建築物の消防用設備の維持管理については、
点検や消防局への報告も含めて、
基本的には、建築物の所有者に責任があります。
そして、消防局は、
それらが、適切に設置、管理等がなされているかを
チェックすることができます。
立入検査等と言われています。
しかし、この立入検査は、
個人の住居の場合は、
関係者の承諾を得た場合か、
火災発生のおそれが著しく大で、
特に緊急の必要がある場合でなければなりません。
これらは、
消防法という法律で定められています。
以前に、
介護保険制度について書きましたが、
(↑クリックしてご覧ください。)
消防についても、専門用語が大変多く、
私たち市民が理解するには時間を要します。
おそらく、
ほとんどの集合住宅の消防用設備の法定点検やその報告業務は、
専門業者に委託されていると推察されます。
しかし、消防用設備は、
自分の身を護る重要な設備です。
その重要な設備の設置や管理について定めた「消防法」を含めて
基本的なことは知っておく必要があると感じています。
そして、
消防局が実施する建築物の竣工時の消防検査は、
かなり念入りに実施されていると聞いているのですが、
市民からの情報をもとに調査した結果、
竣工後の日常の立入検査においては、
消防用設備の不備が見落とされている可能性があった ことから、
令和元年6月議会一般質問において、
「災害に対する備え」の項目で取り上げました。
======ここからが本会議場での議論の概要=======
2.災害に対する備え
イ)火災対策
■質問の背景・主張
建築物の防火対策、消防設備に関する備えについてでございます。
大規模火災のみならず、
巨大地震の際の火災による2次被害を最小限に抑えるためにも、
建築物の防火対策は重要であり、
日ごろの消防用設備や防火対象物の点検は、
各自が実施できる災害に対する備えと言えると考えます。
(もちろん、日頃からの火災予防が大切です。)
現在、消防局は、
防火対象物などに対して、
表にも示しましたが、
(↑クリックするとご覧頂けます。)
平成29年度は5,928件の立入検査を実施しており、
これは、3年から4年に1度のペースで全てを検査できるよう
査察計画を立てておられます。
そして、
平成29年度までの5年間で、
2万6,000件を超える立入検査、
そして、
年間平均約600件近くの消防用設備の検査など、
精力的に取り組まれていることは一定の評価をしております。
しかし、
市内のある共同住宅におきまして、
平成29年に実施した消防設備の大規模改修時の消防用設備検査によって、
非常ベルが1ヶ所未設置であった ことが判明しました。
ところが、
この数年で非常ベルが撤去された記録はなく、
直近の平成26年に実施された立入検査でも、
指導された履歴はありませんでした。
■質問1
当該共同住宅において実施された立入検査では、
非常ベルの未設置という
基本的な消防法の違反事項を発見できなかったと推察されます。
今後、立入検査の実効性の向上のために検査内容を改善すべきと考えますが、
お考えをお尋ねいたします。
■質問1に対する市の回答
防火対象物竣工時の使用開始検査や
消防用設備等の改修時などに行う設備検査では、
届け出図面どおり設置されているか、
また、正常に作動するかなどを
一定の人員と時間をかけて細かく検査致します。
一方、
一般的な立入検査では、
年間約5,000対象を査察計画に沿って限られた時間内において
重点的かつ効率・効果的に実施する必要があることから、
総務省消防庁の立入検査マニュアルをもとに、
前回の指摘事項を初め、
防火対象物の増改築、
避難経路の障害物や防火管理体制などについて確認しております。
また、
消防用設備等につきましては、
自動火災報知設備の受信機や誘導灯の非常電源など、
一部作動試験を行うほか、
各消防用設備等の外観や配置状況について主に確認しており、
詳細な作動状況等につきましては、
消防用設備等点検結果報告書で確認しております。
しかしながら、
御指摘の立入検査について、
より実効性のあるものとするためには、
防火対象物情報の十分な把握が必要であることから、
以前に行っていた立入検査の指摘事項や点検報告の不備事項の確認など、
今まで以上に事前準備を行うとともに、
立入検査マニュアルの内容について再度周知徹底し、
統一性のある立入検査の実施に努めてまいります。
■質問2
効率的に立入検査を実施するために、
竣工時の消防用設備の検査を含めて、
各施設で検査された項目、及びその結果、改善指導があった場合は、
その内容など検査の履歴を残しておく必要があると考えますが、
消防局の見解をお尋ねいたします。
■質問2に対する回答
現在、立入検査の結果については、
不備事項を初め、
特記事項を中心に管理台帳に記載し、
データとして管理しているところですが、
現状では、
入力するデータについて十分でない部分も見受けられるため、
今後はさらに、
実施した検査内容や過去からの経緯が
以後の立入検査に明確に引き継がれるよう、
より詳細に記載してまいります。
■意見・要望
立入検査につきましては、
私たち一般の者にとりましては
なじみのない言葉がいろいろ並んだわけなんですけれども、
今回、情報を寄せていただいた方は、
大規模改修後の立入検査で突然、
「消防設備がついているべきところについてません。」という指摘を受けました。
まさか今まで消防法に違反した状態だったということを御存じなかったです。
ですので、大変困惑されたそうです。
消防局としては、
非常に多くの対象物を検査しなければなりませんので、
御答弁にもありましたとおり、
効率的かつ効果的な検査が必要かとは思います。
しかし、
基本的に付いていなければいけないところに
消防設備が付いていないいないという状態は、
立入検査で十分見つけることは可能 だと思いますので、
改善をお願いしておきたいと思います。
なお、
今回取り上げました集合住宅、
これは昭和49年に竣工された建築物ですので、
その点も考慮して、
今後検査に臨んでいただきたいと思います。
======ここまでが本会議場での議論の概要========
今回取り上げた契機となった事案については、
当該住宅の竣工時から40年間、
ずっと非常ベルが付いていなかった可能性すらある のですが、
昭和49年当時に、竣工時の検査でどのような検査を実施していたのか、
もはや調査することは困難です。
また、市の回答では、
「各消防用設備等の外観や配置状況について確認」しているとのことでした。
しかし、
直近の立入検査において、
消防用設備の未設置の状態を発見できなかったことも事実ですから、
立入検査の精度をあげる必要があることは明白 です。
今後も、動向を見守りたいと思います。