就学前児童・私立小中学生等応援給付事業-令和4年度補正予算③

2022年10月16日[カテゴリ:コラム, 子育て・教育

 掲載が遅れておりますが、前回コラムに続きまして、西宮市議会の9月議会で可決しました補正予算(第4号)について掲載致します。

令和4年度一般会計補正予算(第4号)

・一般会計全体補正額:23億1457万9千円増
・補正後の令和4年度一般会計予算総額:2016億1144万2千円

西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業費
・補正予算額:1289万6千円
・財源:全額市の一般財源


市立中央体育館

 令和4年度の当初予算においては、以前のコラムで掲載しました通り、計上されていた基本計画等の見直しに要する予算を削除する内容の修正案を提出(←クリックするとコラム「西宮市長選挙2022」が開きます。)しましたが、議会では否決となりました。
 
 その後、見直し作業が急ピッチで進められ、当初予算からわずか半年後となるこの補正予算の中で、事業者選定支援に係る業務の委託料等が計上されました。

 今後、事業者の選定作業も再始動することになります。

 そして、施設規模等、再検討されている内容については、7月下旬に報告されました。
 こちらのコラムに掲載しておりますのでご覧ください。

 今後も、動向を注視してまいります。


王子スタジアム

その他プラスチック処理事業
・令和4年度補正予算額:1873万3千円
・財源:全額市の一般財源

 今年の7月からごみ袋を半透明の指定袋を変更したことにより、その他プラスチックの分別が進んで処分量が増加し、その処分の委託料を増額しなければならなくなりました。そのため、以下の通り、令和5年~7年度の処分委託料等事業費も倍増する見込みです。

(令和5年~7年度の処分委託料等事業費)
・補正額:2億3769万4千円
・補正後の金額:4億5871万2千円


自然が残された香櫨園浜

議会活動経費
・補正予算額:584万9千円
・財源:全額一般財源
・概要:常任委員会の管外視察実施にかかる旅費

↑新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、中止してきた常任委員会の視察が今年度は再開されることになりました。
 教育こども常任委員会の視察の内容については、後日、掲載したいと思っています。

以上が、9月16日本会議で可決された令和4年度一般会計補正予算(第4号)により実施される主な内容となります。

就学前児童・私立小中学生等応援給付事業

 以前のコラム(←クリックするとコラム「半年間の学校給食費徴収免除」が開きます。)で概要は掲載しましたが、この事業も、学校給食費の保護者負担の免除に伴って、その対象とならない子供向けに予算化された事業でしたが、受けられる支援の金額に大きな違いがあることから、質疑において、支給する金額設定の考え方を確認しました。

====教育こども常任委員会での議論の概要====

令和4年9月13日教育こども常任委員会質疑

■質問(田中まさたけ)
 先ほど(就学奨励世帯等臨時給付金支給事業に関する質疑で)お尋ねした際に、この1万円の根拠を伺いましたが、なぜ、(給食費の支援は小学生約2万5千円、中学生約3万円の支援になるのに対して)一人当たり2万円にせず1万円としたのか教えてください。

■市の回答
 当事業が国の地方創生臨時交付金を財源に実施するものであるため、国から市のほうに給付される交付額というのは上限がございました。
 その結果、ほかの交付金充当事業での事業予算規模とのバランスの中で給付金額を決定したという次第です。

■再質問(田中まさたけ)
 仮に出発点が、学校の給食費が大変負担になっているため、まず無償化しましょうと。それだけでは対象にならないお子様が多数いらっしゃるので、そうした方々にも支援が行き渡るようにしましょうという制度設計をされたと推察をしているのですが、それで間違いないですか。

■市の回答
 給食費の減免ですとか、ゼロ歳から6歳の子供たちですとか、その他の子供たちの細かい対象をどうするかということは追々出てきたのですが、基本的には、子育て世帯についてそれぞれ何かの手当を漏れなくしたいというところから始まっておりまして、その組合せの中で総額が積み上がってきて今の制度設計になったというような次第です。

■再質問(田中まさたけ)
 (政策立案にあたっては)給食費の無償化が出発ではないということでした。それでは、ゼロ歳から15歳までのお子様に一律でこのお金をお渡しをすると計算した場合、交付金の上限を勘案すると、一人当たりの金額はどのような計算になったのかお尋ね致します。

■市の回答
 今、具体的な数字は持ち合わせておりませんが、仮に1学年4,000人子供がいたとして、15歳までですと6万人、その6万人に対して一人1万円だと6億円、2万円だと12億円という計算になるかと思います。
 
