消防団の役割②-市長としての意識

2019年10月16日[カテゴリ:防災対策

毎年3月に、
西宮市消防団では、消防操法大会が開催されています。
通称で「ポンプ操法大会」と呼んでいます。

33ある分団のうち毎年6~7の分団が、
5名の選手を選出して大会に出場し、
動作の正確性やスピードを競います。
各分団は、3年から5年に1度のペースで出場することになり、
今年は、私が所属する建石分団が出場する年でした。

ちなみに、私は、
5年前に選手(1番員)として出場しました。
約3ヶ月間の訓練日程は厳しかったですが、
優勝という結果に報われた気もしていました。


平成26年度 西宮市消防団消防操法大会 表彰式

今年は、選手ではなく一般の団員として開会式に参加していたのですが、
この大会の開会式に市長がいないのは珍しいことでしたので、
副市長による来賓挨拶に違和感を覚えつつ、
市長は他の公務と重なったのかなと思っていました。

そして、、、
その日は、明石市の市長辞職に伴う市長選挙の告示日で、
職員に対する暴言で辞職した候補の出陣式に出席していた
」と、
後日、情報が入りました。

ちょうど、令和元年6月議会で
「災害に対する備え」に関する議論をすることに決めていたので、
この項目で、消防団活動に対する市長の認識を問うことにしました。
本会議場での議論の概要は、
以下に掲載しますのでご参照ください。

議場では、
ご自身の言葉で丁寧に理由を説明されているような印象を受けましたが、
市長個人の考え方として、
防災よりも私情を優先したということが明らかになった
だけでした。

公務に出席しなかったことを責める意図は全くありません。
消防操法大会に市長が来なかったからと言って、
不満を抱いたり、士気が落ちるような消防団員がいるわけがありません。
市長の災害の備えに対する認識を問いたかったのです。

災害時に陣頭指揮をとる立場にある市長が
現場でやっていることをほとんど知らないということは、
自信の責任のもとで判断が下しにくくなる、
もっと言うと、
対応が遅れるようなことになれば、
救える命を救えなくなる恐れがあるのです。

すでに、
判断を市の担当者に委ねるしかない現状も
市長自身の回答にも表れています。

最近の職員の不祥事、
最近の議会運営委員会での緊張感に欠ける対応、
議案を自分の名前で提出しているにもかかわらず内容を理解せずに、
もっと言うと、
どのような議案を提出しているのかすら
認識していないという責任感の欠如、

などなど。

いずれも、自分の責任ではない、と。

市が対応した結果であったり、前市長時代の課題だと、
どこか他人事に考えているように感じるのです。

そして、
災害に対する備えよりも私情、
しかも選挙に重きを置くという考え方。

そういえば、
今の市長の当選直後、
近隣市の市長への挨拶回りや
東京にまで挨拶回りに時間を取り、
結局、市政の勉強や初めての議会に向けた準備がおろそかになり、
最初の「所信表明」の議論、質問に対する答弁が
お粗末な状態であったことは、
代表質問でも指摘をしました。
↑クリックしてご参照ください。

以前から気になっていたことです。

また、
先日10月3日の議会運営委員会で市長より報告がありました。

本市の姉妹都市であるアメリカ・スポーケン市において姉妹都市庭園が完成し、
スポーケン市長から完成記念式典への御招待を受けたものの
日程が議会開会中のため出席できなかったので、
10月18日から23日までの6日間、市長自ら訪問することにした
そうです。

完成した庭園の視察やスポーケン市長への表敬訪問のほか、
西宮・スポーケン交換学生事業による留学生との交流などを行うそうです。
またあわせて、経由地の
シアトルの公立図書館やポートランドの環境先進事例などを視察
し、
本市の施策につなげたい?そうです。
そして、随行として学校教育部長及び通訳を行う職員を同行させ、
来年度から本格的に始まる英語教育改革の参考にもするそうです。

おいおい。。。
懲りないですね。。。

市長を含めた幹部職員の緊張感の欠如や
当事者意識の問題を指摘された「議長声明」は何だったのでしょう。
「深く反省して」とか
「私を含めた職員の意識改革に取り組む」と言ったその直後に
この報告があったのです。

まず、
17つもの条例案が継続審査となっている最中、
また、職員の不祥事の対応が片付いていない中で、
よくも、西宮市を長期間離れて海外視察に行くという判断ができたものです。

多数の宿題は、現在職員が対応してくれていて、
10月には市長が判断しないといけないような
報告は上がってこないだろうから
「この時期の6日間くらいなら、市長はいなくても大丈夫。」
「しかも、その6日間のうち3日は土日祝日ですから。」

という判断だったのでしょうか。

【追記】
私は、国際交流を否定しませんし、
視察を否定することもありません。
その意味や成果を問わなければならないとは思っていますが、
今回は、タイミング、時期の判断、優先順位のつけ方を問題視しています。【追記終わり】

