西宮浜小中一貫校の方向性について

2019年1月28日[カテゴリ:学校教育

本日、西宮市議会 教育こども常任委員会で
小中一貫校の設置について
所管事務報告がありました。

資料はこちらです。↓をクリックするとPDFが開きます。
西宮浜小中一貫校の方向性について

私は、平成30年6月議会の代表質問で取り上げ、検討の内容を確認し、
設置に関して要望もしておりました。
平成30年6月議会代表質問をご参照ください。

■きっかけは現実的な課題の解消

小中一貫校の設置を本格的に検討するきっかけとなったのは、
小学校での児童数の減少により、
複数の学年で単学級となる見込みとなったことです。
西宮浜地域では、
今後も児童生徒数の減少は避けられない状況とのことです。

単学級の学年が常態化すると、

①クラス替えがないことにより、
児童生徒の人間関係やお互いの評価が固定しやすくなる。

②職員数が少なくなることにより、
1人当たりの校務負担や行事に係る負担が重くなり、
児童生徒と向き合う時間の確保が今以上に難しくなることが予想される。

という生徒児童にとっての
大きなデメリットが生じると危惧されています。

そして、
「隣接した1小1中学校の関係であることや、
開校以来市内のモデル的存在として取り組んできた小中連携教育を生かし、
魅力的な学校づくりを進める必要がある」と市は説明しています。

今年度(平成30年度)から、
主として教育連携協議会の委員で構成する
「西宮浜小中一貫校設置準備委員会」を設けて、
地域住民や保護者、学校とも十分に協議を重ね、
本格的に小中一貫校の設置に向けた準備を進めていることも
昨年(平成30年)6月に判明しました。

■西宮市全体の問題として

西宮市では、
児童数の急増により教室が不足している学校では仮設校舎が建ち、
平成30年10月現在で、41小学校区のうち、
13小学校区で集合住宅、マンションの建設を抑制する地区に指定しています。
加えて、5小学校区で抑制しなければならなくなると予測されています。

一方で、
近年10年間で、0~5歳の就学前児童が、
4000人以上(H19年9月末29,671人⇒H30年9月末25,529人)も減少しており、
これは、平均的な規模の小学校約5校分に相当する児童数である
ことから、
他の地域でも、児童数の減少により、
統廃合を検討しなければならない可能性は
十分にあると考えてよいと思います。

つまり、同じ市内で、
開発抑制をする地域と統廃合を検討しなければならない地域が
混在するという異常事態となり、
今後ますます深刻化する可能性があります。

そこで、
今回の小中一貫の義務教育学校の設置は、
この児童数の偏在という課題を解決する
一つの方法となる可能性はあります。

■小中一貫校の魅力を明確化することが第一
そこでまずは、
西宮浜小中学校の児童生徒数を増やすためには、
子育て世代が、この学校に子供を通わせたいと思えるほどの
魅力的な学校づくりと実績が大前提になります。
西宮浜での小中一貫校の設置をご参照ください。
その結果、子育て世代が移り住んでくれれば、最高です。
もちろん、高潮や津波対策などの防災対策など、
安全対策も万全を期さなくてはなりません。

次に、
西宮浜地域に空き家が多いわけではありませんので、
他の小学校区から通学可能にしなければ、
大幅に児童数が増加することはないと考えられます。

そこで生じる課題は以下のことが考えられます。

○登下校時の安全対策
通学路や登下校時の交通安全対策は、
絶対に開校までに講じなければなりません。

○通学可能児童の上限設定
今回は、各学年の定員を70名程度としています。
通学希望児童が溢れた場合、西宮浜地域の子ども以外は抽選となります。
そして、大人気校となった場合、
施設整備の問題で、定員を増やす余地はないのか、
想定しておかなくてはなりません。

中長期的な課題としては、
○児童数偏在の差の拡大
通学可能区域を市内全域を対象にすると
児童数が減少している他の地域から通学する児童が増えた場合、
その地域の学校において新たな児童数の減少問題が生じる可能性があります。

○通学児童数の見込みが立ちにくい
市内全ての学校において、
学校の児童数の5年単位の中期の見込みが立てにくくなります。

○市内の子供たちに対する公平性
公教育の公平性の観点からは、
事実上通学が困難と考えられる北部地域(塩瀬、生瀬、山口)の子どもたちへの配慮も含めて、
小中一貫校を市内で何校設置することが適当なのかも含めて、今後検討が必要です。
しかし実現するには、
西宮浜のように、1小学校1中学校となっている校区が市内には他にないため、
中学校区や小学校区の変更、統廃合等、
大きなハードルを避けては通れません。

そのほか、整理すべき課題があると思われますが、
児童数が減少し、
まち開き当時の地域特性により公立学校の存続を目指す西宮浜では、
まずは走り始めたいとの報告であったと受け止めています。
来月から始まる3月議会で、条例改正の議論し結論を出します。

追記(平成31年3月議会を終えて)
議案「西宮市立学校条例の一部を改正する条例制定の件」が賛成多数(賛成33、反対5)で可決し、
平成32(令和2)年4月1日より、西宮浜義務教育学校となることに決定 しました。

学校の教員の方々の負担増等を理由に、
義務教育学校の設置に反対する意見があり、
様々な懸念事項を掲げて反対運動が展開され、
その主張を耳にした地域の方々に不安が広がっているそうです。

しかし、
その反対運動のおかげで、
地域住民が不安に思いそうなことも明らかにしてもらっているわけで、
教育委員会はそれらの不安や懸念に対して、
対応、対策を講じることも可能となっているはずです。

今後も開校まで、
丁寧な対応と説明を求めてまいります。

記事一覧