2009年12月10日 |
- 今後の幼児教育のあり方について
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西宮市立幼稚園教育振興プランの策定を受けて
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幼稚園における公私間での保護者負担の差の是正
幼稚園における公私間での保護者負担の差の是正
田中の考え |
【考え・主張1】
公立幼稚園1人当たりに対する税負担が私立に比べて3倍であるのに対し保護者負担は、私立 幼稚園就園奨励金(以後「就園奨励金」と表記)の支給前で
約2.5倍となっています。
就園奨励金は、所得制限があることから、私立幼稚園入園者の約7割の方に支給されています。
全支給額を単純に全私立幼稚園児の数で割った1人当たりの平均年間支給額約5万3,000円を差し引いてもなお、公立と私立の保護者負担の差は年間10万円を超えています。
距離的に公立を初めから希望できない地区が多数あり、たとえ公立を希望してもすべての希望者を受け入れられない状況にある中で「高い保育料でも好きで私立を選んでいるのだから保育料に格差があっても仕方がない」ということで改善されない状況は、甚だ乱暴であります。
そこで、粗い試算とはなりますが、現在の私立の園児1人当たりの平均負担額を公立の負担額に合わせるためにはさらに(一人当たり平均)約10万円が必要であることから、私立幼稚園の入園児数を単純に掛け合わせますと約8億円の財源が必要になると考えられます。(特色的な私立幼稚園もあることから負担を完全に合わすことはふさわしいとは思いませんが、仮に単純に計算するとという話になります)
また、素案で示された統廃合による経費削減の見込みは(表2)概算で年間約2億8,730万円となるとのことです。
素案のなかでも、統廃合の実施年度より前に(経費削減を行う前に)公私間の負担の差の是正に取り組むとなっていることから、もともと公私間の差の是正と統廃合の問題は別問題として考えるべきです。
【考え・主張2】
これまで教育委員会と健康福祉局においては、特に子育て支援のことについて「連携を強化していく」といった内容の答弁をさまざまな場面で聞いてきました。しかし、今回の、次世代育成支援行動計画の後期計画(素案)を見ている限りまだまだ連携が不足しており、実態が伴っていないと感じました。
次世代育成支援行動計画後期計画(素案)においては財源を明確にし、重点化する施策を明確にして計画を推進していくという方針を明言されました。(後述)一方で教育次長から、就園奨励金については重要課題であるという見解が示されました。しかしながら、次世代育成支援行動計画後期計画(素案)では重点化の位置づけにはなっていません。
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質問 |
【質問1】幼稚園の公私間での保護者負担の差の是正に要する財源は税負担と再配分の公平性の観点から確保されるべきと考えますが、市はどのように考えているのか。素案に示されている2倍以内という数字はなぜ同程度ではなく2倍以内の差と考えたのかも含めてお答えください。
また、新年度からたとえ少しずつでも負担の差の是正に向けた取り組みを進める考えがあるのかあわせて伺います。
【質問2】次世代育成支援行動計画後期計画において、幼稚園行政に関する施策の掲載が不足している点と就園奨励金の重点化について改めてご検討いただけないかお尋ねします。
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回答 |
【回答1】
個々の具体的な課題解決については、限られた財源の中で多岐多様な施策の中から総合的に判断しながら推進していくことが求められます。
幼稚園保育料の公私間格差是正につきましてはパブリックコメントなどでも多数の御意見をいただき、教育委員会といたしましても重要課題の一つであるという考えに変わりはありません。
また、公私間における保護者負担の格差を縮小しより広い選択肢を提供する必要があると思われますが当面2倍以内を目指して段階的に増額を図りたいという考えです。
さらに、国の動向によっては就園奨励金制度の一部で来年度より補助金が引き下げられる可能性もありその財源確保に向けた対応にも努めなければならないと考えています。
また、本市の財政を取り巻く状況はなお厳しい状況にあることからこれらの課題解決に向けては新たな財源を求めるだけではなく、効率的な運用など自助努力も必要であると考えています。
そのため、公私間格差是正の財源につきましては削減額をその一部に充てるよう今後とも財政当局と協議を行っていく考えです。
