前回のコラムの続きです。
学校体育館へのエアコン設置は、
防災の観点からも優先度は高いと考えています。
前回コラムに掲載しましたが、
子供から大人まで市民一人あたりの負担は
月額約58円で災害の備えができると考えれば、
決して過剰投資とは言えないと思います。
平成30年12月議会一般質問でのやり取りです。
======ここからが、本会議場での発言の概要======
■質問
防災危機管理局長は、
避難所に指定されている学校体育館にエアコンがあることが望ましいと答弁されております。
防災危機管理局は、
箕面市のように、
防災の観点から学校体育館へのエアコンの設置をなぜ進めようとしないのか、
理由をお聞かせください。
■質問に対する回答
災害時に学校を避難所とする場合は、
体育館以外の教室についても避難スペースとして活用することとしており、
本市の場合は、既に全ての普通教室、特別教室にエアコンが設置済みであることから、
特に配慮が必要な方のケアについてはそれらのスペースを活用することとしており、
今年の夏のような猛暑への対応として、
要配慮者に限定しない活用につきましても、
体育館以外の教室の活用を今後検討することとしています。
また、大規模な災害時におきましては、
平成24年に東日本大震災を踏まえて災害対策基本法が改正され、
エアコン等について国によりプッシュ型支援を行う体制が整備されており、
平成30年7月豪雨におきましても、
国の支援により、早期に被災地の体育館に仮設のエアコンが多数設置されました。
防災危機管理局としましては、
本年9月定例会の坂上議員の御質問にお答えしたとおり、
避難所となる体育館にエアコンが整備されていることは望ましいと考えてはおりますが、
前述のような状況を踏まえ、
現在、発災直後に最低限必要な避難所物資の備蓄や倉庫の整備などを
優先的に進めているところです。
■主張
先ほど御紹介いたしました箕面市におきましては、
学校の体育館にエアコンを設置するきっかけとなったのは、
熊本地震の被災地を職員の方が実際に見られたことであったと伺いました。
学校体育館にエアコンが設置されている事例というのがまだまだ少ないのが現状なのですが、
そうした中で本当に色々な工夫をされておられました。
市の職員さんのやる気次第で
結果がこうも変わるんだな(西宮市と箕面市)ということを改めて感じたところです。
防災では、
市民には自助(まずは自分でできることは自分で備えること)や共助を促しています。
今ある環境のもとでしのいでもらうと。
そして、必要な公助については、
いざとなったら最終的に国が助けてくれるという趣旨のお答えをいただいたと私は理解してます。
つまり、市は(国に依存して)最低限のことしかしないということです。
(言っていることとやっていることが合致していません。)
教育委員会と防災の見解をそれぞれ聞かせていただいて、
やはり最終的には、
学校教育もそうですし、
防災、その他、地域スポーツの推進、
そうしたさまざまな政策にまたがる取り組みとなると思います。
現状の縦割りの組織で個々に議論をしても、
恐らくかみ合わない と、今回の質問でも改めて感じました。
つまり、最終的には市長の総合的な政治判断も必要 となると私は感じました。
国のほうは、先ほど壇上でも御紹介しましたけれども、
緊急防災・減災事業債――これは借金ですけれども、
この説明の中で、熊本地震を教訓に各自治体で備えてほしいというメッセージを発してます。
大阪市でも、つい先日、検討に入ったということを、
ニュースで見ました。
本市では、これまでに、
消防や防災につきましては、
システムの整備であったり、
消防体制の強化、防災行政無線の整備、資機材の購入などなど、
多額の予算を投入してきましたし、
現在も危機管理センターの整備というビッグプロジェクトが動き始めてます。
■再質問
防災上の観点から、いざというときに市民につらい思いをさせないように、
さらに言うと、避難中に熱中症で命を失ってしまうことのないように、
そしてまた、平時には学校部活動であったりスポーツ推進、
これらに活用も可能であるエアコン、
これを平時からの備えとして
避難所に指定している学校の体育館に装備しておくこと、
これを市長は過剰投資とお考えですか。
■再質問に対する回答
議員が御指摘のように、
まさにおっしゃるとおり、総合的な政策判断でありますので、
今の現状に関しては、最終的に市長が判断をして各部局が答弁をしたというようなことであります。
まず一つ申し上げますと、
断固として講じないというようなことを教育長が思っているわけでも、
私が思っているわけでもありません。
現時点において、西宮市において、
学校体育館にエアコン――空調を設置しないというようなことを決定しているわけでは全くありません。
ただ、その中で、議員は御承知ですけれども、
これは2人の議論でなくて、議会と当局の答弁でありますから、
御存じであろうこともあえて申し上げますけれども、
西宮市は、普通教室に関しては100%設置をされているわけですね。
そこはほかの自治体よりもかなり前に、
ありがたいことに、議会も、諸先輩方のおかげで進んでいるわけであります。
加古川や高砂や姫路というと、それはもう10%以下であります、去年の数字では。
そういう意味では、我が市はまずそこにおいてかなり進んでいると。
それから、他市において、今、国全体がやるべきだと言ったのは、まず普通教室。
外から帰ってきて、もしくは運動した後、休むところに空調がなくて、
そして、体を休められなかったというようなことで、
しっかり普通教室をやれというのが第一の意思であります。
ただ、もちろん体育館にあったほうがいいというのは、おっしゃるとおりであります。
そういう意味では、あったらいいなというふうに思うのは、私も思うところであります。
防災の意味でも、地域スポーツの意味でも、あったらいいなと私も思います。
その中で、全体的なバランスの中で、
今ここで、わかりました、じゃあ全部おつけしましょうというような判断はできておりません。
ただ、断固として講じないと考えているわけでは全くございません。
引き続き議論させていただきながらと思っております。
