2011年12月 西宮市第三セクター等への関与に関する条例(可決)

資料:西宮市第三セクター等への関与に関する条例(可決)(PDF)

再挑戦~西宮市議会全議員を対象に呼びかけて勉強会を開催~

 改めて選挙において任期をいただき、当条例の必要性を感じていることに変わりはなく、議会のメンバーも変わりましたので、新議会のもとで改めて条例の是非を問いたいと考えまして、準備に取り掛かりました。
 新人議員の方もいらっしゃることから、前回の9月議会を終えまして、まずは3回の勉強会の開催を企画しまして、全会派及び無所属の全議員の皆さんにご参加をお願いしました。その結果、毎回、15名前後の議員の皆さんにご参加いただきました。
 第1回目の勉強会では、前回提案した条例の内容と条例提案の動機について説明し、参加議員の間で意見交換を行いました。
 第2回目の勉強会では、条例案が可決すれば、実際に運用することになる市当局の意見を聞き、参加議員と市との間で、意見交換を行いました。
 第3回目の勉強会では、参加議員からご意見をいただき、極力取り入れた形で、今回の新しい条例案をまとめました。
 その結果、前回は賛同議員14名による提案でしたが、今回は29名の賛同議員による提案が実現しました。

■ 以下、本会議での発言
(点線で囲った部分は、総務常任委員会での説明)

提案理由の説明

 ただいま上程中の議員提出議案第7号「西宮市第三セクター等への関与に関する条例」の提案にあたりまして、提案者を代表しまして、提案理由の説明を申し上げます。
 当条例の前身となります条例案を、前の任期の本年3月の定例会において提案し、総務常任委員会での審議におきまして、実際に条例を運用することとなる市の意見が文書にて提出され、委員から、市当局との協議がもう少し必要とのご意見などがあり、継続審査と結論付けられました。その後、任期満了のため廃案となりましたが、頂いたご意見をもとに内容を精査し、新議会のもとで改めて提案するものであります。

条例提案の動機

 条例提案のきっかけは、前回の提案の際にも申し上げましたが、平成21年4月の、西宮都市管理株式会社への短期貸付金、1億5000万円の補正予算が、専決処分されたことに遡ります。当時、西宮市議会に設置された特別委員会において調査・議論を深めた結果、不確定要素を含んだ返済計画のもとで、短期貸付金を長期貸付金に変更することが、本年3月の予算審議において認められ、新たな追加融資は行わないとされておりますが、今後も引き続き、市のみならず、議会も動向を注視する必要があります。また、これまでは、主に予算審議において行われてきた議論のなかで、一定の公的支援の是非については、別途議会において議論し、意志決定する環境をつくることが必要であると考えております。
 そして、西宮都市管理株式会社のみならず、市が人的、資金的及び業務内容において強い関連性を持つ第三セクター等に対して自立した経営を促し、しいては、施設を管理する第三セクター等である場合には、その施設の有効活用、活性化を促すことにつながることが期待されます。そうしたことから、当条例は、株主として果たすべき市の役割・対応等に対して、議会がその機能をさらに発揮するための新たな仕組み・一定のルールとなると考え、提案に至った次第であります。

提出議案の概要

 それでは、提出議案の概要について説明いたします。
 まず、第1条では、「第三セクター等への市の関与に関する事項を定めることにより、第三セクター等の経営状況や事務の透明性を高めて、健全な経営の促進に寄与することで、第三セクター等を通じて実現しようとする行政目的の効果的かつ効率的な達成を図ることを目的とする。」と規定しています。
 そして、第2条では、第三セクター等と公的支援について具体的に定義し、第3条では、第三セクター等の自主的運営等への配慮について規定しています。

 第2条。本条例の対象となる第三セクター等とは、市が資本金、基本金その他これらに準ずるもの(以下「資本金等」という。)を出資している法人で、
一般社団法人、一般財団法人及び株式会社のうち、★「市の資本金等への出資比率が2分の1以上の法人」と、★「市の資本金等への出資比率が4分の1以上2分の1未満の法人のうち、市以外の者の出資比率に比して市の出資比率が最も高く、かつ、市がその運営に密接な関係を有するもの」、それと、「土地開発公社」としています。
 そして、本条例でいう公的支援とは、
(1) 資本金等を出資すること。(2) 資金を貸し付けること。(3) 補助金(経営改善を目的とするものに限る。)を交付すること。(4) 貸付金の返済を猶予し、返済計画を変更すること。(5) 適正な対価なく財産を新たに貸し付け、又は譲渡すること。(6) 損失補償契約その他これに準ずる契約を締結すること。  と規定いたしました。