【回答2】
議員御指摘のことも踏まえまして、重点施策の整理検討を行っていきたいと考えております。 |
結論・要望 |
計画策定作業において、教育委員会と健康福祉局の連携不足が露呈しました。改善すべきです。
そして、国の動向によっては就園奨励金制度に関する国の補助金が来年度から引き下げられる可能性があるとのことでした。
これはますます冷え込む景気の中、多くの保護者に影響をもたらす問題です。
可能な限り市の財源を捻出して頂いて、これ以上負担が増えることのないよう措置を求めました。
そして、現状では市内の幼稚園にも認可保育所にも入っていない4、5歳の児童がいることだけが明らかになっています。
公立幼稚園に抽選で入れずに私立幼稚園は負担が大きくて幼稚園を断念している保護者も少なからずいると推測されます。
いち早く、その実態調査を行うべきであると指摘しました。
そして、「2倍以内の差」の実現の目標として「当面」というあいまいな期間となったままで明確な回答は得られませんでした。
今後、あるべき「差の程度」も含めて、議論を詰めていく必要性があります。
一方で、公私間の保護者の負担の差については一定の是正が必要であることは明白です。
今後の重点施策に位置付けるとともに、来年度から少しでも差の解消に向けて取り組んでいただけるよう強く要望しました。 |
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公立幼稚園の統廃合問題
公立幼稚園の統廃合問題
田中の考え |
就学前児童が増加傾向にあるなか、公私の区別なく現状の幼稚園のニーズの動向が減少傾向にあることが見てとれます。(表6)
公立幼稚園の統廃合については一定やむを得ない方向性なのかもしれません。
しかし、そもそもこうしたプランは10年先の姿を実現するための基本計画的な内容となってしかるべきだと考えます。
北部地区を除きまして、少なくとも平成25年までは子供の数が急激に減ることは考えにくいことから(表4)今回の統廃合の計画においても全体のクラス数だけで見ると変わっておらず、公立全体での枠は確保されております。
しかし、今回示された(廃止対象となっている幼稚園の)閉級の実施時期では、いきなり多くの方に不便を強要することにもなります。
また、廃止される公立幼稚園の近所の私立幼稚園は(3歳児募集がメインで)4歳児からの募集が欠員募集のみとなっている園が多い地区もあります。(表5)
(いきなり近所の公立幼稚園がなくなり、近所の私立幼稚園で4歳児の募集がその周辺で行われなければ行き場を失う可能性が高まります。よって、再来年度に4歳児として希望する、つまり、現在2歳の子どもを子育て中の保護者も影響を受ける地区も出てきます。) |
質問 |
(公立幼稚園の)統廃合の開始時期を延期し、改めて現在ゼロ歳のお子さんがいる保護者が影響を受けない程度、つまり、平成26年4月からの閉級について関係者への説明を始めるべきと私は考えます。
これは、素案から3年程度の延期となるわけですがその間に、幼児教育のあり方の議論や幼稚園のニーズを見ながら統廃合の園の数、またクラス数などプラン全体の検証を行っていくべきと考えますが、市の見解を伺います。 |
回答 |
御質問の統廃合の実施時期につきましては募集停止までの周知期間や未就園児を持つ御家庭への影響などの課題があると認識しております。
また、プラン全体の検証につきましても今後の児童数の推移や教育環境の変化などの社会情勢も含め、検証を行ってまいります。 |
結論・要望 |
計画内容の拙速さを認め、プラン全体の検証も行うとの回答でした。
平成23年4月から閉園される予定の幼稚園もあり、つまり、再来年に子どもを入れたいと思っていた幼稚園が突然なくなってしまうことで全く行き場を失うというのはどう考えても理解を得られないことと思われます。
また、児童数の減少が見込まれないなかでどうしても統廃合しないといけない状況ではありません。
そして、幼児教育のあり方についても十分な議論がなされていないなかで説明しきれない部分が多かろうと思います。
やはり、今いる子どもたちが影響を受けない程度のスケジュールで、計画を立てるべきです。
財源の確保のために努力する市の姿勢は評価しますが(統廃合によらなくても、それこそ当面の間であれば、人件費の抑制や幼稚園スタッフの効率化などで財源を捻出する方法もあります。)財源確保のやり方、統廃合の進め方を改めて検討してもらえるよう要望しました。 |
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幼児教育の提供のあり方
幼児教育の提供のあり方
田中の考え |
