以前のコラムの続きとなります。
今回のコラムでは、学校の体育施設の有効活用について掲載しますが、私は以前よりこの課題を本会議場で議論してきました。
まず、初めて取り上げたのは、
平成24年9月議会一般質問(←クリックするとコラム「学校施設の目的外使用と放課後の子供たちの過ごし方」が開きます。)
でした。
このときは、学校のグラウンドや体育館を使って、全校において、放課後の子供の居場所づくりを進めることを提案しました。
市教育委員会では、学校体育施設の目的外使用の状況を一元的に把握することすらできていませんでした。
そして、
平成25年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「甲子園球場があるまちとして」が開きます)では、
日ごろ市民や関係者から課題や情報をいただく機会が多い「野球」を取り上げて、学校のグラウンドや使っていない市有地を有効活用した練習場所の確保について議論しました。
その後、
平成27年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「学校体育館の有効活用ー中央体育館の補完的役割として」が開きます)では、
学校体育館の積極活用に向けて議論しました。
また、
平成28年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「学校体育館の有効活用ー一般開放の拡大」が開きます)では、
前年の市からの回答を受けて、再び同趣旨の議論をしました。
そしてようやく、中学校体育館の地域開放は、平成28年度に上甲子園中学校、甲武中学校、今津中学校、学文中学校の4校で、期間を限定して試行実施され、平成29年度より本格実施がスタートしました。そして、平成30年度からは浜甲子園中学校を加えて、5校で実施されることとなりました。
さらに、
平成30年12月議会一般質問で提案した学校体育館へのエアコン整備が実現し、中学校の体育館にエアコンを設置する方針が示されたことを受けて、
令和元年12月議会一般質問(←クリックするとコラム「学校体育館の活用ー教育活動と地域活動と災害対応と」が開きます。)では、
一層の施設活用に向けて議論しました。
しかし、市教育委員会は全ての中学校体育施設の地域開放については、なかなか扉を開こうとせず、中学校全校に広がる動きが見えませんでした。
そこで、
令和3年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「スポーツ推進のための学校体育館のマネジメント」が開きます。)
で再び取り上げて、一層の活用に向けて、予約の利便性を向上するためのシステムの導入を提案しました。しかし、市教育委員会では「学校運営経費を圧迫することになるため導入は困難」という回答でしたので、市長部局が学校体育施設の管理を引き受けることについても言及しました。
しかし、残念ながら、市長からもやる気は感じられません。
現在、部活動の地域移行を進めなければならなくなり、学校の体育施設の地域開放が不可欠となりました。その環境整備を急がなくては、部活動はつぶれてしまうことも考えられます。
部活動がなくなってしまうと、ますます中学生の体力が低下することは明白であり、不登校生徒の増加にも拍車がかかる可能性もあり、学力にも影響を及ぼすのではないかと心配しています。
子供の体力低下が顕著になっている西宮市において、そうした社会情勢の変化を踏まえて、改めて学校体育施設の有効活用について令和6年9月議会一般質問で取り上げ、教育委員会と市長の認識と意欲を問いました。
===本会議場での議論の概要====
令和6年9月議会一般質問
1.子供の育ちのためのスポーツ・文化芸術活動について
イ)学校体育施設を含む施設の有効活用
■質問の背景(田中まさたけ)
昨今、新しいスポーツ種目の普及も進み、スポーツに携わっている方からは練習場所を確保するのに苦労されていると伺っておりまして、表1の通り、各施設の稼働率を見ても施設が不足していることは明らかです。
また、他の中核市と比較いたしました人口1,000人当たりの体育施設の面積や数のほうを資料で示しましたが、決してこちらも施設が多いとは言えません。
しかし、今後、新たな施設を増やすことは大変難しく、既存の施設を効率的に活用していくしかないと考えております。
