災害時の食物アレルギー対応ー令和7年3月一般質問

2025年4月29日[カテゴリ:質問, 防災対策

 今年は、阪神・淡路大震災から30年という大きな節目の年となります。
 昨年元旦に発生した能登半島地震の影響もあり、市民の防災意識が高まっていることを実感しています。

 昨年秋、地域の方から「安井地区ネットワーク会議」にお招きいただき、防災対策について学び合う機会をいただきました。
 会議では、関西学院大学の先生による防災訓練に関する講演、小学校の先生からは「想定を超えること」を前提とした訓練の取組みのお話、さらに、地区防災計画の策定に携わった安井地区内の自治会長から、実際の計画づくりにまつわる経験談を直接伺うことができ、大変意義深い会議でした。

 年明けの1月12日には、そのネットワーク会議でご案内いただいた大社公民館での防災体験会に出席しました。
 この体験会は、大社公民館の公民館地域学習推進員会の方が企画されたもので、「みやれっこほーむ」さんという食物アレルギーのあるお子さんの保護者が中心となって活動されている団体の皆さんから、災害時の食物アレルギー対応に関する情報を得ました。
 さらに、西宮を拠点に活動されている「ツナミクラフト」さんによる、さをり織りを使った被災地での心のケアの取組みも体験することができました。

 そして2月16日には、この防災体験会で紹介された、LFAJapanさんとコープさん共済による「食物アレルギー:地域で考える防災講演」に参加しました。
 こちらでは、子ども食堂の運営におけるアレルギー対策や、災害時における食物アレルギーへの備えについてさらに詳しく学ぶことができました。講演会の後には、食物アレルギー特定原材料不使用の非常食の試食も行われ、食物アレルギー対応のものが増えていること、そして、味や触感などもアレルギー非対応のものと遜色ない完成度であることも確認できました。

 また、1月25日には、昨年秋の安井地区ネットワーク会議で出会った関西学院大学の学生さんから紹介があった「大学生とまな防災」というイベントにも参加しました。その時の参加者は多くなかったものの、だからこそ、市民の防災に対する意識をさらに高めていく必要性も実感しました。

 2月15日には、安井市民館で開催された「あの日を忘れない」という地域行事に参加しました。
 震災を実際に経験された方々の率直な思いや当時の状況、そして「同じようなことが起こった時、同じように動けるのか」という不安の声を伺い、震災の教訓を風化させない取組みの重要性と、防災対策が実際に機能するかどうかを継続的に検証する必要性を改めて痛感しました。


1月13日に開催された高須西小学校での防災訓練。

市を通じてご案内をいただいたので見学してきました。
校区外の方が参加しても勉強になるので、せっかくの機会ですから多くの方に参加してもらうためにも、全市の方にご案内をするという試みは良かったと思います。
市民にとっても、都合に合わせて、どこかの防災訓練に参加できるようになるのではないでしょうか。


 こうした現場での学びや声を踏まえ、令和7年3月議会での一般質問において防災対策を取り上げて、市の現状を確認するとともに、今後の取組みについて提言しました。

 防災対策については、昨年3月にも啓誠会の代表質問(←クリックするとコラム「地区防災計画について」が開きます。)でも取り上げ、議論しましたが、今回の質問は、その後も現場での体験や訓練の様子を見聞し、昨秋からは鎖のようにつながった現場での声や学びを反映したものであり、さらに具体的な提言となりました。

====本会議場での議論の概要====

令和7年3月議会一般質問

2.防災対策について
ア)訓練における食物アレルギーの啓発と対策
■質問の背景(田中まさたけ)

 先月、大社公民館で開催されました推進員会講座におきまして、災害時の食物アレルギー対応について、当事者の方々からお話を伺う機会がございました。現在、食物アレルギーに関する理解は十分に浸透しているとは言えず、特に災害時の混乱の中で行われる炊き出しや救援物資の仕分け作業において適切な配慮ができるのか、不安を感じました。

 そこで、事前に市当局に問い合わせましたところ、本市の備蓄品に関しては、特定原材料8品目を使用していない「おかゆ、アルファ化米、ビスケット類」となっておりまして、「粉ミルク」はローリングストックが困難ということで、アレルギー対応がなされていないとのことでした。そのほかの食事に関しては、各家庭の備蓄と救援物資に委ねられております。

