こども医療費助成助成の拡大-令和4年度補正予算②

2022年10月8日[カテゴリ:コラム, 医療・福祉

 10月4日(火)に、令和3年度の西宮市の各会計決算が承認され西宮市議会第18回定例会が閉会しました。
 令和3年度決算の概要及び審査において議論しました内容につきましては、次回以降のコラムで掲載したいと思います。

 今回は、前回のコラムに引き続いて、先月16日に可決しました令和4年度補正予算(第4号)について掲載致します。

18歳までの医療費助成

令和4年度一般会計補正予算(第4号)

こども医療費助成制度の助成拡大
・補正予算額:8926万3千円
・財源:全額市の一般財源

市の説明の抜粋
 乳幼児等・こども医療費助成制度は、健康保険が適用される医療費について、市が自己負担額の全部または一部を助成し、受給者の費用負担を軽減する制度です。
 子育て支援の観点、及び新型コロナウイルス感染症の影響、物価高騰による経済的な支援の観点から、令和5年1月より、こども医療費助成制度の所得制限を見直し、所得基準額(※)以上の世帯の児童への医療費自己負担額の一部助成を中学3年生まで拡大し、さらに高校生世代についても所得に関わらず医療費助成の対象とするものです。
 (※)所得基準:扶養義務者全員の市町村民税所得割額の合計が23万5千円

 これまで所得基準額以上の世帯の小学4年生から中学校3年生までの児童生徒にかかる医療費助成はありません(3割負担)でしたが、令和5年1月以降は、自己負担額(3割負担)の月の上限が通院の場合800円、入院の場合は3200円までとなり、それを超える金額は、市から助成されることとなります。

 また、高校1年~3年生及びその同学年の方にかかる医療費については、これまでは所得に関わらず全く助成がなく3割負担でしたが、令和5年1月以降は、所得に関わらず、自己負担額(3割負担)の月の上限が通院の場合800円、入院の場合は3200円までとなり、それを超える金額は、市から助成されることとなります。

 市のこの対応については、石井市長の2期目の公約(18歳までの医療費完全無償化)と異なるということで、本会議で複数の議員が一般質問で取り上げて議論されました。

 石井市長は本会議において、任期4年間の間で完全無償化を目指して取り組む旨の回答をし、今回の補正予算はその第一歩だと説明しています。
 今回の補正予算額は実質2ヶ月分の予算となり約9千万円の増加になりますので、年間で試算すると4.8億円の増加になる見込みだそうです。18歳までの子供の医療費の完全無償化を実現するためには、さらに年間6億円以上の財源を捻出しなければならないそうです。

 市長選挙において多くの方から支持された公約の中の目玉でもありますから、市長に与えられた任期の中で、段階的に実現していこうとする姿勢については一定の理解をしているところです。
 しかし、どのように財源を捻出するのか、この点がいまだあいまいで道筋が示されておらず、現在進められている行政経営改革の状況を見ても、第一歩を踏み出したとは言えない状況が続いています。

 財源の捻出方法については、私はこれまで、公立保育所の民間移管(1園を民間に移管すると国の財源が入ることで市の財源が約1.5億円も捻出できると試算しています。)や、学校給食の調理業務の民間委託を提案してきました。
 他にも、事業の取捨選択により事業費そのものを減らすとともに、職員数も抑制できれば、さらに財源の捻出につながります。

 一方で、目先の公共施設を含むインフラの維持や更新を先送りすることで、投資的経費や維持管理経費を一時的に減らすやり方がよく用いられますが、私は、このやり方は避けるべきと考えています。というのも、公共施設を始めとした公共のインフラを廃止しない限り、いつかは必ず更新が必要となり、将来の急激な経費増につながるからです。
 
