前回コラムの続きです。
平成29年度より介護保険制度が大きく変わることが決まっています。
詳細な制度設計は、地方の実情に応じて行われることになっており、その対応は市町村に委ねられていることから、市町村によって取り組みは大きく変わってきます。
新たに導入される介護予防・日常生活支援総合事業について、西宮市ではどのような取り組みが行われるのか、また、現在介護保険サービスを利用されている方にどのような影響が及ぶのか、まだ先のことのように感じるかもしれませんが、できるだけ早期にお知らせして、対応していただく準備を進めてもらうべきと考え、平成27年12月議会で取り上げて、市の対応を確認しました。
===本会議での議論の概要===
平成27年12月議会一般質問
2.介護予防について
ウ)介護予防・日常生活支援総合事業
■質問の背景(田中まさたけ)
平成29年度から新たな介護予防・日常生活支援総合事業が本格実施されます。
この事業の制度設計は市に委ねられており、市が実施する制度の概要を早く示さなければ、民間事業者の受け入れ体制やボランティアが主体となる事業などの受け入れ環境が整わない状況となる等、結果的に要支援の方々のサービス利用が大幅に制限されるおそれもあります。
先ほども申しましたとおり、要支援1・2の方々の構成比が大きくなってきている現在、要支援の方々の重度化防止をさらに重点化するべきと考えます。
■質問(田中まさたけ)
新たな介護予防・日常生活支援総合事業への移行に向けて、市の方針を早期に示すべきと考えますが、制度設計に関する今後のスケジュールと課題をどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
■市の回答
新しい介護予防・日常生活支援総合事業への移行に向けた今後のスケジュールと課題についてでございますが、平成27年4月の介護保険法の改正により、これまで要支援者に対し全国一律の基準で行われていた通所介護や訪問介護が、地域の実情に応じて市町村が取り組むことができる地域支援事業に移行されることになり、本市では、平成29年度からの実施を予定しております。
移行に向けたスケジュールでございますが、今年度中に実施する事業を明らかにし、平成28年の秋ごろには詳細を決定した上で、利用者や事業所の皆様へ周知を図ってまいりたいと考えております。
また、移行に向けての課題といたしましては、住民主体によるサービスの創出、必要な人材を有した事業者の確保、利用者の増加による財源の確保などが挙げられます。
現在、局内において移行に向けた協議を精力的に行うとともに、地域人材を発掘、育成する生活支援コーディネーターの配置や、事業者への参入アンケートを実施するなど、準備を進めているところでございます。
これらの課題を解決し、円滑に移行できるよう、介護予防事業の充実を図るとともに、介護人材の養成や自立に向けたケアマネジメントを実施するなど、積極的に取り組んでまいります。
■意見・要望(田中まさたけ)
要支援1・2の方々も、新しい制度になったらどこまでサービスが受けられるようになるのだろうかと、現在、不安に感じている方もいらっしゃると思います。
また、財源の問題もありまして、何でもかんでもできるという状況ではないということも理解をしてもらわなければいけないという中、財源の問題で介護報酬の単価を余りにも抑え過ぎると、事業者の採算性の問題から、要支援1・2の方を受け入れにくくなるというようなことになると、これは大変なことです。
その辺は、しっかりと事業者の方々とも意見交換をしながら、制度設計をしていただきたいと思います。
また、要支援1・2の方々の、特にリハビリや重症化の予防に力を入れていかなければ、要介護状態の方々が増えるようであれば、結局、財源がそこにつぎ込まれてしまうことになりますので、その辺も勘案して早く制度設計をしていただきたいと思います。
また、例えば家事援助であったり、買い物支援といったことも、要支援の方々にとって必要という状況にあると思います。現在、IT技術が進化し、先般もニュースになっていましたが、アマゾンをはじめ流通業界もかなり進化しています。
ですので、生活用品のお届けサービスも、これからどんどん進歩してくるのではないかと思っています。高齢者の方々は、なかなかIT技術を使いこなすのは難しいのかもしれませんが、そうしたことを、例えば通所介護施設等で対応してあげれば、施設に行ったときに必要なものが手に入るといったことも、今後、付随のサービスとして行われることも想定できると思います。
ですので、今後、1年、2年の間で随分状況が変わってくることも想定できますので、その辺も勘案して、来年秋までに詳細設計を行うということですので、そこまでに検討していただきたいと要望いたします。
===ここまでが本会議場での議論の概要===
介護の問題は、自分事として取り組む必要があることを実感します。
今後も、超高齢社会を目前にして、粘り強く取り組みたいと考えています。