ひと昔前の市長や市会議員による「公費を使った海外旅行」とか
批判されないように注意してもらわなければなりません。
つい最近、
海外視察に行って昼間から酒を飲んで観光地を回っているのがばれて
たたかれていた事案もありました。
ひと昔前とも言えません。

本当にこれを「今の市長としての公務」と言っていいのか?
その報告を聞いた時、いろいろと頭を駆け巡りました。

そして、議会運営委員会では、
「もう、式典には出席できないのだから、
せめて、宿題が片付いてから、
視察には行った方がいいのではないですか。」
と指摘したかった
のですが、
どうせ
「また、難癖を付けられた」とか勘違いされるだけだと思いましたので、
視察や宿題の結果を見て判断することにします。

話を「消防団の役割」に戻します。

本会議一般質問では、
「市長のワーク・ワーク・ワーク・ライフ・バランスもある」と
市長は回答しましたが、
私も「市長にプライベートはない」とは思っていません。
「ワーク」が多いということを主張したかったのかもしれません
確かにそうでしょう。
子育て中でもあるでしょうから、
プライベートではお子様、ご家族も大切にしてほしいです。

しかし
消防団員も、他の仕事をしながら、
市民の安全のために、
休日返上で毎週日曜日に訓練を重ね、
ポンプ操法大会も団員は休日返上で出席しているのです。

おそらく、
そのようなことは考慮されなかったのでしょう。

友人の選挙の激励に行きたいのであれば、
操法大会が終わってからでも行けたはずです。
ワーク・ライフ・バランスを重視するのであれば、
選挙期間は1週間あるわけですから、
平日の公務の入っていない時に、
休みをとって激励に行くこともできたはずです。

最近、
民主党の国会議員出身の市長が増えていますが、
民主党と言えば、
東日本大震災発災直後のいくつかのお粗末な対応が報道され、
「災害対策の認識が甘い」という印象を持ってしまいます。

季節を問わず、災害時の避難所となる
学校体育館へのエアコン設置についても
議会の総意で決議をされたにもかかわらず、
本市の市長は非常に消極的です。

災害に対する備えの優先度が低いとしか考えられません。

ここまででも、長くなりましたが、
最後までご覧いただければ幸いです。


=======ここからが、本会議場での議論の概要=========
3.災害に対する備え
ウ)消防団の役割
■質問の背景
消防団の存在意義、団員の士気にかかわる問題として、
本市で実施されているポンプ操法大会の意義について確認をしておきます。

本市のポンプ操法大会は、
33ある分団のうち各分団が3年から5年に1度のペースで
5名の選手を選出して大会に出場します。
そして、出場者は、
その他の分団員の応援・支援のもとで、
大会の約3ヶ月前から毎週日曜日に訓練を重ね、
場合によっては平日も加えて訓練し、大会に臨みます。
 
この大会は、
団員の技術力や活動の様子をつぶさに見ることができる機会です。
しかし、市長は、就任後初めてのポンプ操法大会には出席されず、
他市の市長選挙の(特定の候補の)出陣式に出席されておりました。

■質問
市長は、消防団の役割やポンプ操法大会の意義をどのようにお考えになり、
大会よりも他市の市長選挙の出陣式を優先したお考えをお聞かせください。

■市長の回答
まず、ポンプ操法大会の意義及び消防団の役割についてでありますが、
消防団員の皆様方は、本来の仕事を持ちながらも、
地域防災の中核として、
各地域において日夜献身的に活動され、
「火災を初め各種災害から市民の安全・安心を守る」
という役割を担っていただいております。
このことには心から感謝をしているところであります。

また、
団員の皆様が普段から各種災害に備えを行っている訓練成果を
ポンプ操法大会で発揮することは、
団員としての自覚及び連帯意識をさらに高めるとともに、
消防技術の向上につながっていくものであると認識
をしております。

次に、ポンプ操法大会、本年の大会に
私が出席せずに副市長が出席した件についての理由についてお話を致します。

まず、貴重な質問の時間に
こうした質問を田中議員からいただくことになってしまったことは、
まず、私の不徳の致すところでありまして、
その点につきましてはしっかりと受けとめてまいりたいと思っております。

その上で、まず、全般的な話を申し上げると、
私は、就任1年目のときには、
一つ一つの行事が全く行ったことのない行事がほとんどの中で、
秘書課の中で、市長室の中で相談をしながら、
これはどうにかなりますか、
どうにもなりませんというような
行事と、
これはどうにかなりますかというと、
いや、これは市として対応いたしますというような、
こういうように大きく分かれます。
私としても、やはりありがたいことですから、
願わくば全部行きたいと思っています。
私なりに、今日まで、これからも全力で頑張っているところでありますが、
同時に、
私のワーク・ワーク・ワーク・ライフ・バランスというのもあります。

