投票率と政治の活性化ー今年の選挙はひとまず終了

2024年11月19日[カテゴリ:コラム, 選挙

 兵庫県では、先月から約1ヶ月にわたって選挙が続きましたが、17日に終了しました。

兵庫県知事選挙

 衆議院議員総選挙の投開票日からわずか3日を空けて、31日(木)に兵庫県知事選挙が告示され、17日間にわたって選挙戦が行われました。

 最初は逆境にあったと思いますが、選挙期間中に巻き返し、前職のさいとう元彦候補が当選されました。

 おめでとうございます。

 大きな仕事は一人ではできないことは身に染みて実感されたことと思います。
 3年前の当選があって1期目の様々な改革に着手できたということも含めて、県庁の職員に対しても、県民に対しても、敬意と感謝の気持ちを忘れずに、県政を前へ進めていただきたいと心から期待しています。


 この選挙は、県議会議員全員が知事に対する不信任を決議し、知事が失職したことにより実施された選挙でした。
 このような事態に陥ったのは、様々なことが言われておりますが、日ごろのコミュニケーション不足、問題が発生した際の知事自らの説明力や発信力の不足、また、日ごろの県議会から県民に対する情報提供が不足していたことに要因があったと感じてきました。

 そして、以前のコラムにも掲載し、YouTubeでも配信しましたが、そもそもなぜ、告発文書の内容の真偽について、百条委員会を設置して調査を進めている最中に、不信任の決議をする必要があったのか、理解に苦しむ部分が多いという印象を持っておりました。
 告発文書の問題については真偽を判定し、改めるべき点を改めて、誤りの再発防止を促すのが県議会の役割であったと思います。

 選挙期間中に、その隙というか、多くの方が理解ができないであろう部分を、ユーチューバーやインフルエンサーと呼ばれる方々によって、SNSを駆使して指摘が拡散され、17日間の間に風向きは変わっていきました。
 
 終盤になって、重たい議決であるはずの不信任に賛成したことが拙速であったことを公然と認める県議が現れたり、不信任決議案に賛成しておきながら、堂々とその不信任とした候補者の支援に回っていることが分かるなど、不信任決議の重さと選挙の意義を疑わざるを得ない状況となり、多くの方は戸惑ったことと思います。

 西宮市での投票率は58.44%(42.88%)と大幅に上がって、テレビや新聞報道で取り上げられる機会の多い衆議院総選挙の先日の投票率をも上回りました。
 より多くの県民の意思が反映され、結果的には、不信任が決議される前の状態に差し戻されたことになります。

 ただ、2021年と今回の知事選挙の結果を比較すると、1位の候補者はどちらも斎藤知事ですが、得票数が約25万5千票増えたのに対して、2位の候補者は約37万6千票も増えています。
 今回の選挙における民意を受けて、知事による人事、職員に対する対応の仕方、県議会への説明、それを受けての県議会の対応に今しばらく注目したいと思います。

 そして、県議会議員の皆様には、知事や県庁職員となれ合うことなく、県民を代表して、強大な権力を持つ知事としっかりと対峙して役割を担っていただきたいと改めて感じた結果でした。

時代の変化に応じた選挙制度

 SNSは政治の活性化にも本当に有効なツールだと感じました。

 一方で、今回の選挙でものすごく気になったのは、立花候補のように、他の候補者を当選させることを目的に立候補する方が現れたことです。これまでは、こうした活動は、公職選挙法により認められた制度として、選挙運動期間中に特定の政治活動を行うことを認められた政党その他の政治団体、いわゆる「確認団体」が行っていました。
 
 今回は違うと思いますが、この手法が組織的に行われるようなことになると、資金力のある人しか当選できなくなる、選挙にお金がかからないように様々な制限が加えられている公職選挙法の理念に矛盾することになる、選挙での民意がゆがめられることにもなりかねないと感じました。

 また今回は、期日前投票者数が大幅に増加しました。
 以前より問題視していたのですが、投票日当日(今回で言うと11月17日(日))は一切の選挙運動が禁止されていて、当然、演説もチラシ配りもできません。
 投票所の場所の入口から直線距離で300メートル以内にある選挙事務所は、看板を布で覆わなくてはならないくらい制限が厳しくなっています。

 しかし、期日前投票が行われている期間は、当然選挙運動期間中ですから、期日前投票所の前で演説をし、チラシを配ることも制限されていません。ですので、最近の選挙では、昼間は街中に人が少ないので街宣車を止め、期日前投票所の建物の前で演説をしながらチラシを配っているシーンをよく見かけます。
 
 期日前投票所は箇所数も少ないことから、一人の候補者を応援する人を期日前投票所の数だけ立候補させれば、ずっと演説をしながら、その候補者のことを記したチラシを配ることも可能となります。SNSの時代ですから、紙媒体と融合させれば効果は大変大きいと感じます。
 もちろん、供託金の没収は免れませんので、相当の資金力が必要ですし、効果があるとは限りませんので、そのようなことをする人はいないとは思いますが。

 これまでも、時代の変化に合わせてSNSが使えるようになるなど、公職選挙法は改正を繰り返してきました。
 政治の活性化のためには、時代の変化、有権者の意識の変化に合わせた制度改正も必要であると改めて感じた選挙でした。

