アサヒビール工場跡地問題②

2014年8月5日[カテゴリ:都市計画

■7月の動き
河野前市長の交渉のもと結ばれた基本協定は、
7月31日までに市が土地購入手続きを進めなければ、
破棄されることになっていました。
そして、
土地の購入金額については、
先方から公共施設の建設に協力するという姿勢を示してもらっており、
いい条件で取得できることになっていました。

また、
現存の市有地を売却すれば、
今回の土地の所有額は一定の相殺ができると見込まれ、
全市的な観点では
交通アクセスも良くなるわけですから、
これまでの意思決定のとおり、
基本協定に基づいて土地を確保するべき
と考えておりました。
なお、
計画通りに移転新築されて、市有地を売るとしても
必ずしも中央病院や中央体育館の跡地を売却する必要はなく、
これらの跡地を他の公共施設の建て替え用地として活用することによって
別に生まれる空いた市有地を売って財源を確保することも可能だと思っていました。

一方で、
私は以前から、中央病院が公立病院であることから、
すべての地域の市民に必要とされていない現在の病院のままであれば
新築移転するべきではない
と主張しておりました。
よって、
土地の利活用方法(事業着手の時期など)については
先の市長選挙の結果を真摯に受け止め、
今後も議論をするべき
であると考えていました。

そこでまず、
7月5日の本会議において、
議会の大多数の賛成のもと結ばれた基本協定に基づいて
土地を購入するべきという趣旨の
決議案第4号議 アサヒビール跡地を基本協定に基づいて購入するよう市長に求める決議(案)
提案され可決しました。
合わせて、
議会で改めて徹底的に議論するために、
①基本協定の期限を延期してもらえるよう先方にお願いする
②それが先方に受け入れられなかった場合、期限までに徹底して議論するべき
という趣旨の
決議案第5号 アサヒビール跡地問題について基本協定が有効である間の議会審議を求める決議(案)
提案され可決しました。
そして同時に、
議会は、アサヒビール工場跡地問題特別委員会を設置して、
市長と徹底議論をする体制を整えました。

そして早速、
7月9日に特別委員会が開かれて議論が始まりました。
まず、
決議で求めた基本協定の期限延長については先方2社に全く受け入れられず、
市長から、
①2.6ha(基本協定では3.8ha)の土地を、市の外郭団体である都市整備公社が購入して、
市が民間企業からプロポーザル(まちづくり提案)を受けてまちづくりを進める

②残りの土地については、「まちづくりガイドライン」の策定に向けて協議する

ことをアーク不動産(株)に申し入れたという代替案が示されました。

議会としては、
あくまでも、土地購入の目的は公共施設の建設用地を想定していたので、
この代替案は到底了承できるものではなく、
むしろそれなら買わない方がマシとさえ思いました。

続いて、
7月16日に特別委員会が開かれ、
議会の求めに応じて
中央体育館、西宮消防署の建て替えの代替案(現地建て替え案)も初めて示されました。
そして、
7月23日の特別委員会で、
市の申し入れに対するアーク不動産(株)からの回答が市より報告されました。
その概要は、
①市長と議会の意見を一致させてからでないと土地を譲る意思決定ができない。
②都市整備公社が購入した土地を別の民間事業者の提案を募るという市の申し入れは受け入れられない。
つまり、
アーク不動産(株)も民間の開発事業者であり、
自分たちでも十分に市の意向に沿った開発・まちづくりが可能であるということです。
ここまでは、当然の回答だと思います。

そして、
③今後も、2号線沿いの土地を除いて、「まちづくりガイドライン」「まちづくり基本協定」の締結に向けて
土地利用計画について市と協議を続ける。
というものでした。
合わせて、
これらの議論をアーク不動産(株)の関係者の方が聞いておられたようで、
懸念されていた
教室不足など教育環境に影響を及ぼすような大規模集合住宅や
風俗営業関連の施設(パチンコ店等)の立地は計画していないことも明確に回答されました。

これも議会での議論の成果だと思っています。

ですので、
この時点で、
市議会報告第39号で示した私の懸念は一定、なくなったと思っています。

そして、
同日の特別委員会において、
市長は、ご自身の公約とアーク不動産(株)からの回答と議会の主張を考慮して、
公約であった県立西宮病院と市立中央病院の統合が実現した際の
新病院の建設候補地として確保しておくために、
2.6haを市の外郭団体である西宮市土地開発公社が購入するという内容を
改めてアーク不動産(株)に申し入れるという提案がありました。

ただし、
病院の統合が実現しなければ、
他の公共施設の用地として活用する考えはなく、
売却するとのことです。
あくまでも、公約を貫いています。

7月25日の特別委員会で
その市長の提案を議会も一定了承し、
議会と市長の意見が集約された形になりました。
ここまでが、
わずかに残された期限までにできる議論の限界であったと思います。

8月5日現在、
この最終の申し入れに対する先方からの回答は報告されていません。
金銭的に、基本協定程度の条件で譲ってもらえるのか、
注目されるところです。

病院の統合問題も県から応じてもらえるという回答を得ているわけではなく、
いわば、市が勝手に盛り上がっているような状態と言えます。
県の対応に注目です。

いずれにしても、
7月31日をもって基本協定は白紙となりました。
今後は、県立西宮病院と市立中央病院との統合問題や
中央体育館、西宮消防署の建て替え、
そして、しばらくは現状のままになる中央病院の経営改革についても
一層議論を深める必要があります。

他にも課題は山積みですので、
より良い「文教住宅都市・西宮」の実現に向けて
一層機動的に対応する議会環境を整えなければならないと考えています。

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