その他の私の思いもある中で、
今回はどうにかなるというような判断を市長室の中でまず致しました。
そこで、ちょっとここでもう一つ申し上げたいのは、
私が行けたら行きたいと思っております、あらゆるところに。
ただ、私が行かなかったから、
市として、ないし私、市長として
何かそれを軽んじているというようなことはございません。

もしそういうふうに思わせてしまうことがあったのであれば、
特に今回は消防団の皆様方にお詫びを申し上げるところであります。

そういう中で、
今回は副市長が行くというようなことで
市として整理を致しまして、対応を致しました。

こうした機会ですから、
じゃあどうしてそのときに
明石にあなたは行ったのかというようなことであろうと思います。
これは、せっかくなので、
お許しいただけるなら私の気持ちを申し上げれば、
今回、単なる市長選挙の出陣式に行ったという意識で行ったのではありません。
私自身の生き方として、
今回はとにかく絶対行きたいという思いがありました。
そして、どうにかなるというような温かい判断をといいますか、
こちらのほうでしたものでありますから行きました。

誰もがあのとき、明石に対しては遠くから見、
そして、1カ月前、2カ月前は、もてはやしていた市長を、
池の中に落ちたときにみんなが遠くで眺めていました。
私は、そのとき一緒に遠くで眺める人にはなりたくなかった。
暴言はいけませんから、
私は丁寧にあれを反面教師としておりますけれども、
あのときに私は、
義を自分なりに果たすために行きたいと思った、
それが正直な気持ちであります。

そうした意味で、
単に何らかの選挙の応援があったから
公務をないがしろにして行ったというような気持ちはさらさらございません。
市として対応はしっかりしているというつもり
でありましたが、
重ねて申し上げれば、こうした質問をしていただいたことに対しまして、
これも私の不徳のいたすところと受けとめて、
今後、全力で市政に取り組んでまいります。

■市長の回答を受けて
まず、市長のほうから御答弁いただいた内容についてですが、
消防団はめっちゃ頑張ってるからというふうに褒めてもらいたくて
今日取り上げたのではありません。

「重要なんです」ということも答えていただきましたけれども、
私も団員の一員として、
南海トラフ巨大地震が起こると言われている中で、
消防団としての活動をしている中で
少し不安を感じることがございますので、
今回、市として基本団員の確保、
それとまた、平均年齢の改善、
この辺をしっかりと意識して取り組んでいただきたいということで
今回は取り上げさせていただきました。
(↑クリックしてご参照ください)

先ほど市長からお答えを頂きましたが、
行事の全てに出ることはできないというのはわかりますし、
ポンプ操法大会に出なかったから悪いとか言いたいわけではありません。

■再質問
ここでまた市長にお伺いしたいんですけれども、
そもそも消防団の訓練の様子というのを現場で見たことはございますか。

■再質問に対する回答
新年の出初め式などで拝見したこと、
それから、
総合防災訓練の際に消防団と消防本部とあわせてやってらっしゃるところ、
あと、街角で、数はわかりませんが、幾度かそうして実際にやられている姿、
澁谷議員がホースを巻いている姿なんかもたまたま見かけたこともございます。
ただ、そういう意味では、
今回の操法訓練というような形で見たことはございません。

■まとめ・意見
先ほど御答弁の中で、
こんな質問をさせてしまったことを
「申し訳ない」みたいな趣旨の御答弁をされました。

全然申し訳なくなくて、
何でこんな質問をしたのだろうかということは、
恐らく一度、ポンプ操法大会前の訓練を見ていただいたら、
少しは理解していただける
と思っていますので、
この大会の重要性もそうなんですけれども、
あわせて、
それに向けてどのような訓練をしているんだろうかということは
しっかりと見ていただいて、
消防団の役割というのは一体何なんだろうかということを
御自身で感じていただきたいと指摘をしておきます。

=======ここまでが、本会議場での議論の概要========
市長の回答の中の、
「一つ一つの行事が全く行ったことのない行事がほとんどの中で、
秘書課の中で、市長室の中で相談をしながら…」
というあたりで、
判断を担当者に委ねざるを得ない状況であることが分かります。

これが災害時の対応となったら、
大変な失態となりかねないのです。
今一度、
市長としての意識や行動を見つめなおすべき
だと思います。

最後に。
一般質問を「このような質問」と言われ、
そこに込められた市長の想いは定かではありませんが、
少し残念な気持ちになりました。

議場では、なぜこの質問をしたのか
説明をする気すら失せてしまい、
なぜこのような大切なことを質問されたのか、
「大会や訓練を見ることで御自身で感じていただきたい」として質問を締めました。

これからも、
市長を始め、公務員の意識改革を求めて、
議論しなければなりません。

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