市制100周年記念式典にて
最後にフェイスブックの投稿を掲載しますので、ご覧ください。
今回のコラムは、前回のコラムの続きとなります。
阪神・淡路大震災も経験して、住みたいまちランキングでも上位に位置する今の西宮市があります。
30年前に発災した阪神・淡路大震災によって得た教訓を、次の災害に活かすための取組みとして、
①経験者の談話を動画で残していく取組みと②訓練の実効性の向上について一般質問で提案し、改善すべき点は多いものの、今後の改善に向けて、市からは一定前向きの回答を得ました。
===本会議場での議論の概要===
令和7年3月議会一般質問
2.防災対策について
イ)震災の教訓、経験の継承
■質問の背景(田中まさたけ)
今年は、阪神・淡路大震災の発災から30年という節目の年を迎えました。当時の対応を経験した市職員も少なくなりまして、震災の記憶を次世代に伝えていくことの重要性が高まっております。
先日、安井市民館で開催されました「あの日を忘れない」という震災関連の行事において、発災当時の住民の方々の経験談を伺う機会が設けられました。会場には大変多くの方々が集まりましたが、実際に西宮で震災を経験された方はもう少なくなっておりまして、震災の教訓を風化させないための取組みを一層強化する必要があるとそのときも実感いたしました。
特に、巨大な地震が発生した際の状況であったり、そのときの人々の気持ちや行動を、リアルな経験として伝えるため、私は、動画で記録して発信していくことも重要と感じました。
現在、西宮市広報課が作成した動画が本市ホームページ、デジタルアーカイブで視聴できます。その中で、地域コミュニティーの重要性や消防団の役割などが語られております。
しかし、現実としては、消防団の団員数、これも例えばなんですけれども、条例定数755名に対して、令和6年4月現在で671名と、充足率が90%を切っています。そして、年々減少しています。
また、地震保険を補完するフェニックス共済については、こちらの加入率も本市は僅か7%にとどまっておりまして、市の発信する情報が実感を伴った形で十分に伝わっていないことを表していると考えております。
■質問(田中まさたけ)
震災の発生から5年目までは毎年、それ以降は5年ごとに制作された合計11本の動画が市ホームページのデジタルアーカイブで視聴可能となっております。その動画をより多くの方に視聴していただくため、市ではDVDの貸出しも実施されておりますが、こちらの年間の貸出実績はどの程度あるのか、お尋ねいたします。
■市の回答
市では、地域での防災啓発活動に役立てていただくため、防災に関するDVDの貸出しを行っており、その中には、震災から20年目に作成された動画も含まれております。過去数年間はコロナ禍の影響で地域の防災活動が低調だったこともあり、貸出実績はございませんでしたが、今年度は、自主防災会や地区青少年愛護協議会など4団体に貸出しを行っております。
震災を経験した市民が減少していく中で、市としましては、今後も震災を知らない若い世代への震災の教訓や経験が継承されるよう、DVD貸出事業も含め、出前講座などの地域と接する様々な機会を捉えて啓発に努めてまいります。
■現在の啓発動画の実効性に関する意見(田中まさたけ)
1年間で4団体への貸出ししかなかったということで、寂しい実績であり、さらに工夫が必要だと思います。
阪神・淡路大震災の対応を経験された市職員、そして、市職員OB、また、市民の方々の経験談をしっかりと記録して多くの方が視聴できる環境を整えるべきと考えます。
■再質問1(田中まさたけ)
震災の震災から30年の節目を迎えるに当たりまして、インタビュー形式であったり座談会方式など、様々な方法で動画を作成することについて、市のお考えをお尋ねしておきたいと思います。
■市の回答
市では、今年度(令和6年度)、県事業を活用し、若年層への効果的な啓発に関する実証実験を行い、震災を経験された方へのインタビューを含む動画をティックトックで公開しており、市のホームページでも紹介しております。
震災経験談の動画作成につきましては、震災を経験していない世代にも興味を持ってもらえるよう、学生が震災経験者をインタビューする方式や各年代層を交えた座談会方式で行うなど、できるだけ震災の教訓、経験が伝わりやすい方法を検討してまいります。
■訓練の強化について(田中まさたけ)
経験談を聞くだけにとどまらず、震災の教訓を風化させないためには、実践的な訓練を通じて課題を洗い出し、継続的に改善をしていく必要していくことが必要です。
具体的には、避難所訓練、避難所の開設・運営や炊き出し、災害ボランティアセンターの開設・運営、支援物資やボランティアの受入れ、道路の確保や瓦礫撤去の手順の確認、そうしたことが挙げられると思います。これらを、市民だけではなく、災害協定を締結している企業や団体も交えて実践する必要があると私は考えております。
■再質問2(田中まさたけ)
節目となる今年、市民参加型の実効性の高い総合防災訓練を実施すべきと考えます。そして、より効率的かつ効果的な訓練とするため、民間事業者に準備業務を委託する方法も検討するべきではないでしょうか。市のお考えをお聞かせください。
■市の回答
