教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱の見直し

2023年1月14日[カテゴリ:コラム, 都市計画

 令和4年12月議会の教育こども常任委員会において、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」の見直しについて報告がありました。

教育こども常任委員会での報告内容

 令和5年4月1日から高木小、高木北小、香櫨園小、安井小学校区を「準受入困難地区」から「特別監視地区」に緩和され、苦楽園小学校区の地区指定が解除されます。今回は、新たに規制の対象地区に指定されたり、規制が強化される小学校区はありません。


令和5年4月からの規制地区
 なお、北部地域で規制地区指定されている小学校区はありません。

 27年前の阪神淡路大震災以降、マンション開発が進み、人口が増加したのは喜ばしいことなのですが、増加した地域に偏りがあり、市立小学校の教室不足が発生しました。そこで、もう17年も前になる平成17年に、大社小学校区を「受入れ困難地区」に指定し、高木、浜脇、甲東、用海、鳴尾北小学校区を「予測地区」に指定して、不足する教室分を仮設校舎で対応し、特にファミリー向けの新しいマンションの建設を抑制してきました。
 その後、大社小学校区においては突如校区変更を行った上に、さらに15年以上にもわたって、都市計画法に基づく手続きを踏むことなく、事実上の土地の利用規制が続けられていることについては問題視してきました。
 
 都市計画法等で定める手続きを得て、地域を区切って一定の開発規制をかけるが許されているわけですから、その都市計画に基づいて学校や都市計画施設を計画的に整備する責任が自治体にはあると思っています。
 都市計画が機能していないとも言えると思いますが、学校などの公共施設は急には整備できませんので、整備が間に合わなければ一定の期間開発をお待ちいただくのは仕方がないですが、17年にも及んで市が何もせずにただただ土地利用を規制するのは怠慢と言わざるを得ないと考えています。

 おさらいですが、西宮市では以下の5つのパターンに分けて開発を抑制しなければならない地区を設定しています。
 下に行くにしたがって、規制の内容は強化されます。

市が配布した委員会資料より抜粋
⚫予測地区
児童・生徒数が今後ピークを迎え、又は横ばいの状況が続くものと予測され、普通教室の確保が難しいものの、仮設校舎の設置等による対応が可能である通学区域
【事業者への依頼内容】
幼児、児童及び生徒数の増加を抑制するための配慮

⚫監視地区
通学区域内に大規模な住宅開発の可能な土地等が存在し、児童・生徒数が急増すれば仮設校舎の設置等による対応が困難と見込まれることから、住宅開発の状況を監視するとともに、大規模な住宅開発を抑制する必要のある通学区域
【事業者への依頼内容】
一定規模以上の開発について、容積率と開発面積に応じて、算出した戸数を越えない協力

⚫特別監視地区
通学区域内に大規模な住宅開発の可能な土地等が存在し、児童・生徒数が急増すれば仮設校舎の設置等による対応が困難となることから、住宅開発の状況を監視するとともに、上限戸数を定めることにより大規模な住宅開発を抑制する必要のある通学区域
【事業者への依頼内容】
一定規模以上の開発について、容積率と開発面積に応じて、算出した戸数を超えない協力及び定める上限戸数を超えない協力

⚫準受入困難地区
通学区域内の住宅開発による児童・生徒数の増加に対して、仮設校舎の設置等による対応が困難であるとともに、運動場や特別教室等の利用が制限されることから、児童及び生徒の受け入れが困難であると見込まれる通学区域
【事業者への依頼内容】
30 戸以上の開発に対して、開発の延期、中止、計画の変更等の協力

⚫受入困難地区
児童・生徒数の増加に対して、仮設校舎の設置等による対応が困難であるとともに、運動場や特別教室等の利用が制限されることから、児童及び生徒の受入れが明らかに困難な通学区域
【事業者への依頼内容】
10 戸以上の開発に対して、開発の延期、中止、計画の変更等の協力

 そして、指導要領の見直し後の今年の4月からは、以下の規制となります。

【受入困難地区】
 大社小学校区
【準受入困難地区】
 春風、深津、夙川小学校区
【特別監視地区】
 瓦林、神原、上甲子園、高木、高木北、香櫨園、安井小学校区
【監視地区】
 広田、津門小学校区
【予測地区】
 甲陽園、段上西、樋ノ口小学校区

↑春風小学校は、校舎の現在増改築された新校舎が稼働していますが、規制は緩和されていません。
一方で、安井小学校はまだ増改築の工事中ですが、規制は一段階緩和されました。