幼児教育を提供する施設として保育所の保育指針の中でも幼稚園教育要領との整合性が図られつつある中で、幼稚園の存在意義を再度検証する時期に来ていると私自身は感じております。
現に、幼稚園の需要は先ほども触れましたとおり、ニーズが徐々に落ちてきておりまして(表6)保育所のほうにニーズが移行しているようです。
私自身は、親に対する子育て指導や子どもの小学校での勉強に取り組む姿勢の教育問題など、幼児教育や家庭教育の見直しの必要性がますます強まっているように感じております。
ですので、幼稚園卒園後の子どもやその親に与える影響なども含めて、幼稚園で行われる幼児教育の重要性をもっと明確にしていかなければ幼稚園教育は少子化と相まってどんどん衰退する可能性があります。
公立と私立という幼稚園の枠組みだけの議論でとどまるのではなく、10年後、20年後の幼稚園行政の方向性を示すべく議論を始める時期に差しかかっていると考えます。 |
質問 |
私立幼稚園も含めて幼稚園の今後の役割、幼稚園行政の方向性、幼児教育の提供のあり方を市はどのように考えているのか、見解をお聞かせください。 |
回答 |
公私を問わず、幼稚園での保育時間の基本的な考え方は発達年齢に適した教育時間として幼児の心身面を考慮し、1日4時間を標準としており、保育所における長時間保育とは異なるものと考えられます。
しかしながら、近年預かり保育への保護者ニーズが大きく私立幼稚園ではそれぞれの教育理念に基づき、教育活動として預かり保育を実施している園もあります。
このことは、長時間保育を求める保護者への子育て支援の一助になっているものと考えられます。
今後、子供の心身への負担を配慮した上での長時間保育や子供の心身の成長に合わせた短時間保育などを保護者が自由に選択することができるような体制づくりが必要であると考えています。
そのためにも、保育料の格差是正は必要であると考えています。 |
結論・要望 |
幼稚園のあり方、保育所のあり方、今進めておられる認定こども園のあり方、この辺を一体的に議論をして、方向性を示していただきたい。しかも早急にお願いできればと思います。
幼児教育の意義については触れられませんでしたのさらに議論が必要と考えています。 |
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次世代育成支援行動計画後期計画の策定を受けて
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西宮市版「幼児教育振興アクションプラン」の策定
西宮市版「幼児教育振興アクションプラン」の策定
田中の考え |
こちらは平成21年11月27日に開催されました厚生常任委員会において素案が発表され、現在パブリックコメントが行われております。
まずは、幼稚園行政に関する記述が非常に少ないということに私自身驚きました。
一見多岐にわたって配慮されているように見えますが、次世代育成支援と言いながら就学前児童の全体の約3割のニーズがある幼稚園需要を軽く扱うとは考えにくく、健康福祉局と教育委員会の連携が不足していることが露呈していると私は感じます。(西宮市立幼稚園教育振興プランは、幼稚園を担当する教育委員会が策定。次世代育成支援行動計画は、国でいう厚生労働省が扱う取り組みを担当する健康福祉局が策定。)
また、次世代育成支援行動計画後期計画を策定するにあたって、その前期計画の総括が不十分であると思われます。
前回、前期計画で掲載されていた事業の項目が、理由が示されることもなく、削除されているものが幾つか見受けられます。
特に私立幼稚園に関する記述に多いように思います。
例えば、平成16年度中に策定予定となっていた『幼児教育の振興に関するプログラム』の策定などは、成果物を見たことがございません。(にもかかわらず、取り組み事項から削除されていました)
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質問 |
平成18年に幼保一元化の動きと連動して、文部科学省から幼児教育振興アクションプログラムが示されましたが、「子育てするなら西宮」を標榜する本市の幼児教育のあり方について今後議論し、当プログラムの西宮市版を策定することは市民に対して幼児教育の方向性や重要性を示していく上で非常に重要なものであったと考えますが、この点どうなっているのかお聞かせください。 |
回答 |
平成13年3月に国、文部科学省が幼児教育振興プログラムを策定し、これを受け県が平成14年3月に「兵庫の幼児教育の振興に向けて」を策定いたしました。
この間、教育委員会におきましては平成16年度に西宮市における幼児教育の振興についての作成に着手いたしましたが、御指摘のように平成18年10月に国より「幼児教育振興アクションプログラム」が新たに示され、教育委員会として最終的な案の作成に至ることができず今日に至っております。 |
