学校施設の目的外使用と放課後の子供たちの過ごし方ー平成24年9月議会一般質問

2012年11月22日[カテゴリ:居場所づくり, 質問

 前回のコラムの続きです。
 
 子供の居場所づくりを進める上で、学校施設を活用させてもらうことは不可欠となります。
 しかし、私たち外部の者には、学校施設が学校教育以外にどのように活用されているのか、知ることができません。
 そこで、教育委員会に調査をかけ、使用状況を教えていただきました。件数は分かったものの、具体的にどこの学校でいつどのように使用されているのか分からない状況でした。

 小学校においてはスポーツクラブ21が活用して活動されていますが、特に平日の放課後については、まだまだ活用できる余地があると思っていますが、使用実態がはっきりしません。

 そこで、平成24年9月議会一般質問において、子供の居場所づくりについて取り上げた際に、学校施設の目的外使用の状況と放課後の子供たちの過ごし方についても、質問しました。
 

===本会議場での議論の概要===

平成24年9月議会一般質問

1.子供の居場所づくりについて
エ)学校施設の活用状況、目的外使用の把握
■質問の背景(田中まさたけ)

 社会教育法第44条には、「学校の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない」とあります。

 そして、次世代育成支援行動計画では、学校体育施設の開放が挙げられており、体育館やグラウンドのみならず、教室やプールを合わせると、目的外使用は、小学校で年間374件、中学校で727件となっており、そのほかに、スポーツクラブ21が年間約2万6,000回利用されています。
 
 しかし、各学校の施設がどの時間帯に誰がどのように使用しているのか、一元的に把握されておりません。これでは今以上の活用が図られることは困難と考えます。

■質問1
 学校の目的外使用の状況を一元的に把握し、学校の体育館やグラウンド、教室を、放課後の子供の居場所づくりに活用するための体制をつくるべきと考えますが、市の見解をお尋ねいたします。

■質問1に対する教育委員会の回答
 まず、学校の目的外使用の状況を一元的に把握しているかについてでございますが、学校施設の確保に関する政令では、学校施設は、本来、学校教育以外の目的には使用できないこととされておりますが、例えば公職選挙法による投票所としての使用や、災害救助法による非常災害時の使用などのほか、管理者、すなわち教育委員会または学校長の同意を得た場合には、他の目的でも使用が可能となっております。

 近年、生涯スポーツの普及や生涯学習の進展などにより、地域の方々による学校施設の使用に対する御依頼が多いこともあり、本市では、スポーツクラブ21などの活動を保障するものとして「西宮市立学校の体育施設開放事業に関する規則」を、また、それ以外の諸活動のための会場として学校施設を一時的に使用する場合の必要事項を定めた「西宮市学校施設の目的外使用に関する規則」をそれぞれ定め、学校のグラウンドや体育館、教室などを利用いただいております。

 これらの規則に基づき、学校施設が地域の皆様に広く利用されておりますが、学校施設の使用につきましては、各学校が窓口となって対応しているため、教育委員会では全体の使用状況を一元的に把握できていない状況がございます。

 今後は、施設を一層有効に活用していただけるように、学校とも協議を重ねながら、全学校施設の使用状況の把握に努めてまいります。

■質問2
 小学校では、授業終了後に必ず一度下校するように指導している学校と、そうでない学校があると聞いております。学校は、クラブ活動のない小学生の放課後の子供たちの過ごし方をどうあるべきと考え、どのような取り組みを行っているのか、お尋ねいたします。

■質問2に対する教育委員会の回答
 子供たちの放課後の過ごし方に関する御質問にお答えいたします。
 放課後の子供たちは、本来、家庭や地域のきずなの中で育つもので、自分で選んだ遊びや仲間とつくり出した遊びの中でルールが生まれたり、自然とかかわったりすることで成長してまいります。
 しかし、きずなのあり方も変わり、子供たちを取り巻く環境も安全・安心が十分に確保されているとは言えない状況となっているため、周囲に子供たちを見守る人が必要です。

 このため、平成22年度より立ち上げた各学校の教育連携協議会により、ともにパートナーである学校と家庭や地域が教育活動や放課後の過ごし方についても熟議し、それぞれの役割、それぞれができることを見出していくことが必要であると考えております。
 このため、教育委員会では、教育連携協議会に対し、子供の放課後における安全で安心な居場所の必要性についての協議を深めてもらえるよう働きかけるとともに、実践交流会や研修を通してその必要性について理解する機会の充実に努めてまいります。

===ここまでが本会議場での議論の概要===

 今回の質問を通じて、各学校の目的外使用の実態について、教育委員会は把握できていないことが明らかとなり、今後は、「全学校施設の使用状況の把握に努める」という回答を得ました。
 さらに活用できる状態になるまでには、まだ時間を要すると思いますが、引き続き、体育施設開放事業の積極活用、学校施設の有効活用に向けて取り組んでまいります。

 また、小項目で「学校施設の活用状況、目的外使用の把握」の中で、子供たちの放課後の過ごし方についても問うことになりましたが、教育委員会が、学校活動が終わった後の子供たちの過ごし方には関わりたくないという姿勢が露呈したと感じています。
 
 学校によって、放課後にそのまま学校に残ってグラウンド等で遊んでいい学校と、一度帰宅しなければならずに、希望者は学校に戻って遊んでもいいという対応をしている学校、があると聞いています。

 今回の質問に対する回答を見ても、本市の教育委員会は、学校施設を活用した放課後の子供の居場所づくりには消極的 であることがはっきりしました。

 というのも、回答では、「教育連携協議会に対し」アクションを起こすという内容になっています。

 教育連携協議会は、 学校長等の教職員、学校評議員、保護者、地域の方々の参画により、構成され、
「学校、家庭、地域住民が、子供を『共に育てる』という共通理解のもと、互いに協力を図りながら、家庭・地域と共に歩む学校づくりを推進することを目的に全市立小・中学校に設置されている」と説明されています。
 そして、「課題を共有しながらその解決に向けて、登下校の見守り、学習支援活動、環境整備活動、学校行事や地域行事への積極的な参加など幅広い活動をしています。」と説明しています。

市のHPより
 協議会では「目指す子供・学校・地域像」について話し合い、その実現に資する様々な事業(登下校の見守り活動、地域の「先輩」の指導による「昔遊び」、避難訓練、地域の夏祭りの手伝いやコンサート等々)を、地域の実情に合わせて行なっており、地域全体で子供たちの成長を支える体制づくりを進めています。
 これらの事業のなかで子供たちは地域とのつながりを深め、学校だけでは学ぶことができないことを学び、生きる力を育んでいます。
 保護者や地域の方々は子供の様子について、協議会で報告を受け、会議を積み重ねるなかで、学校と地域それぞれの情報を交換し、お互いの考えを交流し、信頼関係を築いています。

 引き続き、調査を進めて、全校において、希望する子供たちが放課後も、そのまま学校で過ごせる環境づくりに取り組みたいと考えています。

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