地区防災計画についてー令和6年3月議会代表質問

2024年4月15日[カテゴリ:質問, 防災対策

 年初のコラムに掲載しましたとおり、元旦に発生しました令和6年能登半島地震を契機に、改めて、本市では阪神・淡路大震災の教訓を風化させないためにも、南海トラフによる大地震に対する備えのためにも、身の回りの防災対策を再点検しなければならないと感じました。
 早速、3月議会で本会議での代表質問をする機会をいただきましたので、会派を代表して本市の防災対策について取り上げました。

 時間が経過するのは早いもので、もう13年が経過したことになりますが、平成23年12月議会一般質問において(←クリックするとコラム「防災対策について③-防災マニュアルの作成」が開きます)、小学校区単位くらいのエリアごとに、マップ付きの防災マニュアルを策定することを提案していました。

 そして、平成23年当時は市民に配布するような防災マニュアルは発行されていなかったのですが、平成26年に、まずは市内を3つのエリアに分けた防災マップが発行されました。

 さすがに41校ある小学校ごとに分けたものを、行政が作るのは効率が悪いと判断されたようです。

 その後、3つのエリアに分けたものは一つに統合され、現在の防災マップが市民に全戸配布されるようになりました。

2023map01-03(←クリックするとPDFファイルが開きます)
 六甲山を隔てた北部地域と海に面した南部地域では想定するべき災害が大きく異なるので、分けておいたほうがよかったと思っているのですが、こうなるとますますエリアごとの防災マニュアルを策定する必要性が高いと感じます。

【地域防災計画と地区防災計画】
 地域防災計画と地区防災計画は、よく似た名称でありますが、策定する目的に大きな違いがあります。

 「西宮市地域防災計画」という冊子があり、これは災害対策基本法に基づいて西宮市防災会議が作成しているのですが、災害発生時の対応が大変詳しく掲載されていて、5つの計画(地震災害対策計画(約360ページ)、風水害等対策計画(約310ページ)、海上災害対策計画(約80ページ)、原子力等防災計画(約100ページ)、大規模事故災害対策計画(約110ページ))と資料編(約340ページ)で構成されています。
 1000ページを超える内容ですから、議員でも内容を読み込むのにはかなりの労力を要します。この計画を使った防災訓練に、西宮市議会も参加できていません。膨大なページ数となっていますので、地域防災計画には、自主防災組織等に果たしていただきたい役割等も記載されていますが、一般の住民さんが目にすることはほとんどないと思いますので、それでは、いざというときに使えるのかという疑念がぬぐえません。市役所職員向けの行動マニュアルと言えます。

 一方で、「地区防災計画」は、エリアごとの防災マニュアルの策定の必要性を訴えてから1年半が経過した後の平成25年6月に災害対策基本法が改正され、地区防災計画制度が創設されました。
 地区防災計画は住民向けの計画でなければならず、住民が主体となって策定されることが求められているのですが、なかなか策定が進んでいない状況です。
 理想と現実のギャップが大きすぎると感じます。それでもそのギャップを埋めていかなければ、実際に災害が発生した際に、私たち住民が困ることになります。

 そこで、今回の代表質問では、防災に対する市民の意識が高まっているのではないかと考え、新年度において各地域での「地区防災計画」づくりを一層進めてもらうために、市はどのような対応を考えているのか、市の予定を質問しました。
 
 以下に、本会議場でのやり取りを掲載いたします。
 
 ちなみに、防災に関するテーマを取り上げたのは、令和元年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「避難行動要支援者名簿ー令和元年6月議会一般質問」が開きます)以来となってしまいました。

====本会議場での議論の概要====

令和6年3月議会 代表質問

3.防災対策について
 まず、この項目の質問に入る前に、本年の元旦に発生をいたしました令和6年能登半島地震におきまして、お亡くなりになられました方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からのお見舞いと、そしてまた一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 本市におきましても、今後息の長い支援のほうをまた検討していただきたいと願っておるところでございます。
 そして、本市におきましては、阪神・淡路大震災の発災から来年で30年が経過することになります。南海トラフ地震や、その他の直下型の大きな地震の発生に備えて、これまで講じてきた防災対策の実効性、こちらを点検し直して、市民に対して啓発していく重要性を感じております。

(ア)地区防災計画の策定
■質問の背景(田中まさたけ)

 こちらは平成23年になりますけれども、こちらの議会におきまして、小学校区ぐらいの範囲で地域防災マニュアルを策定するよう提案をしておりました。
 その後、災害対策基本法が改正されまして、平成26年度から地区防災計画制度が始まりました。この計画の進捗について確認をしておきたいと思います。
 現在、地区防災計画が策定できている地区は一部にとどまっております。
 この計画策定は、住民の皆様の自発性が重視されているため、地域にとっては負担が大きく、策定段階に入っても様々な課題が見つかるケースもあり、市の支援についても柔軟性に欠ける部分があるとの指摘も受けております。