結論・要望 |
平成13年に国が策定したプログラムには計画期間が平成17年度までと明記されており、急に新しいものが出てきたわけではありません。
また、平成18年からもすでに3年が経過しています。市のプログラムが策定できなかった理由としては不十分です。
つまり、こちらも策定する気がなく、放置していたことが露呈したことになります。
プログラムの策定に向けての早急な対応を要望しました。 |
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幼児教育のあり方を議論する場の設置
幼児教育のあり方を議論する場の設置
質問 |
市の内部で認定こども園の設置に向けた検討会を設けているとのことですが、幼稚園、保育所、認定こども園、これらをそれぞれ単体としてとらえて検討するだけではなくそれぞれのあり方について需要の動向を加味した総合的な議論が不可欠であると考えます。
今後、幼稚園と保育所と認定こども園、その他の子育て支援施設を一体的に議論する場を設置して議論を始め、それぞれの施設における幼児教育に関して市独自の幼児教育振興プログラムを策定し早急に実施に移せるように計画すべきと考えますが、市の見解を伺います。 |
回答 |
就学前すべての子供たちの幼児教育について、教育委員会及び健康福祉局を中心に外部委員なども入れた総合的に審議を行える場を設け、取り組みを進めていきたいと考えております。 |
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幼児教育のあり方を議論する場の設置(審議の場の設置を次世代育成支援行動計画後期計画に記載すべき)
幼児教育のあり方を議論する場の設置(審議の場の設置を次世代育成支援行動計画後期計画に記載すべき)
田中の考え |
あわせて健康福祉局にも伺いますが、教育委員会から就学前すべての子供たちの幼児教育、つまり、幼稚園教育だけじゃなくて市内すべての子供の幼児教育について外部委員なども入れた総合的に審議が行える場を設けて取り組みを進めていくと少し踏み込んだ意欲的な御答弁を頂きました。
これからの幼児教育のあり方の議論が進んでいくのではないかという私は期待しております。 |
質問 |
その審議の場の設置等々について、今回の後期計画においてぜひとも掲載すべき内容であると私は考えますが、どのようにお考えでしょうか。 |
回答 |
市民の方にお願いをしておりますパブリックコメント、ここから出てくる御意見もあわせまして今後、本計画の策定委員会の中で検討を行い、来年2月中旬ごろを目途に計画案に反映させてまいりたいと考えています。 |
結論・要望 |
今後の動き、審議会等の設置についてはほぼ100%の回答を得ることができました。
幼児教育のあり方に関する議論のゆくえなど今後の動向を見守っていきたいと思います。 |
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計画の財源
計画の財源
田中の考え |
次世代育成支援行動計画後期計画は新規事業13、拡充62の事業という内容となっておりまして大変意欲的な内容となっておりますが、財源の見込みがないものは計画とは言いがたいと考えます。 |
質問 |
財源をどのように見込んでいるのか、お聞かせください。 |
回答 |
新規事業に係る費用につきましては、現在制度を検討中でございます認定こども園及び母子家庭等就労自立支援センターの2事業を除きまして概算で約1,300万円です。
なお、新規拡充する事業に要する費用の概要につきましては今後、計画書を公表する段階であわせてお示しさせていただく予定です。
この次世代育成支援行動計画後期計画は、限られた財源の中で最大の効果が得られるよう重点化する施策を明確にして事業を推進していきたいと考えています。 |
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保育所など子育て支援施設全体での幼児教育のあり方の議論
保育所など子育て支援施設全体での幼児教育のあり方の議論
田中の考え |
幼児教育の提供という観点からは幼保どちらも各園に方針の特徴があるものの、一定の幼児教育がおこなわれる施設として存在するものと考えます。
幼保間においては、私立幼稚園と保育所の保護者負担の差は時間単価で考えると約3倍の開きがあると見ることができると考えます(表1)。 |
質問 |
このように、サービスの量に対する保護者の負担の割合一つ見ても明らかに存在すると思われるこの不平等をどのように考えているのか、お聞かせください。 |
回答 |
