のための準備運動とコグニサイズの内容が類似する部分がございますので、今後は、これまで行ってきた準備運動にコグニサイズの要素をしっかり加えた上で、参加者に認知症の予防に効果があることをお伝えし、積極的に取り組むよう各グループに働きかけてまいります。

 また、音楽療法のほかにも、囲碁、将棋、ゲームなど、認知症予防に効果があるとされているものがありますので、それらをメニュー化し、各グループが自主的に取り組むことができるような仕組みを整えてまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 非常に前向きな御答弁をいただきまして、心強く思っております。これからは、今の健康な方に対する頭と体の両面からの予防にますます力を入れていくことで、健康寿命の延伸、高齢者のQOLの向上を図っていただきたいと思っています。

===ここまでが本会議場での議論の概要===

 大変意欲的な回答が返ってまいりました。
 今後の介護予防事業の改善状況と、効果を注視していきたいと思います。

 質問は続きます。

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