 今回、この補正予算の中で国の地方創生臨時交付金を使用して充当した事業というのがいろいろございまして、子供への支援のほかに商店街への支援であったり、住宅リフォームの助成の拡大、また、保護施設へのコロナウイルス感染症対策支援事業ですとか、図書館の予約資料のロッカーとか、先ほど申し上げた児童館の受付システム導入事業とか様々ございまして、また、補正にならなくても既決予算の中でこの交付金を充当する事業もございました。
 そういうことから今のところに行き着いたというような結果です。

■指摘(田中まさたけ)
 まず、指摘ですが、給食の件と今回の応援給付事業というのは、子育て世帯にとっては非常にありがたい政策だと思っていますので、その点はいいのですが、金額面で、子供の中で不公平が生じていると感じます。
 その辺の制度設計が少し雑だなと。国の財源を活用したものとはいえ、市としては、そこに理念を持って取り組むべきではないか、これは指摘をしておかないといけないと思いました。

■再質問(田中まさたけ)
 その上でですが、こども支援局が所管をしている部分で考えられることですが、例えば保育所や幼稚園での給食の負担が保護者にはあると思いますが、その点は何か措置されているのでしょうか。

■市の回答
 現時点では、保育所または幼稚園の給食費実費負担分に対しての直接の支援ということはしておりませんが、今回のこの支援というのが、間接的にそちらにも影響のあるものかとは認識しております。

■再質問(田中まさたけ)
 そしたら、例えば、民間の保育所、公立はたしか給食費としては月に4,500円の徴収をしていたと思いますが、そちらに対する措置は特に今回はなされていないということです。
 そこで、私立の認可保育所が徴収している給食費は把握されていますか。

■市の回答
 今、手元に資料はございませんが、関係部局の中でそういった資料を頂いているかとは認識しております。

■意見(田中まさたけ)
 これも制度設計が雑というところにつながるのですが、その辺もやはり把握して、市立学校の給食費を無償化するのであれば、当然、保育所、そして私立幼稚園も含めて、そういう子育て支援施設で提供されている給食費も無償化をするというのが公平ではないのかと思います。給食費を無償化すべきなのであればです。

 ですので、全ての子育て世帯の物価高騰等による負担を少しでも軽減するというのであれば、全世帯に同じ金額をお配りするという政策が公平ではないのかなとも思います。

 子育て世帯にとっては、ないよりはいい、ありがたい政策ではありますので、それを反対することは当然ありませんが。

■再質問(田中まさたけ)
 今後できることとして伺いたいのですが、物価高騰は、しばらくまだ続きそうな気配がございますので、例えば私立保育所の給食についても食材費が上がっていくと思われます。
 そうすると、その値上がり分を園が吸収するのか、それとも保護者負担になるのかというところはまだ分かりませんが、例えば、認可保育所で食材を一括購入して少しでも費用を抑えるような取組みを市が支援するなど、そういったことを私は市が検討するべきと考えているのですが、その点、何か御検討されていることはございますか。

■市の回答
 今の時点での検討には上っておりませんけれども、そういった御要望ですとか、お声があることについては認識しております。ですので、今後何かこういった財源がついた際に、そういったことを含めて何に支援として充当していくのかということは検討させていただきたいと思っております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 取りあえずお金を配るという感覚で予算を組むべきではないと私は思っていまして、子育て世帯の生活の視点で、今実施するべき政策を検討するべきだと思います。
 今後は、きめ細かに検討していただきたいと要望しておきます。

====ここまでが常任委員会での議論の概要====
 
 国の地方創生臨時交付金の上限が決まっている中で、市内在住の全ての子供を対象に何らかの支援をしようと考えたのであれば、通っている学校や施設によって受けられる支援の金額に大きな開きが生じるのは公平性に欠けると思っています。
 等しく子育て世帯の食費の負担軽減を図るという政策目的を達成するのであれば、学校や保育所については給食の徴収免除の期間を調整することで、全体の金額的な均衡を図ることも考えられたと思います。
 
 一方で、市立小・中学校の給食費の無償化を達成するのであれば、その政策の効果や必要性を十分に検証した上で、臨時の交付金で一時的に対応するのではなく、一般財源で恒久的に実現する方法を検討するべきだと考えています。

 医療費や給食費など受益者負担をゼロにする政策については、市民に分かりやすくて支持を受けやすい政策ではありますが、このまま少子化、人口減少が続くようであれば持続可能な政策とも思えず、限られた財源で実施すると、他の政策にしわ寄せがいき、事業の廃止をしていかなければならないことにもなります。

 ですので、財源を確保するために廃止する事業についても明示するとともに、受益者負担をゼロにする目的を明確にして効果を検証できるようにした上で実施するべきだと思います。

 今後、さらに市役所職員の意識改革も求めていきたいと思います。

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