2024年12月29日[カテゴリ:コラム]
昨年あたりから「火葬場が不足していて、かなりの日数を待たなければならない」という記事を頻繁に見るようになりました。
2025年問題の具体的な問題の一つだとも感じます。
現時点では、東京一極集中の弊害の一つなのかもしれません。
今秋のことでしたが、私が大変お世話になっていた方がご高齢でお亡くなりになった際に、ご親族が関東にお住いで、私に対して火葬場の予約についてお問い合わせを受けたことがありました。1週間前の決算特別委員会民生分科会において議論したばかりでしたので、偶然に少し驚きました。
実際には、空きは十分にあって希望日に予約ができる状態でした。この時は、関東圏と関西圏の違いと感じていました。
しかし先日、また別の方とお会いした際に、「年末にお葬式があるのだが、火葬場がいっぱいでかなりの待機が発生しているらしい」という情報をいただきました。
年明けに待機の状況を調査して、火葬炉の運営について、再検討の要請を判断しないといけないと思っています。
また、以前より、西宮市の市営墓地である満池谷墓地では、無縁墓の整理などを行って再募集が数年に一回行われているのですが、抽選倍率が高く、なかなか抽選に当たらないというお声をいただいておりました。
そこで、状況を確かめるため、一昨年前でしたが、抽選の現場を見学しに行ったことがありました。
そこで感じたことをフェイスブックに投稿し、ご意見もいただいておりました。
そこで、令和6年9月26日に開催された決算特別委員会民生分科会において、墓地と火葬場の過不足について取り上げて議論しましたので、その概要を掲載いたします。
====分科会での議論の概要====
令和6年9月26日決算特別委員会 民生分科会 質疑より
令和5年度決算(環境局分)について
【市営墓地の常時募集を】
■質問の背景(田中まさたけ)
まず、墓地の件でございます。
事務事業評価(←クリックすると「令和6年度西宮市事務事業評価結果報告書Ⅱ 226ページ」が開きます)によりますと、令和5年度から合葬式墓地の使用が開始されておりまして763件の許可がされております。
合葬式ではない墓地の募集をお待ちになっている方もたくさんいらっしゃるのと思うのですが、令和5年度は募集をされなかったと伺っております。
■質問(田中まさたけ)
今後の合葬式を除いた市営墓地募集の見込みをお尋ねします。
■質問に対する市の回答
市立墓地の募集につきましては、今年度(令和6年度)は、10月に満池谷墓地を50区画、白水峡公園墓地を80区画募集いたします。
また、来年度以降も区画墓地の公募を予定しており、具体的に申し上げますと、あくまで今年度の公募数を除いた計画値ではございますが、令和10年度まで(4年間)に、満池谷墓地を180区画、甲山墓園を105区画、白水峡公園墓地を400区画、鳴尾3墓地(上田墓地、中区墓地、上鳴尾墓地)を40区画、の公募を計画しております。
また、白水峡合葬式墓地につきましては随時募集をしております。
■再質問1の背景(田中まさたけ)
合葬式墓地については随時募集をされているとお答えがございました。
以前、墓地募集の抽選会場を見学したことがございまして、このときは、私の見るかぎりでは7名の職員さんが、多くの応募者が集まって見ている前で、公開された場で一件一件、ガラポンを回して厳粛に抽選をされている様子を拝見いたしました。
(なぜ見学に行ったかと言いますと、)以前より、1年に1度あるかないかの墓地の募集に対して、なかなか当たらないという御意見といいますか、苦情といいますか、頂いておりまして、5回も6回も当たらず、10年以上待っているんだという御意見(情報)が届いておりました。
何とか状況を改善できないのかという思いで、見学に行った経緯がございます。
■再質問1(田中まさたけ)
長年当たらずに待っている方がいらっしゃるという現状を市はどのように認識されているのかということをお尋ねします。
■再質問2の背景(田中まさたけ)
また、見学に行って分かったのですが、応募がない区画も結構見受けられました。
人気、不人気(の区画)があるということだと思いますが、本当に早く入手したいという方は、できたら空いているところに申し込みたいという思いがあるのではないかと私は思いました。
■再質問2(田中まさたけ)
先ほどのご回答で合葬式墓地については常時募集されるということでしたが、その他の市営墓地につきましても常時募集、もしくはせめて募集回数を増やす、そうした改善はできないものか、お尋ねいたします。
■再質問1及び2に対する市の回答
墓地の公募に関する課題についてお答えいたします。
市立墓地に複数回応募したにもかかわらず当選できない事案があることにつきましては想定しておりますが、その原因としまして、好立地などにより人気の区画に応募が集中する傾向にあること、応募できる区画を1区画しか認めていないこと、随時募集を行っていないことなどが考えられます。
