参画と協働を理念だけで終わらせないために-平成22年6月議会一般質問

2010年8月17日[カテゴリ:参画と協働, 質問

 これまで参画と協働の取り組みの条例化について、名称は「(仮称)市民参画条例」となっていましたが、本会議において様々な視点で提言してきました。
 そして、「西宮市参画と協働の推進に関する条例」が平成21年4月より施行されました。その中で、助成金の支給を伴う「協働事業提案制度」について、市民の反応と透明性の確保について、市と議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成22年6月議会一般質問

1.協働の取り組みの促進について
ア)協働事業提案制度の課題と協働の意義
■質問の背景(田中まさたけ)

 昨年4月に全面施行されました「西宮市参画と協働の推進に関する条例」に基づいて、協働事業提案手続が始まりました。
 配付資料の表1に示しましたが、昨年度行われた協働事業提案に関しては、昨日まで情報が全くありませんでしたので、一覧表を提供していただきました。

 昨年度は、12件の申請があったそうで、そのうち10件が採択され、9件に対して助成金が支給されています。一方、表2には、(協働事業提案ではありませんが)平成17年度から3年間限定で行われた地域福祉モデル事業の概要を示しました。
 3年間で補助金約240万円を活用しまして、15件の事業が行われました。
 これらの二つの取り組みに共通している課題と私は思っておりますが、活動団体の組織拡大の支援にとどまることなく、事業実施後の課題解決に向けての継続的な協働体制がより重視されるべきと私は考えています。
 
 ここで幾つか改善すべき内容をこの場で提言したいと思います。

■提案1:協働事業の提案に当たっての書類作成など手続に関する支援です。
 提案者となる市民は、行政事務に精通しているわけではありませんし、高齢の方もいらっしゃるでしょうから、より広く提案を受け付けるためにも、提案書類の作成の支援として、手引書を作成するなどの配慮が必要と思われます。

■提案2:助成金の支給基準の明確化です。
 成熟社会に向かおうとする中、多様化するまちづくりの課題を解決するためには、限られた財源をより有効に、かつ効率的に配分することが求められています。よって、助成金の支給を検討する際には、補完性の原理に従い、補助金の役割や支給基準を明確にしておくべきです。
 また、他市にもありますとおり、新規事業の拡大のみではなく、市が団体等と協働で取り組める可能性のある既存事業を具体的に市のほうから示し、その中からも市民から協働提案していただけるような工夫も検討すべきであると考えます。

■提案3:公募型の補助金制度としての制度拡大です。
 既存の補助金については後ほど取り上げますが、平成16年12月議会での私の一般質問において、既存の団体等への補助金も、すべて一度白紙にして、補助金公募制度を確立した我孫子市での取り組みを御紹介致しました。
 本市においても、単なる歳出削減を目的とした見直しにとどまらず、新規のものも含めて、具体的に補助金支給の制度化を行うべき だと提言を致しました。
 その御答弁の内容から、当時の既存補助金の見直しが行った後に、補助金の制度自体のあり方を検討していただけると理解をしておりました。しかし、その第3次行財政改善の取り組みが終了して1年、御答弁から5年以上が経過しようとしていますが、一向に変化が見られず、前の市長は辞任をされました。
 そこで、既存補助金は対象になりませんが、新たな制度をわざわざつくらなくても、助成枠や助成する期限を拡大するのであれば、あわせて、支給基準の明確化や協働による効果の明確化など、支給前と実施後の評価システムをセットにして、協働事業提案手続における助成金の支給制度を発展させれば、公募型補助金制度は早期に実現可能と考えます。
 以上のことを踏まえましてまず、3点お尋ねします。

■質問1(田中まさたけ)
 市民団体などからの協働提案の内容はもちろんのこと、助成金を支給することによる効果や、解決が期待される課題、もしくは期待される政策効果、そしてまた継続性といった補助金支給の根拠となる判断基準など、支給決定に至る意思形成過程の結果を公表すべきと考えますが、見解をお尋ね致します。

