「ハード整備からソフトの充実の時代に入った」といわれて久しい反面、それ以降、ソフトという名を借りて、あらゆることを行政・税金に依存する風潮が広がっているように感じています。成熟社会に向かうなか、そうした風潮を放置していては、納税者の負担をさらに増やさない限り、財政がもたなくなることは明らかです。また、ハード面でも、これまで高度経済成長期に整備してきた公共施設や道路構造物などの老朽化が進んでおり、そのまま再整備するにはさらに多額の財源が必要となります。
先人たちが残してくれた、このすばらしいまちを次世代へ引き継いでいくためには、「行政や議会の果たすべき役割」や「住民との協働の実効性」を追求しながら、改革を進めるべきと考えています。
掲げた重点政策・目標に対して行動した結果、実現した施策、動き始めた政策が数多くあります。そして、これまでに皆さんから頂いたご意見により、増えた課題もあります。これまで重ねてきた「提言」を「実現」へ。常に市民からのニーズを汲み取りながら、重点的に取り組むべき政策目標を掲げ、実現に向けて「行動」したいと考えております。完全に達成するには時間がかかるものも含まれますが、豊かな社会を残すために、私たちの世代だからこそ今から地道に取り組む必要があると考えています。
すべては未来に誇れる西宮をつくるために。
平成31年4月
■ 子育て・教育環境の向上
~これからの日本を支える「人」を育成する・文教住宅都市を目指して~
マンションの増加等により子育て世代が急増し、保育所の待機児童や学校の教室不足等が深刻化している地域が多数あります。一方で、市内の中学生以下の子供の総数は平成19年度以降減少し続けており、統廃合を検討しなければならない学校もあります。目先の問題の解消に取り組みながら、学校や保育施設・家庭・地域が一丸となって質の高い子育て・教育環境をつくり、「子育てしたいまち」として魅力を高めることが重要です。
子育て世代の一人として、子育ての経験に基づいて、就学前の幼児教育から義務教育・高校教育まで、これからの日本を支える「人」を育成する文教住宅都市を目指して、「健全に子が育つ」環境の創造を目指します。
- 幼児教育・保育の内容の充実・明確化
- 幼稚園・保育所等における担い手不足や官民格差等の課題の解消
- 待機児童対策・少子化対策の強化
- 子どもの居場所・遊び場づくりと異世代・異年齢交流環境づくり
- 公立学校の学習環境の向上/子供の基礎学力・体力向上のための取り組みの推進
- 家庭教育支援の推進
- スポーツ推進による健全育成政策の充実/学校体育施設の計画的な環境改善と利活用の推進
- 幼稚園・保育所・学校の効率的な維持管理・再整備による施設の安全性・快適性の向上
- 登下校時の子供の防犯・通学路の安全対策の推進
■ 成熟社会における安心・安全なまちづくり
~少子化・高齢化・人口減少社会に対応できる政策へと転換し、人と街ともに「健康都市」を目指して~
高齢化が進み、人口減少社会を迎え、成熟社会へと向かう昨今、住民が安全に安心して暮らせるまちづくりを進めるためには、これまでの高度経済成長を前提とした様々な政策・制度を見直し、再構築していく必要があります。時間がかかるからこそ、大至急着手しなければなりません。
皆様の声を聴き、「現場主義・行動する政治」を貫き、市に対して新たな制度や発想の転換を提案し、安全に、そして健康に暮らせる「健康都市」を目指します。
- 介護予防事業の推進と実効性の向上
- 地域包括ケア体制(医療・介護・生活支援等の連携)の実現による地域で安心して暮らせるまちの実現
- スポーツ環境・政策の充実による「健康都市」の実現
- 市の医療政策の確立/西宮市立中央病院の抜本的改革の推進
- 歩行者の安全確保・自転車交通の安全対策・市内公共交通の利便性の向上など総合的かつ計画的な交通政策の推進による住みよい住宅都市の実現
- 官民協働による公園や公道への防犯カメラの設置の推進
- 道路・橋梁・上下水道のアセットマネジメント(適正管理と計画修繕)による災害に強いまちの実現
- 熱中症対策や風水害対策等身近な生活での危機管理対策の推進
■ 財政改革・市役所改革
~持続可能なサービスの提供と次世代へ「ツケ」を残さない市政を目指して~
「場当たり的に目先の対応に終始する行政運営、事業のやりっ放し、政策・ビジョンなき事業の推進」が目立ちます。これらの「お役所仕事」自体が「負の遺産」であり、これまでにも多くのツケを残してきました。そしてあとになって、そのツケを払わされるのはいつの時代も私たち市民です。「負の遺産」を清算しながら次世代にツケを残さない市政、持続可能なまちを目指します。
- 公共施設マネジメントの推進/財源が裏付けされた施設再整備計画の策定による箱モノ行政の適正化
- 財政構造改革の推進/民間との協働による一層の内部経費の抑制と市役所サービスの質の向上
- 既存の市内企業の支援(人手不足対策)及び産業流出抑制対策による雇用と税財源の確保
- 環境「学習」から環境「行動」への移行/環境政策の費用対効果の検証及び実効性向上による持続可能な脱炭素社会づくりへの貢献
■ 議会改革
~市民のために、成熟社会を迎える未来のために、機能する議会を目指して~
議会が行政のチェック機能を果たすだけでよければ、議員の数はまだまだ多すぎます。そして、地方分権が進むなか、西宮市が住みたい街として選ばれ続けるためには、個々の議員の質向上のみならず、「議会」としての機能向上を図る必要があります。また、「政策実現ができる議会」「市民の役に立つ議会」でなければ、議会・議員の存在意義はないと考えています。
そこで、政策推進を市長・市役所に頼る「行政依存」から脱却し、住民を代表する「議会」として住民の声を聴き、議員間討議と条例の議員提案など権限をフル活用して「政策を遂行できる議会」を目指します。
- 議会活動及び経費の透明性の向上・広報の充実
- 議員定数・議会経費の削減
- 「市民と対話する議会」の推進
- 政策的議員提案条例の立案・制定による政策推進