御指摘の課題については就園奨励金の課題も含め、先ほど申し上げました審議の場において解決を図っていきたいと考えています。 |
結論・要望 |
本当に幼稚園のあり方、保育所のあり方、今進めておられる認定こども園のあり方を一体的に議論して早急に方向性を示すべきです。
少子化はすでに他の市町村では本当に深刻な問題になっています。
本市も恐らく例外なくそういう時期が来ると思います。
ですので、他市の動向も見ながら議論を着実に進めるよう要望しました。 |
- 今後の公的資産管理の方向性について
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施設の維持更新等における効率的な事業手法の検討1
施設の維持更新等における効率的な事業手法の検討1
田中の考え |
PFI手法BT方式(配布資料参照へ)を適用した「市営住宅甲子園九番町団地280戸の第1期建てかえ事業」の事業者選定が終了いたしました。
従来型の発注と比べ資金調達から設計、建設に及ぶ事業費のバリュー・フォー・マネー(VFM)を約9%と見込み、約4億円の費用節減が示されておりました。
そして、入札が終わってみると何と約29億円まで事業費が下がることとなり、従来型で行った場合で算出されていた事業費約46億円と比べると約17億円が削減されたことになります。
このBT方式はPFI手法のメリットの核と思われていた維持管理を含んでおらず、特殊な方法ですが全国的にも公営住宅の建てかえ事業に多く活用され始めている方法です。
今回は、設計内容と建設費用が同時に提出された中での選定であったため性能面の低下や維持管理費用の増大につながるような設計ではなく、民間のノウハウが最大限発揮され金額を加味した上でのよりよい設計が選定されたのではないかと推測しています。
そして、今後は、手抜き工事の防止などとあわせて契約どおりに事業が遂行されているかの監視・モニタリングが非常に重要となってきます。
そして今後、全市的にこの手法のメリットが生かされることを私は願っております。 |
質問 |
価格面や性能面、利用者である入居者にとってのメリットなど甲子園九番町団地更新事業におけるPFI・BT方式の効果をお聞かせください。
また、今後の維持補修を含めたライフサイクルコストとその削減に関する提案内容、そのコストに対して家賃収入が占める割合をお聞かせ下さい。
そして、多くの入札参加者を促すために配慮した点、今後のモニタリングの体制についてもお聞かせください。 |
回答 |
BT方式の効果についてですがまず、採用されました提案事業における価格面の効果としては入札価格は市が提示いたしました最低制限価格と同額となっており、市が分離発注により直接建設いたします従来方式の請負率を加味しない設計金額ベースでは総事業費は2年間で約46億円のところが、入札結果は約29億円となりコストダウンの金額は約17億円、率にいたしまして約38%の結果となり市の財政負担は大きく軽減されております。
次に民間のノウハウの活用についてでございますが、施設の品質面におきましては、建物の長寿命化や維持管理のしやすさ、建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)のAランクの取得など環境への配慮、また、集会所やプレーロットなどを住まいの安全・安心につながる地域の防災拠点として機能させるなど、今までの市営住宅にはないすぐれた提案がなされております。
次に、入居者に対するメリットといたしましては、建設費のコストダウンにより建築工事費が家賃の算定根拠となります所得階層につきましては住宅家賃が低額になる場合もあり、直接的に入居者へのサービスの向上にも寄与する効果が得られるものと考えています。
また、建物の断熱性能は市が提示をいたしました要求水準を上回る提案がなされていることから、夏場や冬場も過ごしやすくなり光熱費の負担も軽減され、ひいては、CO2排出量の削減にもつながるものと考えています。
このようなことから、当事業は設計施工一括発注及び性能発注による民間事業者の創意工夫が価格面及び品質面において十分に発揮されたものと評価しています。
次に、ライフサイクルコストについては施設の当初建設費と70年間の人件費等を含む維持管理経費の総額、いわゆるライフサイクルコストですが、実額で約80億円強と試算しており、当初建設費とともに共用廊下、バルコニーに工場製品を使用することによる防水改修費及び共用廊下側に竪排水管を集約化することによる管の取りかえ費などのメンテナンス性の向上等によりまして、従来方式と比べ約20%の縮減効果が見込まれる結果となっています。