市の防災力強化に向けた訓練としましては、今年度(令和6年度)は土砂災害救助訓練を実施いたしましたが、次年度は、参加機関及び団体を拡大して訓練を行う予定としております。さらに、災害時の物資に関する集配方法及び拠点運用などを検証するため、新たに物資供給に関する図上及び実地訓練を行う予定でございます。
市民参加型の訓練といたしましては、昨年度(令和5年度)及び今年度(令和6年度)とも、自主防災会や消防団のほか、医療機関、大学、災害時応援協定を締結している企業等とも連携し、2地区で小学校区防災訓練を実施いたしました。
次年度(令和7年度)は4地区で実施するよう調整しており、訓練内容につきましては、地域の意向を踏まえる必要はございますが、避難所運営や炊き出しなど、より実践的な訓練を実施していきたいと考えております。
訓練の準備に関しましては、地域団体や小学校との調整は市が行いますが、必要に応じて外部委託の検討を行うなど、より効率的かつ効果的な訓練実施ができるよう努めてまいります。
■意見・要望(田中まさたけ)
震災を経験された方々のお話では、経験された方から、また近々30年前に発生したような大地震が発生した場合、今の体制で本当に対応できるのか、そうした心配の声が寄せられております。
訓練については、現在は、参加者数が少ないと感じますので、先ほどの御答弁では2地区を4地区に増やすということでした。現在は、(多くが)小学校区で開催されていると思いますが、参加される方は、小学校区に限らず広域から来てもらえるような工夫もできると思いますので、せっかく実施される訓練への参加者を増やす工夫、広報についても、これも民間事業者のノウハウの活用も含めて御検討いただきたいと思います。
===ここまでが本会議場での議論の概要===
一般質問では、安井市民館で開催された「あの日を忘れない」という地域行事のことを紹介しましたが、前回コラムで掲載しました大社公民館での「防災体験会」においても、震災を経験された方とお会いしてお話を伺う機会がありました。
その方は、あの日のことを思い出したくないので、できるだけ防災関連の行事には参加しないようにしてきた、というお話を伺いました。すべてをなくした心の傷は癒えることがないことも痛感しました。
お身内をなくされた方のお気持ちを伺って、防災関連の行事を実施する際の配慮についても考える機会となりました。そして、動画を作成する際には特に、お身内をなくされた方々への配慮も忘れず、悲しい思いをする人を減らすためにも、これからも防災対策に取り組まなければならないと改めて思いを強めました。
今回の一般質問を通じて、訓練の実効性の向上、備えの強化について、市とも認識を共有することはできたと思っています。
引き続き、防災の取組みについて動向を注視し、次なる大規模地震や風水害に備え、今後も政策を提言したいと考えています。
フェイスブックの投稿より
■4月30日投稿
【お祝いと】
20日(日)、アミティ・ベイコムホールにて「西宮市市制施行100周年記念式典」が、多くの方のご出席のもと、盛大に開催されました。
ただ、後日、市民の方と式典での出来事をお話しすると、「そんなイベントあったの?」とのことでした。大阪・関西万博の話題でも感じることですが、経済や安全保障などさまざまな政治課題が噴出する中で、日本全体が重苦しい雰囲気にあるせいか、お祝いムードが広がっているとは言いがたい現実もあります。
とはいえ、これから1年間、さまざまな団体によって、市内各所で記念事業が開催されると思います。より多くの方に参加していただき、100年に一度の節目を楽しみながら、まち全体が少しでも前向きな雰囲気になればと願っています。
式典と同じ時間帯に、市役所前に地域のだんじりや太鼓台が集結しました。一部と二部の間の休憩時間に少しだけ様子を見ることができ、私も所属しておきながらなかなか参加できていない「大市太鼓台」のメンバーと久しぶりに会い、記念に写真を撮らせてもらいました。
第二部では、創立60周年を迎えた西宮市吹奏楽団の演奏が披露され、100周年を記念して鈴木英史氏に作曲していただいた「センティニアル・フィエスタ」も初披露されました。先月16日(日)に行われた記念定期演奏会に初めて行きましたが、この時も会場は満員で、楽団の人気と迫力を肌で感じました。
西宮には、県立芸術文化センターや甲子園球場、歴史ある神社など、全国に誇れる施設が多くあります(いずれも市の施設ではありませんが…)。こうした文化芸術やスポーツの資源を、政策の中でもっと活かさないともったいないと思っています。
この日は朝から、中央体育館で行われた市民体育大会総合開会式、続いて阪神競馬場で開催された「環境対策協議会」と「西宮リバーサイド自治会連合会」の総会に出席しました。どちらの団体も、式典の場で表彰を受けられました。また、西宮甲山ライオンズクラブや、議会で取り上げてきた「モリアオガエル保存会」の中学生も表彰されました。まちづくりのために頑張っていただいている団体をこの晴れの場で表彰して、後世に残す企画は良かったです。
地域のつながりは、以前より希薄になってきている部分もありますが、それでもなお活発に活動し続ける地域コミュニティは、西宮の魅力のひとつだと改めて感じます。市内各地域の青年団、だんじりや太鼓台の保存会も含めて。
式典会場の前では、100周年記念の切手や限定の日本酒が販売されており、記念に購入しました。
これからも、「住みたいまち・西宮」の一層の魅力向上を目指し、いただいた役割を果たせるよう努力します。