また、中学校における休日の部活動を地域に移行する準備が現在進められておりますが、同時に学校施設もさらに開放していただかなくては、特に運動部の地域移行は不可能と考えます。小・中学生が取り組むスポーツや文化芸術活動は、活動場所が安定的に確保できなければ継続して実施することは困難です。
そのような中、神戸市では、試行期間を経て一昨年11月より、スマートロックや予約システムなどICTを活用した夜間・休日の中学校体育施設の開放を実現されております。
■質問(田中まさたけ)
今後の部活動の地域移行を念頭に置き、本市においてもICTを活用して、市内の小・中学生が加入する団体を対象に、平日夜間や休日の学校施設を活用できるよう環境整備を進めるべきと考えますが、市の見解をお尋ねいたします。
■教育委員会の回答
本市の小学校では、学校体育施設開放事業として、全ての学校でスポーツクラブ21による活動が行われ、教育活動を行わない休日や平日夜間に学校施設が使用されております。また、中学校においても、教育活動や部活動に支障がない範囲で学校施設の目的外使用を認め、限定的ではありますが、地域スポーツ活動が行われております。
スポーツ庁の学校体育施設の有効活用に関する手引きでも示されているように、スポーツ実施率を飛躍的に向上させるためには、地域住民の最も身近なスポーツの場として、学校体育施設を気軽に利用できるよう持続可能なスポーツ環境を整備していくことが求められています。
このことから、学校体育施設を有効活用するためには、地域住民のニーズに応えて身近なスポーツの場を充実させるという観点はもちろん、スポーツ実施率の向上を通じて地域住民の健康増進を図る観点や、学校そのものが持つ地域コミュニティーの核としての機能を高め、地域活動の活性化を図るといった多様な観点から取り組む必要があります。
また一方では、一般利用者が児童生徒と接触する可能性や校舎に侵入することを考慮し、防犯の観点から利用時間や動線を分離するなどの措置を講じ、教職員に負担や責任が及ばないよう安全・安心を確保することが何より重要であると考えております。
このたび議員から御紹介いただきました神戸市のICTを活用した体育館のスマートロック化やインターネット予約システムは、鍵の受渡しや利用調整等を省力化し、施設利用者の利便性向上を図る上でも大変有効な手段であると言えます。しかしながら、神戸市と同様の仕組みを導入するためには、施設改修や予約管理システムの構築が前提となるため、財政構造改善の取組が進められる現状においては慎重に検討していく必要があります。
教育委員会では、現在、令和8年度からの本格実施に向けて休日の部活動を地域移行するための制度設計を進めていることから、部活動の地域移行と地域スポーツ活動との密接な関係や課題を踏まえ、この取組みの中で学校施設の目的外使用の在り方を見直すとともに、施設の管理方法についても、関係部局と連携しながら検討していきたいと考えております。
■意見・要望(田中まさたけ)
教育委員会のほうから、学校の体育施設の開放の御答弁の中でも、部活動の地域移行に不可欠と言えます施設の地域開放に必要な環境整備のための予算の確保ですら、財政構造改善の取組が進められる現状においては、慎重に検討していく必要があるとお答えになるような始末でございます。
また、部活動の地域移行につきましては、令和7年度の中頃から試行実施を始めるというスケジュール案が示されたと伺っております。
施設の環境整備は財政状況に関わらず必要不可欠なことだと考えますので、来年度予算において十分財政措置をしていただきますように強く要望しておきたいと思います。
===ここまでが本会議場での議論の概要===
全国で、部活動の地域移行を進めようとしているスポーツ庁では、「スポーツ実施率を飛躍的に向上させるためには、地域住民の最も身近なスポーツの場として、学校体育施設を気軽に利用できるよう持続可能なスポーツ環境を整備していくことが求められています。」と方針を示していることが回答にありました。
にもかかわらず、
学校体育施設を所管する市教育委員会は、「一般利用者が児童生徒と接触する可能性や校舎に侵入することを考慮し、防犯の観点から利用時間や動線を分離するなどの措置を講じ、教職員に負担や責任が及ばないよう安全・安心を確保することが何より重要である」と課題を示しているわけです。
つまり、予算を措置する権限を持つ市長は、こうした国の動向や市教育委員会や学校の状況をしっかりと認識して、予算を措置する必要があることは明白です。
なぜこのようなことが、神戸市さんはできて西宮市ではできないのか、理解に苦しみますが、来年度予算を注視したいと思います。