普通教室への空調設備の整備の財源は?ー平成20年3月議会一般質問

2008年5月30日[カテゴリ:子育て・教育, 財政・財政改革, 質問

 前回コラムの続きです。

 平成20年3月議会一般質問では、新規事業実施のルール化について議論をしましたが、ちょうど具体的な新規事業として、小学校2校の普通教室へのエアコン設置事業が新年度予算案に上がってきましたので、再質問という形で具体的な事例として確認をしました。
 
 そして、学校へのエアコン設置は、昨今の夏場の猛暑を鑑みると不可欠な状況であることから、市内すべての市立学校に設置することになった場合でも、再び西宮市が財政難の状況に陥ることのないよう、その財源の捻出に向けた取り組みも求めました。

===本会議場での議論の概要===

平成20年3月議会一般質問

2.新年度主要事業の意思決定と次期総合計画の根拠となる財源の見込みについて
■主張

 再質問をあえて一つだけさせていただきたいと思います。
 先日の市長の行政方針の中で、突如、しかも何気なくあらわれたのですが、市立高校の普通教室への空調設備の整備を新年度中に完了し、さらに、増改築工事を行う高木・浜脇小学校にも空調設備を設置するという施策がありました。
 そんな予定があったのかということで少し耳を疑ったんですけれども、先日の上田議員の代表質問の中でも小学校の普通教室に空調設備を設置するという発言があったと思います。
 そこで、私も、これはこの一般質問の中で確認をしておきたいと思いましたので、質問をさせていただきます。

■質問1(田中まさたけ)
 一般財源を充当して普通教室に空調設備を設置するというこの方針を提案するにあたって、それをいつ決定して、議会にはどのような形で報告して議論を求めたのかお答えください。

■質問1に対する教育委員会の回答
 これまで空調設備につきましては、道路騒音とか航空機騒音の対策といたしまして、小・中学校合わせて18校の普通教室などに設置してきております。
 浜脇小学校においても、道路騒音対策として、一部普通教室におきましては既に冷房設備が設置されております。また、高木小学校は、今回の北校舎改築に伴いまして、自然通風の確保が困難な状況となります。
 真夏日が増加するなど環境の変化が顕著となっておりますので、増改築工事にあわせまして空調設備を整備することで、室外機等の荷重についても建物の構造へ反映できること、イニシャルコストの低減につながることなどから、増改築工事にあわせて設置しようとするものでございます。

 2校への空調設備設置につきましての方針決定につきましては、20年度実施計画及び当初予算編成におきまして、全庁的な協議を経て、平成20年度予算案として現在審議をお願いしているところでございます。

■質問2(田中まさたけ)
 新年度に行う小学校普通教室への空調設備の設置に要する費用と国の補助金額を、概算で結構ですので、お答えください。

■質問2に対する教育委員会の回答
 浜脇小学校、高木小学校における空調設備設置に関する費用でございますが、それぞれおおむね1億5,000万円を見込んでおります。国庫補助の制限となります過大規模校に該当することから、財源措置につきましては、起債(借金)と一般財源で計上しているところでございます。
 一方、既存施設における単独による空調設備は、まず、建物の耐震化が空調整備・設置の前提となりますが、文部科学省の安心・安全な学校づくり交付金におきましては、工事費の3分の1が交付金の対象となります。

■質問3(田中まさたけ)
 メンテナンス費用や電気代など今後かかる経常的なコストは年間どの程度になると見込んでいるのか、お答えください。

■質問3に対する教育委員会の回答
 費用についてでございますが、まず、メンテナンスにつきましては、試算では年間1校当たり90万円を見込んでおります。また、冷房に要する光熱水費は、ガスヒートポンプ方式で1教室当たり9,000円と試算いたしております。

■質問4(田中まさたけ)
 この意思決定をするにあたっては、当然平等に全校に速やかに空調設備を設置する必要性が生じると考えるべきかと私は思います。市内のすべての小・中学校に空調設備を設置するための費用は幾らと見込んでおられるのか、また、今回の意思決定はそれら試算と財政見通しを勘案して意思決定をして、この提案をなされているのかどうか、お答えください。

■質問4に対する教育委員会の回答
 全校一斉に設置する場合の費用でございますが、費用の平準化のため、13年リース契約といたしますと、約32億円と試算しております。

■質問5(田中まさたけ)
 耐震改修が急がれています。それと同時にやっていかないといけなくなる可能性もあります。この空調設備の中学校への設置も含めて、何年で全校に設置を完了する御予定なのか、設置計画をお答えください。

■質問5に対する教育委員会の回答
 今後、既存校につきましては、耐震化の問題や、設備機器の設置上の強度対策もございまして、新総合計画の中で耐震化整備事業とともに空調設備の設置方針を立ててまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 こうしたことはきっちりと資料にして、このような形で質問をしなくてもいいように、最初に準備しておいていただきたいと、要望しておきたいと思います。
 今、御提案されている予算案がこのまま可決されれば、学校の普通教室にクーラーが設置されるということです。去年は特に暑かったですから、当然お子さんを小学校に通わせている方にとっては大変喜ばしいことではないかと思います。
 それと、もう一つは、学校の先生にも非常に喜んでいただけるだろうと思ってます。先ほども言いましたけれども、この2校だけというわけにもういきません。いかないと私は思います。

 ですので、耐震化事業とともに空調設置の方針を立てると御答弁いただきましたので、速やかに立てていただきたいと思います。
 例えばこれから50年かけて徐々にやっていきますとか、そんなのんびりしたことではなく、遅くとも10年でやってください。そのことも要望しておきたいと思います。

 ちなみに、私の試算では、この事業を実現すると概算ですが約100億円になります。
 ですので、早急に100億円分の財源つくってもらわないといけませんので、財源を捻出するために全庁的に検討していただかないといけないのではないかと思いますので、その点は指摘をしておきます。

===ここまでが本会議場での議論の概要===

 これまでにエアコン整備については、議会での議論はありましたが、予算化されるまでの答弁はなされていなかったと思います。浜脇・高木小学校の両校は大規模校ということで、国庫補助の対象にもならないということです。

 今回、予算化するにあたって、市民サービスのカットを進め市民に不満を抱かれている行財政改善実施計画が終わっていない段階でも、議会への報告も特になく意思決定がなされたということが確認できました。まずは、丁寧さに欠ける対応であると感じました。
 
 そして、この空調整備事業の必要性が増してきていることは理解するところですが、市内の公立学校全体に対する整備計画や工事費も含めた財源の試算もなく、目先の場当たり的な新規事業の意思決定の仕方、進め方、説明の内容に危うさを感じました。
 空調整備はこれまでなかったものを新たに作る事業ですし、学校へのエアコン整備に対する考え方も議論が分かれている状況ですので、丁寧に計画的に進めるべき事業であったと考えています。

 前回コラムに掲載した議論の中で指摘していた、基準が全くない中でのこうした対応は、今後、再び財政状況を悪化させる可能性すらあります。
 多額の財源を要する事業が始まることになりますので、今後の財源ねん出と効率的な事業手法の提案が必要だと考えています。

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