フェイスブックでの投稿

■11月16日投稿

いよいよ明日17日は、兵庫県知事選挙の投票日てす。
この投稿を見ている投票権のある方は、普段から投票に行かれる方がほとんどだと思います。
地方政治が注目されることはあまりなく、3年半前に斎藤前知事が当選した時の投票率はわずか41.1%でした。そして、1年半前の兵庫県議会議員選挙の投票率は39%でした。

今回の知事選挙は、前回とは違う様相を呈しています。「今回だけはみんな選挙に行って!」という意見も見られますが、本来は、「今回だけは」ではだめで、「今回からはちゃんと投票に行こう!」と、候補者だけではなく有権者が呼びかけ合うような流れになって欲しいと思っています。
これまで、テレビで地方政治の選挙の話題が取り上げられることはほとんどなく、テレビで取り上げられる機会の多い東京都知事選挙の投票率は60%を越えることはざらにあります。
今回の兵庫県知事選挙は、選挙前までのメディアの報道があったからこそインターネットでの情報戦が機能し、結果はともあれ、投票率が上がるのは間違いないと思います。
政治の活性化に、メディアの力は欠かせないと改めて痛感します。
恒常的に国政のみならず地方政治にもちゃんと有権者が目を向けるようになれば、地方議員や首長はもちろん、国会議員の意識もまた変わり、本来の政治改革が実現できるのではないかと感じています。
選挙は常に大切です。


先月の衆議院選挙の投票日であった27日(日)は、午前中に大阪へ行ったことは投稿しましたが、昼からは西宮市薬剤師会の「薬と健康フェア2024」に出席し、顧問委嘱状を受け取り、顧問に就任しました。私が議員活動以外でお受けしている団体等の顧問や相談役、会長という役職は、全て無償です。
その後、武庫川河川敷で行われた「にしのみや武庫川ハーフマラソン」の会場に顔を出して関係者に挨拶をし、御前浜で行われたイベントの手伝いをしてくれた学生さんを迎えに行って団体のメンバーに挨拶にいきました。
いろいろと行事や用事が入りましたが、それでも投票だけは投票日に行くようにしています。
今回も投票日に投票に行きます。

■11月14日投稿

YouTubeの田中まさたけチャンネルの動画の再生回数に初めて「万」の文字が付きました。
兵庫県議会で不信任決議案が提案される前日に撮影した動画で、現時点で不信任を決議するには根拠が薄く時期尚早ではないのかという内容です。
今もその考えに変わりはありません。

昨日13日(水)の夕方に、さいとう候補が夕方に阪急夙川駅と苦楽園口駅前で演説をされるという情報をいただき、候補者ご本人の訴えを聞きに行ってきました。
「県政の混乱を招いたことへのお詫び」、「県知事になって取り組んだことの説明」、「県政の改革を続けさせてほしい。」という構成でした。
私としては、なぜこのような事態になったのか、そして、職員の不祥事も含めて、再発を防ぐために何が必要だと考えているのか、ご自身の受け止め方や具体的な再発防止策を聞きたかったのですが、その点には触れられませんでした。
知事ご自身からの説明不足、発信力が弱かったことも今回の混乱の原因の一つであったと私は感じていて、その点を改善、強化しなければ、再選しても、再び混乱を招く可能性が高いと感じます。


ここにきて、ネットでの情報拡散により、さいとう候補の勢いがすごいことになっています。2014年の西宮市長選挙で、2期目を目指す現職候補に挑んだ新人候補が、当時の常識を覆すくらいのチラシを配って改革の風を作り、組織票で優勢と言われた現職を破った時と似たような空気を感じます。
規模も違いますし、現職と新人の立場も逆ですが、組織票対非組織層、チラシに代わって現在はSNSで正当性が拡散されている状況は全く同じです。
さいとう候補の演説場所に、いなむらさんの名前が書かれたプラカードと、さいとう候補を批判する内容が書かれたプラカードを持って黙って立っている方が数名いました。いなむら候補の陣営が浮足立って、こうした見苦しい行動をさせているように映りました。
2014年の時は、このような行為はありませんでしたので効果は分かりません。

さいとう候補もこれまでの改革をさらに続けていくためには、改革に抵抗する人たちのみならず、不信任決議を全会一致で可決した県議会とも向き合わなければならず、相当の覚悟と対策が必要で、その熱量を発信し続けなければ実現は不可能だと思います。
2014年に改革を訴えて大きな期待を集めて当選した市長でも、大きな改革はできずに、1期でその任を終えることになりました。
あと。
風向きが変わって、今回の不信任に賛成したのは間違いだったと公然と認める県議も現れたり、斎藤前知事の不信任決議案に賛成しておきながら、堂々とさいとう候補の街宣活動を手伝う県議も実際にこの目で見ました。
あの不信任決議は何だったのか。
なぜ、副知事は辞任したのか。
理解ができずにモヤモヤしたまま事務所に戻り、20時からの私が会長を務める団体のZOOM会議に臨みました。
私の発信力は塩粒ほどに小さいですが、これからも地道に、市議会で起こっていること、私が考えていることを発信していきたいと思います。

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