■質問(田中まさたけ)
 地区防災計画が策定できていない地域においては、どのような原因があると認識し、今後どのような目標を持って取り組もうとお考えなのかお尋ねいたいます。

■市の回答
 市では、自主防災会など、地域からの相談に応じて、計画原案の作成補助、印刷費の助成等の支援を行っており、令和4年度に6地区、令和5年度に8地区、合計14地区で地区防災計画の策定を完了しております。現在、支援中の団体は4地区でございます。
 地区防災計画は、防災訓練、避難行動、避難所運営、資機材の備蓄など、様々な防災活動に関する地域ごとのルールを地域の特性に応じて住民や事業者が協働して取りまとめていくものです。
 
 そのため、自主防災会などに対しては、地域の主体性が不可欠であり、作成を通じて、地域における共助の意識を醸成することが重要であることを出前講座や地域が行う訓練などの支援等を通じて、啓発しておりますが、コロナ禍や少子高齢化による担い手不足などの影響もあり、防災活動が停滞している地域が多い状況で、そのことが地区防災計画の策定が進まない要因になっているものと考えております。
 
 しかしながら、災害時に地域ごとの効果的な防災活動を実施するためには、地区防災計画は重要と考えておりますので、今後とも、地区防災計画を策定する地区が拡大していくよう、あらゆる機会を捉えながら、地域への説明や啓発活動を粘り強く継続してまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 南海トラフによる大地震、また気候変動による夏場の災害、そういった災害も、いつ起きてもおかしくはありません。
 ですので、改めてこれまで築いてこられたこの減災・防災の対策をこの実効性を早急に点検をし直していただきまして、住民の皆様と協議をしていただきたいと思います。
 そして、この地区防災計画の策定に自発的に取り組もうとしている地域から、御提案であったり御要望があった場合に、杓子定規な対応をするのではなくて、臨機応変な対応を心がけていただけるように要望しておきたいと思います。

===ここまでが本会議場での議論の概要===

 現状では、地区防災計画の策定が市内全域で劇的に進むことは期待できないといっても過言ではないと思います。
 今後、市に対して具体的な提案ができるよう、もっと現場で課題やご意見を伺わなければならないと認識しました。

 防災対策に関する質問の続きは、次回以降のコラムに続きます。

フェイスブックでの投稿より

■3月16日投稿

10日(日)に、第27回西宮市消防団消防操法大会が5年ぶりに開催されましたので、団員として出席しました。
新しくできた消防訓練施設で開催されたのは初めてのことです。
今年は生瀬分団が見事に優勝されました。
誠におめでとうございます。

以前に、この大会について本会議質問で取り上げたことがあり、こちらのコラムでも掲載しました。
https://masatake.jp/2850
今年は開会式に市長が出席し、市長激励を述べられました。

午後からは、鳴尾浜臨海公園野球場において行われた第2回西宮市中学生硬式野球大会の閉会式に出席し、優勝、準優勝チームの表彰をするとともに主催者の挨拶を述べました。
私が顧問を務めていますチームが優勝しました。
今月末に行われるリーグの全国大会への出場を予定しているので、いい弾みになって、ますますご活躍されることを心から祈っています。

■4月3日投稿
政治はやっぱり「数」。
先月25日(月)に西宮市議会第5回定例会は閉会しました。今定例会では、市民から提出された請願「年金制度における外国人への脱退一時金の是正に関する意見書提出を求める請願」の紹介議員となり、11日(月)に開催された民生常任委員会で請願内容についての質疑を受け説明は尽くしたのてすが。
本会議最終日での採決の結果は、
啓誠会、公明党議員団、会派·ぜんしん、無所属議員2名の19名の方に賛成していただいたものの、
日本維新の会西宮市議団、市民クラブ、日本共産党西宮市会議員団、あなたの声を市政に!、無所属議員1名の20名の方が反対され、1名差で不採択となり、国への意見書提出には至りませんでした。
外国人労働者が増加し、年金の脱退一時金の申請件数が増えている中で、外国人労働者の将来の社会保障のためにも、日本人との公平性の観点からも、「政府において必要な実態把握を行い、在留資格に関する議論の進捗も踏まえながら次期年金制度の改正に向けて必要な検討を行うよう市議会から国に求めてほしい」という真っ当な内容でした。大阪府議会でも同様の内容の意見書が可決しているのですが、紹介議員としての結果を出すことができず、特に請願者には申し訳なく思っています。
この経験もまた今後の糧にしたいと思います。

話は変わりますが、31日(日)まで甲子園球場で開催された第96回選抜高等学校野球大会では、地元西宮市の報徳学園が2年連続の準優勝を果たされました。写真は息子が在学中に文化祭を見学させてもらったときのものですが、グラウンドの環境には驚きました。あと一歩の悔しい思いを夏に晴らせるようさらに頑張ってほしいと思います。

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