あわせて申し上げれば、例えば教育長がおっしゃった答弁の中で一つ参考になるのは、
今、1校か数校、たまたまついている小学校があって、
それの学校活動における使い勝手はどうなんだろうかというようなこともいろいろ議論しました。
それから、近年新設をされた小学校につける・つけないというような話のそうした議論があったということも聞きました。
そういう中で、現時点、こうした答弁をさせていただいているということです。
■主張
断固としてつけないわけではないということでございますので、
過剰投資とお考えではないということで理解をさせていただきました。
少し話が変わるのですが、
今、学校全校にプールが設置されています。
私が生まれたときには既についてました。
私は西宮ではないのですが、プールはありました。
恐らく今日傍聴席にお越しの皆さん(高校生)も、
学校にプールがあることは当たり前になっていると思います。
しかし、
これは世界的には非常に珍しいことでございまして、
プールが設置されるきっかけというのが、
私はこの件を研究する中で知ったのですが、
1955年に、100人の児童が、修学旅行中だったみたいなのですが、
船が沈没してそこで犠牲になったことがきっかけとなって水泳の授業が取り入れられて、
プールが全校に設置されるようになってきたということでした。
全国での設置率は、
これは平成18年度と少し古いわけなんですけれども、
小学校が86.7%、中学校が73%だそうです。
また、記憶に新しいところで言うと、
先ほど市長もるる述べられました学校の普通教室に設置されたエアコンです。
こちらも、10年ぐらい前まではぜいたく品(学校に設置するというのは)だったのです。
夏の間、ちょっとだけやから、とりあえず窓をあけて、扇風機を回して、
あとは我慢して過ごしなさいという風潮だったと私は思っています。
ところが、昨今の非常に暑い中で、子供たちが非常に危険な状態にあるということで、
幼稚園全てについても来年度設置がされるというところで、これまで進んできたということです。
こちらは、何か子供たちの犠牲があってからつけたわけではないのですが。
何が言いたいかというと、
その時々で、当たり前でなかったことが、
誰か犠牲者が出てから――体育館へのエアコン設置も恐らく地震が結構きっかけになっているとは思うのですが、
そういう何かがあってから当たり前になっていくというのが世の常なのかなというふうに思っているところです。
そして、
学校体育館に対するエアコンの設置というのは、
10年先の人は、ついているのが当たり前のような状況になるのではないかとに思っています。
先ほど御紹介しました緊急防災・減災対策事業債は
今のところ平成32年度までの制度です。
東日本大震災の後に制度が創設されて、
平成28年度で終わるところを一度延長されている、
今度は32年度までに延長されました。
(迅速な決断が必要です。)
■再質問2
文教住宅都市である本市において、
先ほど市長も少し、議論をしていきたいということを述べていただいたんですけれども、
これは具体的に見えるようにしていかないといけないと私は思いますので、
先ほど来、費用対効果とかその辺はありますけれども、改めて費用対効果を、
縦割りではなくて、組織横断的に検討できる組織(チームや会議など)を設置して
本気で検討するべきと私は思いますが、
その点、市長はどのようにお考えでしょうか、お尋ねしたいと思います。
■再質問2に対する回答
庁内に組織が要るかどうかも含めて検討させていただきたいと思いますが、
現時点でお答えしたことも、それぞれからお答えをしましたけれども、
私ども並びに全ての局長が共有をしてお答えしたものでもあります。まずそのことはお伝えをします。
そして、組織が必要かどうかも含めてお答えしたとおりでありますから、
学校の体育館に空調が必要かどうかをまず市長が引き取って、
どういうやり方でやるかは今ここの場で申し上げられませんが、検討してまいりたいと思います。
■まとめ・要望
今の質問は通告していませんでしたから、
答弁の調整もこれから必要なのかなと思いますので、
組織をつくるかどうかというところまでは言及していただけませんでしたけど、
市長が引き取るということでございました。
改めて私もこの質問をするにあたって、
各御担当の方とお話もさせていただいたのですが、
各局では、やっぱりそれぞれでやらないといけないことがあって、
それに対して予算が要るのだ、
もしエアコンを設置するとなったら、
今進めようと思っている事業の予算が削られてしまうということが大きな課題なのかなと感じました。
これは政策局にもかかわることです。財政の課題もあります。
それらを市長が一手に全部聞いて判断するというのもいいのですが、
(市長の公約は)情報をフルオープンなんですよね。
だったら、そういう組織をつくって今こういう検討をしてますよということを
ちゃんと我々に見せたほうが議論もしやすいですので、
鋭意その辺は検討していただきたいと思います。
======本会議場での発言の概要はここまで======
市は、学校体育館のエアコンは
「あったらいいな」程度の認識です。
前回コラムの本会議場での発言部分にあるとおり、
今でも「なくてはならないもの」となりつつあり、
10年後には、「あって当然のもの」となっていると思います。
市長は「検討する」と述べられ、
平成31年度予算では、わずかな調査費が申し訳程度に計上されましたが、
計上されなかったよりは、大きく前進ですが、
「何を調査し、どのような検討をするのか」
市役所は、未だブラックボックスの状態のままです。
かつて、石井市長が所属していた民主党は、
大変、耳障りの言い政策を実現すると主張しておきながら、
政権を交代したら、それらのほとんどができずに終わってしまい、
今では、その政党すらなくなってしまいました。
「情報をフルオープン」「オープン西宮」と
市長選挙で大々的に謡っていたのですから、
地方政治では政権とは言えませんが、
予算の執行権を与えられた市長として、
選挙で言ったことは実現する努力をしてもらいたいものです。
文教住宅都市として
一歩進んだ取り組みを期待しつつ、
今後も、この学校体育館の環境改善についても取り組みたいと考えています。