2011年2月 西宮市第三セクター等への関与に関する条例

提案理由の説明

 ただいま上程中の議員提出議案第15号「西宮市第三セクター等への関与に関する条例」の提案にあたりまして、提出者を代表しまして、提案理由の説明を申し上げます。
 本市におきましては、これまで、行政経営改革の一環で、外郭団体の見直しを進めてまいりましたが、平成21年6月に、総務省より提示されました「第三セクター等の抜本的改革等に関する指針」に基づきまして、経営検討委員会を設置し、赤字経営が続いている第三セクター等の存廃を含め、今後のあり方や支援の是非に関する議論が進められております。

フレンテ問題特別委員会での議論

 また、一昨年春、JR西宮駅前の商業ビルフレンテ西宮の核テナントの撤退表明を皮切りに、他のテナントの撤退が相次ぎ、フレンテ西宮を管理する第三セクター西宮都市管理株式会社の経営破たんの危機が生じました。そうした事態に対して、当時の市長の専決処分によって、突然の追加融資が行われたことをきっかけに、西宮市議会では、フレンテ問題特別委員会を設置して、西宮都市管理株式会社の経営についての議論を深めてまいりました。特に、現在も残る多額の短期貸付金の返済につきましては、昨年の9月定例議会での所管事務報告におきまして、市の方針が示され、今後一切、追加融資を行うことはしないと明示されたものの、短期貸付金を長期貸し付けに切り替えるにあたっては、33年もの長期に及ぶ返済計画が示されました。また、返済猶予の可能性を市が完全には否定していない中で、近年に迫っている他の債権者への返済の対応など、不確定要素が残されたままとなっており、今後も引き続き、市のモニタリング、議会の監視を強めておく必要があります。

第三セクターとの緊張関係

 今回のフレンテ問題特別委員会での議論の経緯、経験を踏まえまして、今後は、西宮都市管理株式会社のみならず、市が人的、資金的及び業務内容において強い関連性を持つ第三セクター等に対して、一定、自律した経営を促す仕組みとしての明文化されたルールが政策的に必要であると考えるに至りました。それは、しいては、施設を管理する第三セクター等である場合には特に、その施設の有効活用、活性化を促すことにつながることを期待するものです。そして、そのためには、株主としての市が果たすべき役割・対応等に対して、市民を代表した議会がその機能をさらに発揮するための仕組みも必要であり、これまでは、主に予算審議において行われてきた議論を、一定の公的支援の是非については特に、別途議会において議論が行われ、意志決定する環境を保証しておくことも必要であると考えております。
そのようななかで、このたびの条例案は、第三セクター等の運営等への関与を規定し、議会の関与によって透明性を高め、第三セクター等の自立と経営の健全性を確保するために、提案するものであります。

提出議案概要

 それでは、提出議案の概要について説明いたします。
 まず、第1条では、第三セクター等の運営に関し、市の役割及び第三セクター等の責務を明らかにするとともに、議会の関与により透明性を高めることによって、第三セクター等がその設立目的である公益性を発揮し、経営の健全性を確保することを目的とすると規定しています。
 そして、第2条では、公的支援について定義し、第3条では、本条例の適用対象となる第三セクター等を規定しています。
 第4条では、第三セクター等の経営状況に関する情報の公開について規定し、第5条では、定期報告の内容を規定しています。第6条では、経営状況についての定期点検について規定しております。
 第7条では、市が第三セクター等から新規事業又は新規設備投資に関する報告を受けた際の協議について規定し、第8条では、経営に関する重要な問題が生じた際の報告について規定、第9条では、公的支援の協議について規定しています
 第10条では、第7条から第8条までの内容につきまして、概要を議会へ報告する義務を規定し、第11条においては、一定の公的支援について、あらかじめ議会の議決を要する旨を規定しております。最後に、第12条において、規則への委任を規定しています。
 付則におきましては、本条例が可決されました際には、公布の日から施行し、平成23年度以後の第三セクター等の運営について適用するものとすること、そして、第2条第3号に規定する公的支援については、財産の交換、譲与、無償貸与等に関する条例の規定は適用しないことを規定しております。

二元代表制における議会の存在意義

 昨今、地方分権の進展とともに、住民に対する公金の使途についての透明性の向上、そして、二元代表制のもとで、税金の使途に関する意思決定をゆだねられた議会の役割・機能の向上が重要課題であると考えております。おそらく、本条例のように、議会運営に関わること以外で、いわゆる市の政策的な条例を、議員提案することは珍しいことと思われます。本条例案の審議を通じて、第三セクター等に対する市の関与のあり方、第三セクター等に関しての情報提供のあり方、議会の議決や機能についても、西宮市議会の考え方が明らかになるものと考えております。
 議員の皆様におかれましては、何卒本案に対しまして、ご賛同賜りますようお願い申しあげまして、提案理由の説明といたします。

西宮市第三セクター等への関与に関する条例案(PDF)