介護保険制度は、
私たち市民にとって身近でなければならないにもかかわらず、
専門用語が多くて分かりにくい上に、
頻繁に法律が変わって新たな取組みが始まるたびに、
理解をするのに時間がかかります。
平成18(2006)年4月1日の介護保険法改正により設置されることになった
「地域包括支援センター」もその一つだと思います。
この地域包括支援センターのことを
西宮市では「高齢者あんしん窓口」と呼んでいます。
西宮市ホームページでは、
「高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を継続できるように、
どのような支援が必要か状況の把握を行い、
日常生活に必要な課題を整理し
介護保険サービスにとどまらず
適切なサービス、関係機関、制度の利用につなげて
安心して生活が行えるよう支援していきます。」
とあります。
住んでいる住所によって
相談に行く窓口が決められています。
子供から大人まで、
生活する中では「小学校区」という括りが浸透していますが、
高齢者やその高齢者を支える支援者にとっては、
「圏域」という括りを理解することも必要となります。
市内では、15の圏域に分かれ、各圏域にあんしん窓口が設置されています。
今後、さらに重要性が増すであろう
「地域包括支援センター」の機能強化への対応について
平成24年12月議会で取り上げました。
=======ここからが、本会議場での議論の概要========
3.今後の高齢化の対応について
イ)地域包括支援センター
■質問の背景・主張
県内他市の「人口に対する職員数」と比較すると、
地域包括支援センターの人員不足が指摘されておりますが、
滞りなく業務が行われているのかということを
定期的にチェックするとともに、
今後の高齢化の進展に伴う課題に対応するべく、
地域包括支援センターの質(機能)の向上に向けた取り組みが必要と考えます。
■質問1
地域包括支援センターにおける相談業務の内容は、
今後の地域包括ケア体制の構築に向けた課題を把握するにあたっての参考となると考えますが、多数寄せられている相談内容を件数とあわせてお尋ね致します。
■質問1に対する市の回答
地域包括支援センターの相談件数及び相談内容についてでございますが、
平成23年度の延べ相談件数は1万3,397件で、
相談の内容は、
・介護保険制度の利用方法についての相談が延べ6,250件、
・認知症について相談できる医療機関の紹介など医療・介護に関する相談が延べ3,952件、
・成年後見制度の利用や高齢者の虐待相談など権利擁護にかかわる相談が784件
となっております。
■質問2
地域包括支援センターの質の向上に向けて、
人材育成について市はどのような支援をしているのか、
お尋ね致します。
■質問2に対する市の回答
先ほど御説明致しましたとおり、
地域包括支援センターに寄せられる相談には、
医療や介護に関する相談や高齢者の虐待相談などがあり、
それぞれの相談に対しまして適切な支援業務を行うためには
専門的な知識が必要でありますことから、
医師や弁護士の協力を得て研修会を開催し、
職員の資質の向上に努めております。
平成23年度の実績でございますが、
医師による認知症に関する研修会を9回、
弁護士による成年後見制度などの研修会を3回実施致しました。
■質問3
介護予防の重要性が叫ばれている中、
要支援1・2の方々に対する予防給付のケアプランをチェックすることで、
適正かつ効果的な介護予防サービスが提供できるよう取り組むべきと考えますが、
市の見解をお尋ね致します。
■質問3に対する市の回答
本市と致しましても、
要支援1・2の方々の介護予防ケアプランをチェックすることは、
適正かつ効果的な介護予防サービスにつながると考えております。
平成22年度末から23年度にかけて、
介護予防ケアプランを作成している
市内全ての介護予防支援事業所(地域包括支援センター)に対して
実地指導を行い、
その中で不適切なケアプランがないかについても確認致しました。
具体的には、
・ケアプランの実施状況の把握、
・サービス担当者会議の開催状況
などについて確認致しました。
また、
ケアプランの質の向上を目的とした
ケアプラン検討委員会を23年度から設置し、
要介護者に対するケアプランの内容を精査し、
居宅介護支援事業所に対して助言を行うことによって
ケアプランの質の向上を図っているところでございます。
今後は、
その範囲を地域包括支援センターにも広げて、
介護予防ケアプランの質の向上を図ることを検討しております。
■まとめ・要望
介護保険計画の策定にあたって、
国の計画では、
地域診断や、地域ケア会議、
そういった名称を挙げて、
次期介護保険事業計画の策定までに
地域ごとの課題の把握をするということになっているとのことです。
ただ、現場の意見としては、
地域ごとの課題の把握というのは
なかなか難しいというような声もいただいております。
ただ、そうは言ってられないので、
今日は、
地域包括支援センターの質の向上に向けた取り組みをしていくという御答弁を頂きましたが、
地域包括支援センターや、
社会福祉協議会の地区ボランティアセンター、
そうした各地域に密着した機関と密接に連携していただいて、
地域ごとの課題の把握と対策について検討していくべきであると考えます。
今はまだ全市的な内容となっておりますが、
地域ごとにいろいろな課題があると思いますので、
そういったことに対応できるよう、
まずは、課題の把握、
そして、対策の検討をお願いしておきたいと思います。
24年度から今の介護保険事業計画は始まっています。
次期介護保険事業計画の策定は、
まだ先のようなのですが、
地域の課題把握というのは
非常に時間がかかると思われますので、
もう少しペースを上げて取り組みを強化していただきますように
要望しておきます。
今はまだ、何とか対応できている部分があるかと思いますが、
将来的には立ち行かなくなるということを非常に不安に思っています。
将来そういう場面に出くわしてから対応するのではなくて、
今から十分に対応をして頂きたいと思います。
======ここまでが本会議場での議論の概要=======
「地域ケア会議」という
また新しい取り組みが始まろうとしています。
「地域ケア会議」の目的は、
高齢者個人に対する支援の充実と、
社会基盤の整備とを同時に進めていくことです。
そして、
具体的には、地域包括支援センター等が主催し、
1.医療、介護等の多職種が連携して
高齢者の個別課題の解決を図るとともに、
介護支援専門員の自立支援に資するケアマネジメントの実践力を高める。
2.個別ケースの課題分析等を積み重ねることにより、
地域に共通した課題を明確化する。
3.共有された地域課題の解決に必要な資源開発や地域づくり、
さらには介護保険事業計画への反映などの政策形成につなげる。
という取り組みを進めることになっています。
この地域ケア会議が
地域包括支援センター等で実施することとなるのですが、
この目的・理想と現場での実情・意識が乖離していては、
「絵に描いた餅」となってしまいます。
次期介護保険計画の策定まで、
実質、2年しかありません。
早急に、現場の意見を聞きながら、
地域の課題を関係者で共有し、
地域を挙げて課題の解消に取り組めるよう
体制を整備する必要があります。
今後も注視してまいります。