学校体育館へのエアコン設置①-子供の育ちの環境の観点から

2019年4月9日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

学校体育館は、
体育の授業、学校行事のほか、
中学校では部活動、
小学校ではスポーツクラブ21の活動など
様々な場面で利活用されており、
災害時の避難所にも指定されています。

そのような公共施設に
毎年のように熱中症が問題となっている時代に、
エアコンの設置について全く議論されてきませんでした。

「さすがに、学校の体育館にエアコンをつけるのは金がかかりすぎるでしょ。」

潜在的にそうした思いがあり、
議論すらできていなかったように思います。

市の試算によると、
市内の全公立学校の体育館にエアコンを設置する場合、
設置費用として約27億円
維持費として年間7000万円
が必要
とされています。

そう考えると確かに高い。。。

しかし、見方を変えてみると・・・。

エアコンの耐用年数を勘案して、
設置費用を全額借金して10年で返済すると年間2.7億円の負担(利息は別途)が必要になります。
そして、
10年間、488,000人の市民が減らないと仮定して、
市民一人あたりの負担を計算すると、年間約533円、月額約46円となります。
また、
設置費用の市民一人あたりの負担は年間約143円、月額約12円ですから、
市民一人あたり月額約58円
これは、赤ちゃんから負担する計算になりますから、
仮に3人家族とすると「1世帯月額232円の負担で実現する」と考えればどうでしょうか。

月額232円の負担で何が手に入るのかを考えないといけないわけです。

昨今の暑さ、熱中症に関するニュースを受けて、
多くの市民からご意見を寄せられたことをきっかけに、
本当は平成30年9月議会で取り上げたかったのですが、
一般質問の機会の巡りの都合上、
平成30年12月議会の一般質問で取り上げました。

子供の育ちの環境の観点と
防災対策の観点に分けて、
本会議場での議論の状況を掲載します。

======ここから、本会議場での発言======
■主張
今年(平成30年)の夏は、
災害級の暑さと表現されるほど気温の高い日が続きました。
2ページの表2のとおり(理科年表のデータ)、
神戸地方気象台で最高気温が30度を超えた年間日数は、
1990年から2010年までの20年間の平均が54.9日、
そして、2010年以降2018年までの平均は59.3日と増加
をしています。
また、
最高気温が35度を超えた猛暑日と言われる日数は、
今年は12日もあったわけですが、
2010年以降は年間平均6日となっております。
もう今年が例外的に暑かったとは考えにくい状況と言ってよいと思います。

9月議会において坂上明議員が、
熱中症対策として学校体育館のエアコン整備について取り上げられまして、
議論がありました。
その際には、
学校の体育館にエアコンがあったほうが望ましいとの見解を示すと同時に、
5つの課題が示されました。

そこで、
この課題を何とか解消できないかと検討するために、
坂上議員と、先ほど少し議論がありました一色議員とともに、
市内全ての小・中学校(小学校が12校、中学校が6校、小中一貫校2校)の
全ての小・中学校にエアコンを設置している箕面市を視察
してまいりました。
先般、本市の教育委員会が示した課題と照らして御紹介したいと思います。
資料の2ページの写真は、いずれも現場の写真でございます。

まず、
課題1.設置費用の財源につきましては、
総務省の「未来への投資を実現する経済対策」における緊急防災・減災事業債の対象が
平成28年度からエアコンの設置事業にも拡大されました。
この制度は、設置費用全額に充当することができ、7割が地方交付税措置がされるため、
市の実質的負担は3割に抑えられるという非常に有利な制度でございます。
これにより、本市での設置費用として試算された約27億円につきましては、
実質約8億円の負担に抑えられることになります。
本市では、災害の種別によって異なりますが、
市内全ての学校が避難所に指定されておりますので、この事業債が活用できると考えられます。

課題2.保守点検や光熱費など維持費として試算された年間約7,000万円につきましては、
箕面市では、受益者負担を求め、学校には行事用に10時間の無料使用カードを配付しているそうです。
本市では、スポーツクラブ21の会員数の半数以上が屋内スポーツ種目の会員となっており、
主な活動場所は小学校の体育館です。中学校では部活動が行われており、
平常時でも非常に需要が高く、普通教室に設置をいたしましたエアコンよりも稼働日が多くなることは明白です。

課題3・4.構造上の問題や騒音に関する課題についても、
資料の写真のとおり、室内機は2階の通路の上部に設置されていることから、
体育館での活動に支障を来すことはありません。

騒音につきましても、基準の防音壁が設置され、全く問題ございませんでした。

課題5.技術的な面での課題につきましては、
体育館全体を冷やすもしくは暖めることができるのかという課題になりますが、
送風機を用いることによって全体に空気を送る方式を用いることによりまして、
クリアできることがわかりました。