これらを踏まえまして、今年度より応募できる区画を第3希望まで認めるとともに、抽選の結果、成約に至らなかった区画については、年度内に落選者を対象に2次募集するといったと取り組みを行います。
また、随時募集につきましても、来年度以降の実施に向けて検討を進めております。
■まとめ
いろいろと改善を検討していただいているとのことでありがたく思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。
【火葬場の待機対策】
次に、火葬場のこともお伺いしておきます。
こちらも事務事業評価(←クリックすると「令和6年度西宮市事務事業評価結果報告書Ⅱ 228ページ」が開きます)によりますと、令和5年度の火葬場の使用件数が5,270件あったということで、そのうち市内在住の方が4,603件、市外の方が667件と記載されております。
現在、11基の火葬炉が稼働しており、単純に計算すると1日1基当たりお一人もしくはお二人を火葬していることになります。そして、首都圏では待機がかなり出てしまっているというような情報、報道もあります。
■質問(田中まさたけ)
西宮市においても、令和5年度の火葬場の待機がございましたら、状況をお聞かせください。
併せて、炉の改修についても計画的に行われているという記載(事務事業評価231ページ←クリックするとPDFファイルが開きます)もあるのですが、その点は、計画的に改修すると同時に、今後、火葬炉の増設は計画をされているのかどうかもお聞かせください。
■質問1に対する市の回答
令和5年度の火葬場の待機の状況についてお答えいたします。
関東圏などでは待機が発生しているということも聞いてはおりますけれども、本市におきましては、令和5年度の火葬については、月により件数にばらつきはあるものの、待機が発生するようなことはございませんでした。
次に、炉の増設についてお答えいたします。
現時点では、現行の火葬炉を計画的に改修することで対応できると考えておりますので、現時点では炉の増設は計画しておりません。
■質問2の背景(田中まさたけ)
今のところは足りているということです。
今後、高齢化が進む中で、市外在住の方もかなり御利用されているなかで(近隣他市の火葬場の待機が多いからなのか、原因は不明ですが)、市内在住の方の待機が発生してしまうようなことにならないように、注意深く見ておいていただきたいと思っております。
この火葬場の管理運営はあくまでも市民の税金で対応している事業という視点で、市外在住の方の火葬場の使用料のこともお尋ねしておきます。
例えば、お隣の尼崎市さんや宝塚市さんの場合、市外在住者の使用料は、大人の場合(12歳以上の大人)、市内の方の4倍と定められております。
尼崎市さんは、大人の方が市内の方で1万3,200円ですので、市外の方が5万2,800円になると思います。
宝塚市さんでは、市内の方が1万円ですので(これは本市と一緒)、市外の方は4万円と設定をされております。
■質問2(田中まさたけ)
西宮市は、市内在住者が1万円、市外の方は3万円で設定されているのですが、この点も市民の負担を軽減できるように使用料の見直しが必要ではないかと思うのですが、市の見解をお尋ねしておきたいと思います。
■質問2に対する市の回答
火葬場の使用料についてお答えいたします。
本市の火葬場使用料につきましては、近隣市と比較して、市外の方の料金設定が低くなっている点については認識しております。このような事情によりまして、市外の方が居住されている市で火葬できない場合に、より安価な市外料金を設定している本市の火葬場を利用している可能性があり、そのことによりまして将来的に市民の火葬場利用枠が圧迫されることが懸念されることから、近隣市の火葬場使用料を参考に火葬場使用料の見直しを検討したいと考えております。
■まとめ(田中まさたけ)
他市とのバランスを見て(市外在住の方の)料金設定については順次見直していただきたいと思います。
====ここまでが分科会での議論の概要====
合葬式墓地以外の墓地の募集については、事務事業評価の改善すべき点には掲載されていませんでしたが、質疑によって、募集に対する申し込み方法を変えていることと、随時募集についても検討を進めていることが確認できました。提案に対して意外と前向きの回答であったことに驚きました。
火葬場については、令和5年度は待機はなかったとのことで、火葬炉の増設は計画していないとのことです。しかし、冒頭に掲載した通り、徐々に状況が変化している傾向が表れています。
また、市外在住者の使用料に関する指摘については、改善に前向きな回答が返ってきたのは意外でした。
今後需要が増えて、待機が発生する時期が出るようであれば、現在、1基あたり1日お二人の火葬を行っているところを3人、4人と増やせるのかどうかも含めて、市民の待機がひどくならないうちに、迅速な対応を求めていきたいと思います。
この議論の後、10月29日に開催された民生常任委員会において「葬祭事業の方向性について」市より所管事務報告がなされました。
今回は長くなりましたので、詳細は、次回以降のコラムに掲載したいと思います。