産前産後の切れ目のない支援に向けてー出産・子育て応援交付金事業

2023年1月31日[カテゴリ:コラム, 子育て・教育

 年末に、出産・子育て応援交付金事業について、市民の方から現場での課題についてお問い合わせを受けました。

 令和4年12月に、国会において、出産・子育て応援交付金事業に関する補正予算が可決したことに伴い、西宮市では10回目となる令和4年度西宮市一般会計補正予算(第10号)において、この事業が実施されることが決定しました。

私のYouTubeチャンネルでもご紹介しておりますので、ご覧いただけましたら幸いです。


伴走型支援イメージ

 市の保健所が中心となって取り組まれる事業ということで、補正予算に関する審査は健康福祉常任委員会で行われましたが、この事業のかなめの一つである3回目の相談支援と経済的支援の準備はこども支援局が中心となって進めていることが判明しました。
 
 西宮市で実施される事業の概要は以下の通りです。

伴走型支援・出産子育て応援交付金⼀体実施事業
予算(令和4年度の2ヶ月分)
・補正予算額:3億3672万5千円
(経費内訳)
・消耗品・印刷費:114万3千円
・郵便料・手数料等:638万5千円
・委託料: 6169万7千円
・負担金補助及び交付金:2億6750万円

(財源)
・国の補助金:2億2448万3千円
・県の補助金:5612万円
・市の一般財源:5612万2千円
 伴走型支援にかかる経費と出産子育て応援ギフトの費用は、国が3分の2、県が6分の1、市が6分の1を負担することになっています。今回の市の補正予算では計上されていませんが、システムの構築など導入経費が必要であれば、その経費は全額国が負担することになっています。

事業の目的と概要
 核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭も少なくない。全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境整備が喫緊の課題である。そのような状況の中、地方自治体の創意工夫により、妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型の相談支援を充実し、経済的支援を一体として実施する事業を支援することを目的として、国の令和4年度第2次補正予算案で、以下2つの取組みを一体として実施する事業を支援する「出産・子育て応援交付金」が創設された。

① 伴走型相談支援の充実
 妊娠届出時から全ての妊婦・子育て家庭に寄り添い、身近で相談に応じ、関係機関とも情報共有しながら、出産・育児等の見通しを立てるための面談やその後のプッシュ型の情報発信・相談の随時受付等の継続実施を通じ、必要な支援等につなぐ。

②経済的支援(以下、「出産、子育て応援ギフト」という)
 妊娠届出時及び出産届出後の合計 10 万円相当とし、令和4年4月以降に出産された全ての方を対象とする。

 上記2つの取組みをパッケージで実施することにより、相談実施機関へのアクセスがしやすくなり、産後ケアや一時預かり・家事支援などの利用者負担が軽減され、必要なサービスにつながりやすくなり、その結果、必要な支援が確実に妊婦・子育て家庭に届き、伴走型相談支援の実効性を高めることを目的とする。
 
 なお、当該交付金は、全ての妊婦・子育て家庭が、より安心して出産・子育てができるようにするため、今般の国の補正予算により、全ての市町村で実施するために必要な費用(令和5年9月末まで)が計上されており、令和5年10月以降も継続的に実施するための安定財源の確保については、令和5年度当初予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるものとされている。

上記、国の交付金創設にあたり、西宮市においても早期に当該事業を実施するため、増額補正を行うものである。

↑令和4年度の途中からの事業実施となりましたが、新年度以降も継続される見込みです。

実施方法等
■開始時期(予定)
令和5年1月下旬~2月上旬

■実施内容
①伴走型支援(原則、下記3回の面談を実施)
(a)面談1回目:妊娠期(妊娠8週~10週前後)
 妊娠届出時に、対面による面談(オンライン含む)を原則実施。アンケートや子育てガイドを活用しながら、出産までの見通しを立てるとともに、出産・子育て応援交付金事業の流れを説明。
 妊婦側にやむを得ない事情がある場合は、アウトリーチ型(自宅訪問)による面談を検討。それもできない場合はアンケート回答や電話による確認も可能。
(b)面談2回目:妊娠期(妊娠32週~34週前後)
 妊娠7か月頃の妊婦をリスト抽出し、アンケートと案内文を郵送。希望者に対し、妊娠8か月頃に面談を実施(対面による面談(オンライン含む)を原則)。面談を希望しない妊婦については、アンケート結果により、支援が必要と判断される場合は面談を調整(必要に応じ、連絡体制を確保し、情報提供するなどして、伴走型支援を効果的に実施)。
(c)面談3回目:出産・産後
 出産後の育児の悩みや疲れ等に寄り添って相談支援を行うため、出生届出後〜生後4か月になるまでの間に、子育てガイドに沿って面談を行い、悩みを共有できる仲間作りの機会の紹介や、産後ケア等の利用できるサービスの紹介、育休給付や保育所等の入園手続等を確認。

②出産、子育て応援ギフト(西宮市は現金を支給予定)
(a)出産応援ギフト
 妊娠期(妊娠8週~10週前後)における妊娠届出時の面談の際に、出産応援ギフト申請書とアンケートの回答を提出した方に対し、出産応援ギフトを支給。
(b)子育て応援ギフト
 出生届出後における面談の際に、出産応援ギフト申請書とアンケートの回答を提出した方に対し、出産応援ギフトを支給。

↑西宮市では、現金で、1回目の面談で5万円、3回目の面談で5万円の経済的支援が行われます。

対象者数(見込み)
①令和4年4月~令和4年12月末出生児数:約3,000 人
②令和5年1月以降の月当たり妊娠届出数・出生児数:約700 人

↑令和4年4月以降に出産された方も、経済的支援の対象となります。すでに子育てに入っていますから、対象となる面談の実施の有無にかかわらず、10万円が支給されることになります。また、令和4年4月以降に妊娠をして、残念ながら出産に至らなかった方も経済的支援は受けられます。

 私も22年間、3人の子育てを経験してきました。
 経済的に楽ではないですが、幸い、比較的実家も近く、回りの方々からも支援をいただけたことから、これまでは何とか乗り越えられた気がしています。ですので、周りの方々からの支援が得られなければ辛いことになることは容易に想像がつきますから、面談を受けて個々の状況に応じて有効な情報を提供できる体制を構築することは非常に重要な取り組みだと考えています。

 しかし、あまりに急に国において予算が成立して、市の予算計上から事業の実施までに3ヶ月もないというハードスケジュールを強いられることになりました。ですので、特に、出生届出後〜生後4か月になるまでの間に実施される予定の3回目の面談で、相談を受けて的確な助言ができる担い手を確保するのが難しいという課題があることが判明し、多方面から対応を希望する声、改題を解消する方法についてのご提案もいただきました。経済的支援だけが先行して相談に対する対応の質を落とすようなことがあってはなりません。

 私が初当選したころは、財源が課題になることが多かったですが、最近は、財源のみならず、担い手の不足が課題となることが多くなってきました。少子化、労働人口の減少の影響が実感できるほどに状況は悪化しています。

 今後、課題の解消に向けてできる方法を提案できるよう、調査を進めたいと考えています。

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