そして、今回の方式によります70年間のライフサイクルコストと家賃収入等の占める割合については、収支を試算いたしますと建設当初の建設費のコストダウン等に加え、公営住宅におきましては住宅や駐車場の使用料等の収入が約60億円見込まれ、また、当初の建設費のうち約13億円の国からの交付金や、
将来的に実施いたします外壁改修工事等に対する交付金が見込まれることから、今回の事業につきましては、70年間のトータルではほとんど市の財政負担をかけずに施設の適切な維持管理が可能という試算結果が得られています。
次に、入札参加者の応募しやすさに配慮した点等については、この事業は1億5,000万円以上の事業費であるため、市内業者と大手ゼネコンの建設工事共同企業体──JVであることを入札参加資格要件としております。
通常の建築工事登録業者同士による共同施工方式、いわゆる甲型JVでは参加できる市内業者は総合評価点数により数社に限られてしまうこととなるため、今回のPFI・BT方式では管工事、土木工事等の異業種との分担施工方式、いわゆる乙型JVについても認めるということで幅広い市内建設業者の参加の機会を与えることといたしました。
また、業者の資金面におきましても事業期間が2カ年にまたがることから平成22年度末に出来高として中間払いを実施することで、少しでも事業者の負担軽減を行い応募しやすい環境づくりに努めました。
これらの結果、7グループの構成企業の入札参加があり適切な競争環境の中、最もすぐれた提案を行いました乙型の構成企業が事業者として選定されたと考えています。
最後に、市のモニタリングの実施体制については、本市が提示している戸数や住戸内の仕様等を定めた要求水準書や提案内容が安価な入札価格にかかわらず現場で確実に反映されるよう使用する部材や機器などの確認、施工方法や工程計画等の指導、さらに、現場における施工状況や工事監理状況につきまして非常に多くの項目ごとの検査を実施することとしております。
また、工事進捗に合わせた市担当職員による検査体制の強化を図るなど、確実なモニタリング体制で臨み、工事の品質の確保を図ることとしております。 |
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施設の維持更新等における効率的な事業手法の検討2
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学校の建て替え事業へのPFI手法の適用
学校の建て替え事業へのPFI手法の適用
田中の考え |
【考え・主張1】
PFI手法の実績が明らかとなり経済危機による税収減など厳しい財政状況が懸念される現在、すぐにでも経費削減策として生かしていくべきだと考えます。
【考え・主張2】
PFI手法のメリットなど、市全体の中で情報がちゃんと共有されているのかということに疑問を持ちましたので、今日はすべての部局に関係のあることだと思いましたので詳しく御答弁をいただきました。
そして同時に、現在、(建て替え工事でない部分の)事業が一部進んでいる夙川小学校について進行中であることは重々承知した上で、PFIの再検討のお考えをお伺いしましたが大変後ろ向きな御答弁でした。
学校と地域のほうに配慮されている、その点は私はいいと思います。
ただ、そればかりに固執している状況でもない財政状況というものもあります。
ですので、明らかに(地域や学校に)迷惑がかかるような状態になるのであれば無理は言えません。
しかし今回は、設計自体をプロポーザル方式で選ぶことになっています。
そうした過程を経て、実際の事業着手は平成23年からというふうに聞いています。
ですので、これからでも、(1年以上の遅延を招くことなく)PFIの検討を十分できるのではないかと思います。
PFI手法で行ったら5.3%のVFMが出て、約1億円もの効果があると見込んでいるとお答えになりました。
1億円というとやはり大きな金額です。
それをみすみす検討もせずに、そのまま進んでいくという姿勢はいかがなものかなと感じました。
来年度は一層財政状況が厳しくなるということが、見えてきています。
学校での安全確保は必要ですし、やはり学校は優先はされるべきだとは思いますが、(事業の効率性の追求については)学校も聖域ではないとも私は思っていますのでせめて再検討ぐらいはしていただいてもいいのではないかと思っています。 |
質問 |
【質問1】直近に予定されております夙川小学校の老朽校舎建てかえ事業において、仮設教室を今年度に設置されるそうですが、児童の安全性を確保した後にでも再度PFIを検討するなど経費削減に関する教育委員会の取り組みをお聞かせください。
【質問2】効率的な事業手法というものを検討していくという姿勢をお示しください。 |
回答 |
【回答1】