■市長の回答
 協働事業提案の補助金の透明性を確保するため、支給決定までの過程の公表について私からお答えします。
 平成21年4月に、市民などが持つ豊かな知識や経験をまちづくりに生かし、市民などと市がよりよい本市の姿をともに考え、その実現に向けてともに行動することを目的とした西宮市参画と協働の推進に関する条例を全面施行致しました。
 この条例の第15条に定める協働事業提案の手続に基づきまして、平成21年度には、「西宮船坂ビエンナーレ2009~プロローグ~」など10事業を実施致しました。

 これら協働事業を決定し、実施するまでの手続としましては、最初に、提案者から市に事業提案書の提出をしていただきます。その後、提案者と市関係課が事業内容や実施体制について協議を行った上、市が協働事業としての可否の決定を行い、提案者に通知致しておりますが、決定過程は公表致しておりません。
 しかし、協働事業の内容、意義と効果、市と提案者の役割分担などにつきまして公表していくことが、補助事業としての協働事業の透明性を高めるとともに、事業について市民の理解を得ることにつながるため、今後、公表の方法などについて検討してまいります。

■質問2(田中まさたけ)
 協働事業提案制度における事業費補助は1回のみとなっております。昨年度に採択された協働事業のうち、今年度継続して行われる事業は何件予定されているのか、お尋ね致します。
 また、採択された協働事業の継続をどのように担保するお考えなのか、あわせてお尋ね致します。

■市の回答
 協働事業の継続性についてでございますが、昨年度の協働事業提案10事業のうち、本年度に継続する予定の事業は6事業でございます。現在、協働事業に対する補助金は単年度限りとしておりますが、事業の効果を高めるため、さらに継続していく必要があると判断した場合は、提案者の主体性のもと、協働事業として継続できるよう、市と提案者が協議しております。
 今後は、協働の取り組みが継続できるよう支援するため、複数年での助成の仕組みとあわせて、助成枠の拡充や公募型補助金制度も検討してまいりたいと考えております。

■質問3(田中まさたけ)
 協働事業の拡大に対応するための今後の財源確保をどのように考えているのか、お尋ね致します。

■市の回答
 平成21年度から、設置者の御協力により、売上金の一部を御寄附いただき、本市のまちづくりへの支援をいただく、飲料水のまちづくり支援自販機の設置に取り組んでおります。
 寄附金を協働事業助成金に活用することで、市民とともに進める協働事業を推進しようとするものであります。今後とも、まちづくり支援自販機の財源も活用しながら予算措置してまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 市長みずから、事業選定や意思決定に関する公表の方法を検討するとご答弁いただきました。 
 公表の方法を検討するということですので、協働の提案内容はもちろん、補助金を支給することによる効果、期待される政策効果はもちろん公表していただきたいと思います。 
 合わせてもう一つ、市民の主体性を前提とした継続性についても、助成金の支給が終わった後にどのようされていくのか、その辺のことも公表していただきたいと思います。

 昨年度行われた協働事業の10事業のうち6事業だけ、今年は継続される予定であると御答弁がありました。残りの4事業というものは、どうなっているのかというところまでは回答いただきませんでしたが、継続しなかった4事業が、1年だけの協働で課題解決ができたのか分かりません。
 その辺のところも、現在、参画と協働を推進する条例の評価委員会を立ち上げているとのことですので、そちらのほうで明らかにしていただきたいと思っています。
 
 また、公募型補助金は、新規で手を挙げていただくものになると思っています。既存の補助金も検証していくシステムが必要で、補助金が目的どおりに適正に使われているかは監査のほうでもチェックしていただいているとは思いますが、それらを合わせてより多くの方に見ていただく仕組みをつくっていくということも必要だと思います。

 そして今回、当局の方から御答弁はいただきませんでしたが、現在は、「何か一緒に協働をしませんか」ということで事業を募っておりますが、逆に市が現在行っている事務事業の中で、もっと市民の方と協働してやっていけばもっと事業の効果が上がるのではないかという事業が必ず眠っていると思っています。
 そういうものを掘り起こして市民の方に提示し、協働を募って、担っていただける団体が見つかれば、より有効な協働事業になるのではないかと思いますので、その辺も工夫していただきたいと思います。

====ここまでが、本会議場での議論の概要====

 以上の3点の質問に対しましては、前向きの回答を得られたと思っています。今後の動向を見守りたいと思います。

 この項目に関する質問はまだまだ続きますので、次回以降のコラムに掲載したいと思います。

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