この点について、常任委員会で質疑して確認しました。

===委員会での質疑===
令和4年12月13日開催教育こども常任委員会

■質問(田中まさたけ)
 (規制が緩和される小学校区の児童数の推移の)傾向を見ますと、6年後には現状よりも100人前後少なくなるという試算をされ、現在の1年生から6年生の人数よりも現在の1歳から6歳までの人数が大きく下回っていることから、今の規制よりも一つ緩めるという対応ですが、安井小学校区だけは、現在の1年生から6年生の人数よりも現在の1歳から6歳までの人数の方が5人多くなっており、児童数が減少しない可能性もありますが、規制を緩和しても大丈夫だと判断された理由をお聞かせいただきたいと思います。

■教育委員会の回答
 判断しました理由は、学校のキャパを中心に判断しておりまして、改築によりまして、校舎が令和4年度――本年度の末に校舎が完成しまして、これまでの校舎で受入れ可能であった学級数よりも多く受け入れることが可能となるため、今回緩和に踏み切った、そういう状況になっております。

■意見(田中まさたけ)
 この小学校区も近年、集合住宅の建設等がまだまだ考えられるという地区だと思います。
 改築によって教室数が増えたから今回こういう判断をされたということです。増改築したわけですから、当然規制を緩和するのも理解はするところですが、運動場もかなり狭くなっていますので、再び仮設校舎が必要となるようなことにならないように注視をしてください。教室不足が懸念されるようなことになれば、また、直ちに規制をせざるを得ないと思います。

===ここまでが常任委員会での質疑の概要===

 学校を児童数に合わせて整備し、法的な手続きを得ていない土地の開発規制が都市計画で定めた基準に戻されることは本来あるべき姿です。

 しかし、諸手を上げて喜ぶことはできません。
 
 これまでも児童数の減少が進んでいる小学校がある中で、これまで児童数が増加していた小学校までもが大きく減少し続ければ、全市的にさらに大幅に子供が減少することとなります。
 現に、西宮市では、就学前の児童数は平成18年の29,737人をピークに減少し続け、15年間で約2割、約6000人も減少しており、これは、深刻に受け止めなければならない事態だと考えています。
 
 地域の特性に応じて自治体ごとに少子化対策に本腰を入れる必要があり、西宮市は、文教住宅都市、子育て世帯の多い自治体として、児童が減少し続けている地域の人口回復政策と合わせて、責任をもって取り組まなければならないと考えています。

フェイスブックでの投稿

■1月7日投稿

今年は4日(水)が仕事始めでした。特に仕事始め式などはありません。
粛々と、年末に頂いたご意見について調査を始めました。
6日(金)は、ホテルヒューイット甲子園で開催されました賀詞交歓会に出席しました
今年もまだ、式典と名刺交換のみの短縮バージョンでした。
今年は卯年、4回目の年男となりました。
さらに頑張ります。

■1月10日投稿

8日(日)は、甲子園浜の野球場の隣に整備されている消防訓練施設で挙行された令和5年度西宮市消防出初式に、消防団員として出席しました。
以前は、阪神南広域防災拠点で、子供消防士のパレードや救急隊の訓練展示、一斉放水などが行われていましたが、今年も昨年に引き続き短縮バージョンで、式辞や団員に対する市長・団長表彰など式典のみが行われました。
消防団の役割が、 災害対策に重きが置かれる傾向がありますが、 高齢化や住宅の設備の老朽化による火災の増加も懸念されることから、 消防体制や火災予防運動のあり方についても、 常に検証し改善していく必要があると感じています。

■1月11日投稿

5396人。
西宮市で今年度、二十歳になられた方々の人数です。
9日(月)の成人の日に、甲子園球場において令和5年西宮市二十歳のつどいが開催されました。
昨年4月1日から、成人年齢が18歳に引き下げられましたが、西宮市では成人式ではなく、二十歳の方々のみを対象にしてお祝いの式典が行われました。
参加者は対象者の7割くらいだったそうです。
初めて甲子園球場で成人式が開催されて以来3年ぶりに来賓の入場が認められましたので、私も会場でお祝いすることができました。
初めて甲子園球場で開催された時の様子は、
https://masatake.jp/3631
に掲載しています。
今年はまだ制限があり、風船飛ばしはなく、30分間の式典のみでした。
そして、実行委員会の方々が作成された動画「西宮市の20年」は、式典の中ではなく、開式前に何度か上映されていました。
二十歳の節目を迎えられた皆様、誠におめでとうございます。
皆様の未来を切り開き、力強く飛躍されますことを心から祈念申し上げます。

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