田中の考え |
平成21年4月に全面施行された「西宮市参画と協働の推進に関する条例」(以後「参画条例」と記載)に基づいて、協働事業提案手続きが始まりました。
昨年度の協働事業提案の結果に関しては、情報が全く公開されていませんでしたので、一覧表を提供していただき、配布資料の表1に示しました。
一方で、 表2に平成17年度から3年間限定で行われた「地域福祉モデル事業」の概要を示しました。
3年間で補助金約240万円を活用し、各団体によって、15件の事業が行われました。
これら2つの取り組みは、活動団体の組織拡大の支援にとどまっていないか、事業実施後の課題解決に向けての協働体制が継続されているかという点で共通の課題を抱えていると考えています。
ここで、協働事業提案の取り組みについて、いくつかの改善すべき内容を提言したいと思います。
1つ目は、書類作成など手続きに関する支援です。
提案者となる市民は、行政事務に精通しているわけではありません。
高齢の方も多いことから、より広く提案を受け付けるためにも提案書類の作成支援として、手引書を作成するなどの配慮が必要と思います。
2つ目は、助成金の支給基準の明確化です。
成熟社会に向かおうとするなか、多様化するまちづくりの課題を解決するためには、限られた財源をより有効にかつ一層効率的に配分することが求められています。
よって、助成金の支給を検討する際には「補完性の原理」を重視し、その助成金の役割や支給基準を明確にしておくべきです。
また、新規事業の拡大のみではなく、市が団体等と協働で取り組める可能性がある既存事業を具体的に示し、その中から協働の提案をしていただけるような工夫も検討すべきであると考えます。
3つ目は、公募型補助金制度としての制度拡大です。
平成16年12月議会での一般質問において、団体等への既存の補助金もすべて一度白紙にして公募型補助金制度を確立した我孫子市での取り組みを紹介しました。
そして、本市においても単なる歳出削減を目的とした見直しにとどまらず、新規参入も可能とする補助金支給の制度化を行うべきと提言いたしました。
当時の市の回答から、既存の補助金の見直し(第3次行財政改善実施計画)が終わったのちに、補助金の制度自体のあり方の検討に入っていただけるものと理解していました。
しかし、第3次行財政改善の取り組みが終了して1年、当時のご答弁から5年以上が経過しようとしていますが一向に変化・動きは見られず、前の市長は辞任されました。
(協働事業提案手続きでの補助金支給制度ができた現在では)新たな制度をわざわざ作らずとも、支給基準の明確化や協働による効果の明確化など、支給前と実施後の評価システムをセットにして協働事業提案手続きの助成枠や助成期限を拡大すれば、既存補助金は評価対象にはなりませんが、公募型補助金制度は早期に実現可能であると考えます。 |
質問 |
【質問1】市民団体等からの協働の提案内容、補助金を支給することによる効果、解決が期待される課題もしくは期待される政策効果、提案者を主体とした事業の継続性、といった補助金支給の根拠となる判断基準、支給決定に至る意思形成過程の結果を公表すべきと考えますが、市の見解をお尋ねいたします。
【質問2】協働事業提案制度における事業費補助は、1回のみとなっています。
昨年度に採択された提案事業のうち、今年度継続して行われる事業は何件予定されているのか、お尋ねいたします。
また、採択された提案事業の継続をどのように担保するお考えなのか合わせてお尋ねいたします。
【質問3】協働事業の拡大に対応するための今後の財源確保をどのように考えているのかお尋ねいたします。 |
回答 |
【回答1】
参画条例の第15条に定める協働事業提案の手続きに基づいて、平成21年度は「西宮船坂ビエンナーレ2009プロローグ」など10事業を実施いたしました。
これら協働事業を決定し、実施するまでの手続きとしては、最初に提案者から市に事業提案書を提出していただきます。
その後、提案者と市関係課が事業内容や実施体制について協議を行ったうえ、市が協働事業として可否の決定を行い、提案者に通知いたしております。
その決定過程は公表しておりません。
しかし、協働事業の内容、協働の意義と効果、市と提案者の役割分担等について公表していくことが補助事業としての協働事業の透明性を高めるととともに、事業について市民の理解を得ることにつながるため、今後、公表の方法等について検討してまいります。
【回答2】
昨年度の協働事業提案10事業のうち、本年度に継続する予定の事業は6事業です。
現在、 協働事業に対する補助金は単年度限りとしています。
そして、事業の効果を高めるために、さらに継続していく必要があると判断した場合には、提案者の主体性のもと、協働事業として継続できるよう 市と提案者が協議しています。
今後は、 協働の取り組みが 継続できるよう支援するために、複数年での助成の仕組みと合わせて助成枠の拡充や公募型補助金制度も検討していきたいと考えています。
【回答3】
平成21年度から自動販売機の設置者により売上金の一部をご寄付いただき、本市のまちづくりへの支援として頂く「まちづくり支援自販機」の設置に取り組んでいます。
寄付金を協働事業助成金に活用することで、市民とともに進める協働事業を推進しようとするものです。
今後とも、こうした財源の確保に努め、市民活動を支援してまいります。
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結論・要望 |
市長自ら、協働の意義や効果などについて公表の方法等を検討すると明言されました。
支給決定に至る意思形成過程の結果を公表していただけるよう改めて要望しました。
補助金事業の継続性については、昨年度実施された10事業のうち6事業しか継続されなかったことが明らかになりました。
継続されなかった残りの4事業について、1年だけの実施でどのような課題解決につながったのか、今後参画条例に基づいて設置されている「評価委員会」のなかで明らかにされるよう要望しました。
また、補助金支給の選定についてはくれぐれも慎重に行うよう指摘しました。
そして、公募型補助金制度についてもようやく本格的に検討してもらえると明言されました。
新年度以降の取り組みを注視してまいります。
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