 引き続き、市がどのようにして財源を捻出するのか、注目しなければなりません。

就学奨励世帯等臨時給付金支給事業

 前回コラム(←クリックするとコラム「半年間の学校給食費徴収免除」が開きます。)で概要は掲載しましたが、学校給食の徴収免除に合わせて予算化された事業である一方、受けられる支援の金額に大きな違いがあることから、質疑において、支給する金額設定の考え方を確認しました。

====教育こども常任委員会での議論の概要====

令和4年9月13日教育こども常任委員会質疑

■質問(田中まさたけ)
 就学奨励金の件ですが、一人当たり1万円支給ということで予算化されていますが、この1万円の根拠、どういう計算で1万円という設定をしたのかというところを教えてください。

■教育委員会の回答
 当事業は、国の地方創生臨時交付金を財源に実施するものであるため、他の交付金充当事業での事業予算規模とのバランスの中で給付金額を決定致しております。

■再質問(田中まさたけ)
 他の事業とのバランスを取ったということですが、「他の事業」とは何なのでしょうか。

■教育委員会の回答
 一つが、教育委員会が実施する学校給食の無償化事業、それともう一つ、こども支援局が実施します電子マネー事業でございます。

■再質問の背景(田中まさたけ)
 給食の無償化事業と、こども支援局が今回の補正予算で計上している(就学前児童・私立小中学生等応援給付)事業というお答えを頂きました。まず、給食費の無償化については、お一人当たり、小学生が約2万5,000円、中学生が約3万円の支援になると思います。

 一方で、就学奨励金の受給世帯は、給食費の支払いについては今までも支援があり、その追加ということで、(給食費と)同程度の金額にならなかっと推察していますが、なぜ1万円なのかというところが分からないところがあります。

 もう一つ(の論点)は、こども支援局の施策は、電子マネーもしくはプリペイドカード等での支給が予定されていますが、こちら(就学奨励世帯等臨時給付金支給事業)は現金での支給ということです。整合が取れていないのではないか思うのですが、どのようにお考えになっているのかお尋ねしたいと思います。

■教育委員会の回答
 まず、今回の補正に当たりまして、まず給食が軸となったと考えております。
 給食を食べられないであるとか、そもそも食べていない子たちにも、同じ子供たちの支援として何ができるかというような考え方と、今委員がおっしゃったように、そもそも就学奨励世帯、生活保護世帯については給食費の負担が発生していないということで、その世帯についても同じように物価高騰というのは直面しているということで、何か支援ができないかということを考えて対象としております。

 その中で、そこにも当てはまらない、例えば、私立小・中学校に通っている子であるとか、教育委員会の実施する枠に当てはまらない子たちにも広く支援する考えの中で、対象人数を考えた時に予算規模からも1万円が金額の限界になるということで1万円とさせていただいております。
 
 あと、なぜ現金給付なのかということについては、就学奨励世帯、生活保護世帯を対象にしていますが、あくまでも就学奨励金として支払うのではなくて、生活支援特別給付金として別枠で、就学奨励制度の中で払うものではございません。
 ですので、教育委員会としては、まず現金が一番使いやすいと考えた時に、就学奨励世帯の対象であると、就学奨励金を受給するに当たっての口座を取得しておりますので、個人情報の目的外使用の利用承認という手続を経ることで内部利用の合理的な理由に該当するということで使えることになりました。

 ですので、そもそも申請もなしで対象者に直接口座に1万円を給付していくことで、一番早いタイミングで一番確実な方法で給付できて喜んでいただけると考えてそのように実施しております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 現金支給につきましては、合理的な理由が示されましたので、その点は理解を致しました。
 
 一方、金額の規模ですが、どこでバランスを取るかというのは非常に難しい判断だったと思います。
 
 ただ、金額は、同じ小学校に通っているお子様方との公平性をもう少し考慮してもよかったのではないかと感じております。

 その点は、今後、こういう支援を検討する時には考慮していただきたいと思います。

====ここまでが常任委員会での質疑の概要====

 他の令和4年度一般会計補正予算(第4号)の内容につきましては、次回のコラムで掲載します。

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