夙川小学校校舎等増改築事業は、校舎の老朽化による建てかえと耐震化を図ることを主な目的とし、また、本市では初めての環境モデル校を目指し、平成21年度より事業着手し平成25年度内の完成予定としております。
同校の増改築事業におきましては、PFI的手法による一定の経済効果VFM5.3%、約9,800万円は出ておりますが、導入可能性調査等で今後さらに1年以上の準備期間が必要になります。
改築対象となっております校舎の中に、崩壊の危険性の高いIs値0.3%未満、いわゆるC評価のものが含まれております。
その対策として他のC評価同様、早期に子供たちの安全を確保する必要性があることから校庭に3階建ての仮設校舎を今年度中に設置する予定です。
その結果、3年にわたり校庭の使用にはかなり制限が加わることとなり従来方式によりましても学校活動や行事、地域活動に支障が生じることが予測されます。
本事業計画につきましては、既に本年4月より学校関係者や地域団体の代表者から成る改築推進委員会において協議を重ね、全体スケジュール等、現事業計画について御理解をいただいているところです。
このような状況の中で、PFI導入可能性調査のためにさらに1年以上校庭利用の面で制限が加わることとなりますと、できるだけ早く完成させてほしいとの声もあることから、学校や地域の御理解を得ることは到底困難との判断に至りました大変厳しい財政状況でもありますので、今後の事業推進の中でできる限り事業費の抑制に努めてまいりたいと考えております。
【回答2】
本来、学校施設は子供たちの学びやとしての施設でございます。
また古くから地域コミュニティーの場としても親しまれ、また、シンボルとして位置づけられてまいりました施設であると認識しております。
今回の建てかえ事業は校舎の老朽化、耐震化に対応することを主たる目的として実施するものでございますが、改築に当たりましては子供たちの安全・安心はもちろんのこと、生き生きと学び、そして遊び、そして心身ともに健やかに育ち、生きる力をはぐくむための施設、設備を備えた教育環境を新たに確保することが最も大切なことと考えておりますので、御理解を賜りたいというふうに思っております。
現在、財政状況は厳しさを増してきております。
今後とも、校舎の建てかえ事業におきましては教育委員会としましても、PFIなどのさまざまな事業手法を比較検討いたしまして、経費削減に努めながら学校施設としてよりよいものを整備すべく努力してまいりたいと考えております。 |
結論・要望 |
今後検討していくということは、もう3年前になりますが、平成19年の3月に私がおこなった浜脇小学校の建てかえに関する一般質問のときにも同じことをお答えになりました。すごく残念です。
財政状況が厳しいというのは、私が過剰に受けとめているのでしょうか。
この期に及んで、初の環境モデル校になさると。
そのために、どれだけお金を余分に掛けるのか費用対効果も示されていません。
経常経費と投資的な経費を比べるのはどうかと思いますが、例えば就園奨励金の場合は、財源のこともあるから厳しいと言い、一方、施設建設に当たっては、お金の削減につながることはなかなかできないといった回答をするのはおかしいと思います。
ですので、夙川小学校の建てかえ事業のやり方についてはもう一度検討するよう強く要望しました。
また、市全体では耐震化のほうがメインになっていますが老朽化している校舎もどんどん増えています。
これらも一気に事業を集中させるのではなくてこれから取り組もうとされている公共施設のマネジメントによって、事業費負担を平準化した形で計画もされることと思います。
学校だけが聖域だというような形での検討の仕方、意思決定の仕方はもうやめるよう指摘しました。 |
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縦割り行政の解消
縦割り行政の解消
田中の考え |
行政の縦割りの発想での単体での箱物の建設を控えていかなければ、持続可能な社会の実現は不可能と考えます。
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質問 |
保育所需要が伸びている夙川地区での学校の建てかえ事業ですので、保育所など就学前児童向けの子育て支援スペースを確保するような協議を行ったのかどうか、教育委員会の姿勢とあわせてお聞かせください。 |
回答 |
学校規模に関する国の基準であります小学校設置基準によりますと、夙川小学校の現在の児童数では、運動場面積7,200平方メートルが適切な規模とされております。
しかしながら、現在の夙川小学校の校庭面積は5,756平方メートルであることから基準を大きく下回っており、決して良好な教育環境とは言えない状況と判断しております。
