前回コラムの続きです。
介護サービス事業者によるぼったくり被害を訴える市民の声を受け、平成24年9月議会において、サービス利用者からの苦情に対する市の対応の強化の必要性を提起しました。
===本会議場での議論の概要
平成24年9月議会一般質問
2.介護予防事業及び介護サービス提供の適正化について
■質問の背景(田中まさたけ)
介護サービスの適正利用に向けた介護サービス事業者に対するチェック体制でございます。
介護サービス事業者に対する指導監査の権限が、今年4月から県から移譲されました。
そして、苦情件数とその対応の状況は、表6のとおりとなっておりまして、県に権限があった平成23年度は、市が受けたものも合わせて55件の苦情がありましたが、わずか2件しか監査が行われておりません。
それに対して、本年4月からわずか5カ月で、苦情件数が36件に上っておりますが、既に2件の監査が行われ、また、9件の監査実施が決定しており、より頻繁に指導されていることが見てとれます。
医療関係者の方から伺ったお話ですが、介護サービスを上限いっぱい利用してもらった上に、さらに自己負担額が月額25万円を超えるサービスを受けさせられている月が続いていたようなケースもあるそうです。
本人が納得していれば問題にはできませんけれども、事業者からあらかじめ説明がなく、ふたをあけてみればそれだけの多額の利用をさせられていたというケースもあるように聞いております。
今後、高齢者が安心して必要な介護サービスを受けられるよう、悪質な事業者から高齢者を守る仕組み、事業者をチェックする仕組みが必要であると考えます。
■質問3(田中まさたけ)
権限移譲によって市独自のきめ細かいチェック体制が可能となりましたが、介護サービスの事業者の指導監査体制について市はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
■市の回答
介護サービスの利用者は、提供されるサービスの質、内容、利用料金に不審な点を感じた場合、事業所などに直接申し出るほか、公的機関に申し出ることができます。
この苦情などの連絡先は、サービスの提供に関する契約を締結する前に事業所が交付することとされている重要事項説明書に記載されており、公的機関の連絡先は、兵庫県国民健康保険団体連合会と本市の介護サービス課となっております。また、従業者や関係する他の事業者からも同様に苦情などを申し出ることができます。
介護サービス課に申し出のありました苦情のうち指導監査につながるようなケースは、法人指導課に引き継がれ、情報提供の内容によりましては、事業所の管理者への聞き取りや実地指導、実地監査などを実施していくことになります。苦情の連絡は、利用者やその家族からのほか、匿名の場合も多く、サービス提供を行っている事業所や施設職員からの内部通報の場合もあります。
実地指導で著しい不正などが判明した場合は、その場で指導から監査に切りかえます。指導監査の結果は文書で通知し、改善状況の報告を求めます。改善が認められない場合は、継続して指導し、状況によっては改善勧告、改善命令などの措置をとることもございます。
このような事業所個別の指導監査とは別に、年に1回、市内の介護サービス事業者を対象に、集団指導を実施することとなっております。集団指導では、制度説明のほか、監査で見受けられた不正事例を紹介し、改善すべき点や処分内容などを公表することにより抑止力を働かせます。
市内には400を超える介護サービス事業者がございますが、兵庫県からの指導監査権限移譲の初年度である今年度は、市内の全ての事業所に、職員配置状況や報酬算定状況などを記載するチェックリストを提出していただき、市内の事業所の全体像把握に努めております。
また、このチェックリストの内容から実地指導及び実地監査を実施する事業所を選定することも予定しております。
指導監査権限が兵庫県から市へ移譲されたことにより、本市といたしましては、苦情相談から指導監査までの過程において迅速化を図るとともに、よりきめ細やかで効率的な指導監査を実施することにより、適正な介護サービス提供の実現を目指し、市民の皆さんが安心して介護サービスを利用できる環境の確保に取り組んでまいります。
■意見・要望(田中まさたけ)
今回、市民の方からの情報提供を受けまして、書類も見せていただきましたが、事例を御紹介させていただきました。気づいたら高額のサービスを利用させられているというトラブルも少なくない様子です。
高齢者の方がなかなか判断がつかない、家族の方がそれに気づいて苦情を申し立てるというようなケースもあろうかと思います。そういったことは氷山の一角ではないかと感じましたので、指導監査の体制、より広い範囲から意見が聴取できるような体制の検討も含めて、悪質な業者から高齢者の方々を守る体制を、せっかく権限が移譲されたわけですから、きめ細かな対応ができるように体制を構築していただけるよう要望いたします。
===ここまでが本会議場での議論の概要===
引き続き、介護予防の実効性の向上と介護サービスが適正に利用していただける環境整備に取り組んでまいります。