第3条。「第三セクター等の自律的な運営及び市以外の出資者の利益を損なわないように十分配慮するものとする。」と規定しております。

 第4条では、市長が第三セクター等に対して求める資料の内容として、年度別事業計画、年度別決算報告、株式会社に対しては四半期ごとの決算状況、その他市長が必要と求めるものと規定しています。

なお、毎年6月の定例会で外郭団体・出資法人の経営情報が報告されております、地方自治法第243条の3第2項で報告義務が課せられた法人につきましては、その定めによる報告をもって変えることができるものと考えております。

 第5条では、毎年度、(1)第三セクター等の経営の健全性、(2)第三セクター等が行う事業による公益目的の達成度、(3)すでに公的支援を行っている場合には、公的支援の妥当性等の点検・評価を行い、議会に報告することを規定しています。

第4条及び5条につきましては、市による対象法人の通常時のモニタリングを求めるものです。

 第6条では、第三セクター等から公的支援の要請を受けたときの対応について規定し、 第7条では、一定の公的支援の実施については、議会の議決を要する旨を、その他の公的支援については報告する旨を規定しています。

第6条。市長は、第三セクター等から公的支援の要請を受けたときは、当該第三セクター等に対し報告及び資料の提出を求めたうえで、当該第三セクター等と公的支援の必要性及びその内容を協議することとし、その協議を行ったときには、必ず、議会に報告するものと規定しています。

 なお、この協議の要請を受けるということは、事業計画の変更を余儀なくされる情況その他経営に関する重要な問題が生じていることが想定され、その協議においては、少なくとも①公的支援の必要性はもとより、②資金を貸し付ける場合にあっては、返済計画及び担保の設定については、必ず協議するものと想定しております。

第7条で、市長は、第2条第2項第1号から第3号までに掲げる公的支援、つまり、(1) 資本金等の出資、(2) 資金の貸付、(3) 補助金(経営改善を目的とするものに限る。)の交付、を行おうとするときは、あらかじめ議会の議決を経なければならない。としまして、その他の第2条に掲げる公的支援については、議会に対する報告義務を課しております。

 最後に、第8条において、規則への委任を規定しています。
付則におきましては、本条例が可決されました際には、平成24年3月31日から施行することとし、第4条(これは第2号に係る資料の提出に限ります。)及び、第5条の規定は、この条例の施行の日以後に事業年度が終了する第三セクター等の当該事業年度に係るものから、第4条(これは、第1号及び第3号に係る資料の提出に限ります。)の規定は、施行の日以後に事業年度が開始する第三セクター等の当該事業年度に係るものから適用することを規定しております。(つまり、3月31日以降に行われることはすべて対象)

議会の役割

 昨今、地方分権の進展とともに、住民に対する公金の使途についての透明性の向上、そして、二元代表制のもとで、税金の使途に関する意思決定をゆだねられた議会の役割・機能の向上が重要課題であると考えております。西宮市議会では、議会運営に関わること以外で、本条例のように、いわゆる市の政策的な条例が議員提案によって制定されることは初めてのことではないかと思われます。本条例案の審議を通じて、第三セクター等に対する市の関与のあり方、第三セクター等に関しての情報提供のあり方、議会の議決や機能についても、西宮市議会の考え方が明らかになるものと考えております。
 議員の皆様におかれましては、何卒本案に対しまして、ご賛同賜りますようお願い申しあげまして、提案理由の説明といたします。

■ 今回の提案にあたり一層注意した点

 今回改訂して提案します条例案は、地方自治法で明確に規定されている権限の範囲を超えないことを一層意識し、かつ、平成21年6月に総務省より提示されました「第三セクター等の抜本的改革等に関する指針」にも沿った内容となっております。