このようなことから、教育委員会としましては教育環境を今以上に悪化させる内容は建築計画の中に取り入れることはできないと考えております。
ただし今後、施設利用状況など情報提供につきましては関係部局との共有が図れるよう努めてまいります。
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結論・要望 |
きちんと検討されていなかったことが露呈したように思います。
将来自分たちの学校に来るであろう子どもたちのために、もっと親身になって教育委員会には考えていただきたかったと思います。
異年齢交流の観点からも貴重な機会を逃すことになると考えます。
再検討が必要です。 |
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資産・債務改革の方向性について
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公的不動産の利活用戦略の策定
公的不動産の利活用戦略の策定
田中の考え |
公共資産のアセットマネジメントについては、平成18年6月議会で取り上げて以来、会派を挙げてずっと主張してきました。
そしてちょうど同じころ、平成18年8月に総務省から出された「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」の中に地方の資産・債務改革の項目があり、3年以内に公会計を整備、公表するとともに資産・債務改革の方向性と具体的施策を示すことが求められています。(資料の裏面に流れを掲載)
つまり、現在進めている公会計の整備が、市の財務状況を説明することとあわせて地方の資産・債務改革を促すことが期待されており、財政規模に合わせてバランスシートの資産規模の圧縮を検討することを求めたものであると解することができます。
しかし、現状は財務書類の作成のみが目的化していないかということを危惧しています。
そして、公的不動産(パブリックリアルエステート、頭文字をとってPRE)の利活用を検討するPRE戦略という手法が資産債務改革に寄与する方法として注目されています。
国土交通省では、公的不動産の合理的な所有・利用(PRE)に関する研究会を立ち上げまして、平成20年3月に出された中間取りまとめにおいてPRE戦略を次のように定義しております。
「公的不動産について、公共・公益的な目的を踏まえつつ、財政的視点に立って見直しを行い不動産投資の効率性を最大限向上させていこうとする考え方である」、このように定義しております。
そして、その実践の促進に向けて課題等の整理が行われている様子です。
財政規模からの最適な資産の保有量を算出し、施設更新時の土地の利活用などを視野に入れて基本計画を策定していくといった流れになるようです。
一方、西宮市では、公会計制度改革に対応するために資産の評価が進められていると聞いております。
その評価内容が財務諸表4表に使われるだけで、今後の政策に活用されなければ労力対効果が余りにも低いと思われます。 |
質問 |
指針の中でも、平成21年度中に資産・債務改革の方向性と具体的な施策を示すよう求められておりますが、本市の状況はどうなっているのかお聞かせください。 |
回答 |
平成18年8月に国から通知されました「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」におきましては、地方公共団体に未利用財産の売却促進や資産の有効活用等を内容とする資産・債務改革の方向性を示すように要請されております。
本市ではこれまで、遊休市有地の売却について第3次行財政改善実施計画の取り組み項目の一つとして掲げるなど、具体的な利用計画の定まっていない市有地を整理した上で順次売却してきたところであります。
その売却額は、平成17年度から20年度までの4年間で約24億円となっております。
この遊休市有地売却の取り組みは、財源確保の観点からも21年度以降も引き続き取り組んでいるところでございます。
国の通知にございます地方公会計改革の項目では、公会計の整備の取り組みが求められております。
本市では、現在、国の作成基準に準拠し発生主義及び複式簿記の考え方を導入した貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の4表について市及び関連団体等も含めた連結ベースで作成を進めており、この作業過程において集約される財務諸表を作成するための資産情報も、今後、資産、債務の管理に活用していくことができると考えております。 |
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資産・債務改革の方向性
配布資料1
配布資料2 |