 食物アレルギーは成長とともに解消されることも多いようですが、全人口の約1から2%、乳幼児に限ると約10%の方にあると推計されておりまして、増加傾向にあるそうです。
 本市では、令和6年5月現在、本市の市立小・中学校などの給食において食物アレルギー対策が必要な児童生徒を把握されておりまして、こちらが約1,820名となっており、こちらも全体の約5%に上っております。
 こうした状況を踏まえ、食物アレルギーのある方々への災害への備えに関する情報提供を徹底するとともに、炊き出し訓練や避難所運営訓練等を通じて、アレルギーのある方にもない方にも備蓄されたアレルギー対応の備蓄品を実際に試食してもらう機会を設けるなど、理解を深めることも大切だと考えます。

■質問(田中まさたけ)
 この食物アレルギーに対する理解を促すために、各地域で実施されている防災訓練において、食物アレルギー対策の啓発を強化するべきと考えますが、市の見解をお尋ねいたします。

■市の回答
 市の備蓄物資につきましては、種類や数量に限りがあるため、市では、市民に向けて、避難生活に必要な物資は各家庭で7日間程度を目安に準備することと併せて、避難が長期化した場合にはアレルギー対応などの食品は特に入手が困難になる可能性が高いため、避難生活に十分な量を備蓄することも啓発しております。
 災害時の食事に関する訓練といたしましては、例年実施している小学校区防災訓練や防災フェアなどで神戸学院大学の学生グループ、防災女子が、簡単に作れる災害食の啓発を目的として、耐熱性ポリ袋を使った調理の実演や試食を行っておりますが、食物アレルギーに関する啓発は行っておりません。
 
 今後、地域から防災訓練の相談がある際には、食物アレルギーに関する啓発も取り入れることを提案するなど、地域が食物アレルギーに対する知識や理解を深める機会を増やすよう努めてまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 資料にも一部掲載いたしましたが、内閣府から、「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」が示されており、こちらの9番目の項目に掲載されております。
 
 そして、食物アレルギー対応食品の救援物資につきましては、兵庫県が兵庫県栄養士会と協定を締結され、「特殊栄養食品ステーション」から救援物資を届ける想定もされているそうです。
 西宮市におきましても、その手順について現場の方々と情報共有を進める必要があると感じましたので、訓練を通じての確認をお願いしておきたいと思います。

===ここまでが本会議場での議論の概要===

 現時点で防災対策における食物アレルギー対策が不十分であることを、今回の質問を通じて市にも認識していただいたと考えています。

 食物アレルギー対応食品の救援物資が届くまでには8日間はかかると言われています。
ですので、それだけの備蓄を各ご家庭では用意しておいていただく必要があることも啓発が必要です。

 防災訓練を通じた食物アレルギーの啓発について、市からは一定前向きの答弁はいただきましたので、今後の防災訓練での食物アレルギーに関する取組みの実施状況を注視し、さらに情報収集しながら提案の実現に向けて行動していきたいと思います。

 一般質問での防災対策に関する質問は、まだ続きますが長くなりますので、次回以降のコラムに掲載したいと思います。

フェイスブックの投稿

■1月26日投稿

12日(日)、西宮市消防出初式が甲子園浜の兵庫県阪神南広域防災拠点で行われ、団員として出席しました。
昨年は、能登半島地震の影響により中止となりましたので西宮での出初式の開催は2年ぶり、コロナ禍も中止になった年があり、再開後も団員の出席数を限定して行われできましたので、全団員が出席して一斉放水や子どもパレードが行われるのは5年ぶりでした。
阪神淡路大震災から30年の節目の年に、災害時の消防機能を改めて点検する年にしなければならないと思っています。
団員の欠員が生じている分団が多くなっています。
出初式には、お子様連れのお客さんも多数お越しでしたので、こうした機会に団員募集が実を結ぶといいのにと感じます。

午後は、大社公民館で行われた公民館推進員会講座に参加してきました。災害時食料の備蓄の課題や被災者の心のケアの取組みなど学びの多い機会でした。
公民館の掲示板に掲示された「プレみや」のポスターを発見、急展開に戸惑っています。

記事一覧