田中の考え |
鉄道・バスの利用者数の推移を下表に示しました。バスの利用者数に関しては、平成10年から10年間で、15%の人口上昇を勘案すると約1万人減少しているといえます。また、鉄道の利用者数は、人口増を加味すると11%減少しているといえます。一方、自動車の保有台数は、10年間で約13%増と人口増とほぼ同様の割合で増加しています。
例えば、乗り合いバスの利用を促進するためには、全ての交通不便地域ごとに単独のバス路線(コミュニティバス)を整備するというハード整備には、一定限界があると考えられます(環境効率も財政効率もよくないと考えられます)。私は、民間バス事業者との協働、住民との協働を前提として、IT技術や小型車両などを駆使しながら、既存ストック(バス路線)を活用することでクリアできる課題(地域)も多いのではないかと考えています。
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質問 |
次期総合計画の各論「公共交通の利便性の向上」の中で、「まちづくり指標」として、「市内のバスに対しての満足度」や「バス利用者数」について目標値をかかげていますが、実現に向けての考え方をお聞かせ下さい。 |
回答 |
平成11年度の市民意識調査でのバスの対する満足度を地域別に見ますと、山口地域は、市内の中でも最も満足度の低い地域となっています。来春から「さくらやまなみバス」が運行されることによりまして、当地域のバス交通の課題は一定、改善がなされ、バスに対する満足度の向上に寄与するものと考えています。また、市内の既存バス路線については、路線の再編、乗り継ぎ運賃の割引制度、阪急阪神の相互乗り入れなどについて、引き続き、バス事業者と協議していきたいと考えています。
その他のバスサービス水準向上の具体策としましては、バス停留所の上屋、ノンステップバスの導入の促進や、駅前広場の整備などバス関連施設の整備があります。バス停留所の上屋整備につきましては、市の補助制度を利用したバス事業者自身が行う整備方法のほか、いわゆる広告付き上屋といわれる整備方法もあります。この広告付き上屋は、民間の広告企業が主体となり、道路占用など必要な許可を受け、バス事業者に代わって広告付きのバス停留所上屋を整備するものです。その際、施設の整備費や維持管理費と広告収入で賄うため、市やバス事業者の費用負担なしで、景観的にも配慮されたグレードの高い上屋整備を行うことが可能であります。ノンステップバスについては、本市では、平成11年度より、新バリアフリー法に定める目標値である、普及率30%を目指して、市内で運行を行う阪急・阪神バスに対し、国・県・市の協調補助を行い、導入の促進を図っているところです。
市としては、バスの事業者との、より一層の連携により、マイカーからバス利用への転換を促し、次期総合計画における「公共交通の利便性向上」の目標値である「市民のバスに対しての満足度」や「バス乗車人数」の増進に努めていきたいと考えています。 |
結論・要望 |
回答の通り、さくらやまなみバスの開通により、市内のバスに関する大きな課題は解消されました。第4次総合計画における「バスの満足度」や「バス利用者数の向上」については、既存のバス路線に対する対応であることも明らかにされました。
新規バス路線の整備は、ハード整備であるといえます。近年、コミュニティバスの導入が求められていますが、他市でよく導入されているコミュニティバスは、多くは大きな赤字を抱え、市が財政補てんをしています。市におんぶに抱っこ型の「コミュニティ」とは名ばかりのコミュニティバス路線を単純に導入していくことは避けるべきだと考えています。最近になって、オンデマンド型の乗り合いバスの研究などが産官学の連携により行われたり、過疎地域が中心ですが、住民の助け合いによる乗り合い交通を実現している地域も出てきました(まさに、“コミュニティ“バスだと感じました)。そうした風土ができれば、路線内のどこでも手を挙げれば乗れるようなバスも実現できるかもしれません。今後は、既存のバス路線の利便性を向上させる努力をするとともに、そうした最新の研究、実証実験を重ねてもらいたいと思います。 |