なお、先般の大阪北部地震の際には、
箕面市でも学校体育館が避難所として使用され、
早速このエアコンが役に立ったそうですが、
避難された方からは、心地よい程度の涼しさであったとの評価であったそうです。

■質問
教育委員会は学校へのエアコンの設置の必要性を認識されているとのことですが、
学校体育館にエアコンを設置する上での課題を改めてお聞かせください。

■質問に対する回答
学校施設については、
これまで、耐震化工事、普通教室の空調整備工事、エレベーターの設置工事など、
教育環境の改善に取り組んでまいりました。
今後は、外壁改修や屋上防水工事などの老朽化対策工事や長寿命化改修工事など、
多額の予算を必要とする事業に取り組んでいく予定としております。

体育館の空調整備については、
設備費などの初期費用や光熱費などのランニングコストに加え、
十数年ごとに更新費用が必要となってくるなど、財政的な負担が大変大きく、
老朽化対策や長寿命化などの多額の予算を必要とする事業を進める上では、
財源の確保が課題である
と考えております。

また、1年で最も暑い7月の体育はプールの授業が中心であることから、
空調の使用頻度は大変少なくなると考えており、
費用に比べて過剰投資になる
ことも課題と考えております。

■主張
環境省が示す基準、
これは気温と湿度と輻射熱で計測される暑さ指数――WBGT、
これが31度となりますと、原則運動中止とされています。
今年は4校で部活動を数日間中止したそうです。
それでも、
今年の7月、8月の学校管理下における児童生徒の熱中症による病院受診の状況を
資料のほうに掲載致しましたけれども、
救急搬送が14件、タクシー等を利用した病院受診が12件、
そして、帰宅後の病院受診が18件の計44件
が確認されております。

今年度は幸いいずれも軽症であったと伺っておりますけれども、
その44件のうち、体育の授業であったり運動部の活動によるものが33件となっておりまして、
死者が出ないうちにハード面での練習環境の整備、対策を講じるべきであり、
スピード感のある対応が求められている
と私は考えて、今回も質問を致しました。

先ほど教育長が、教育活動としてはということだとは思うのですが、
過剰投資になるとお答えになりました。
これは教育長みずからお答えになりましたけれども、
私は大変驚きました。
子供たちの少なくとも命にかかわる課題です。
それを過剰投資になるとお答えになったのに大変驚きました。

■再質問1
先般9月議会でも、この議会で指摘がありました、早くつけるべきえはないかと。
それでも断固として体育館の熱中症対策、暑さ対策は講じないという姿勢が改めて示されたわけです。
繰り返しになりますが、これは人の命にかかわる課題でございます。
もし部活動であったり体育の授業、学校行事の際に
子供の命にかかわるような重大事故が発生した場合には、
教育長は責任をとって辞任する覚悟はございますか。答弁を求めます。

■再質問1に対する回答
子供の命に対しては、本当に非常に大切だと思っております。
ですから、これについては、運用面できちんと対応していきたいと思ってますけども、
先ほど言われましたように、もし事故が起こったということになれば、
その責任は私にあると思いますので、それは責任をとらせていただきます。

■再質問2
わかりました。
それだけの覚悟を持って今お答えになられたということで、
確認をさせていただきたいと思います。
(死亡事故が起これば取り返しがつかず、辞任では責任は取れません。)

もう一つ、教育委員会には確認をしておきたいと思います。
仮に、例えば防災上必要であるということであったり、
もしくはスポーツ推進でも活用させてもらっていますので、
スポーツ推進の観点から必要であると市長がもし判断された場合、
これは学校教育以外の要素で必要と判断されることになるのですが、
その場合には学校の体育館へのエアコン設置を拒むことはございませんか。
お答えいただきたいと思います。

■再質問2に対する回答
そのことについては別に拒むつもりはございませんし、
本来であれば設置していただければありがたいのですが、
先ほど言ったいろんな予算の関係があるのでなかなか難しいと思ってますので、
今のような答えになったと思います。

■主張
恐らく教育委員会の判断としては、
学校教育以外の要素、これで必要になると、
予算の措置がそこまでできないのではないかということを懸念されているのだと思います。
これは一つの方法だと思うのですが、
構造改革特区を申請すると、学校教育の教育施設の管理を
市長部局に移管できるという可能性もあるということでございます。

予算の関係がもしあるのであれば、
今の使用の状況を勘案するとそうしたことも検討すべきと思いましたので、
この点は提案をしておきたいというふうに思います。

=====本会議場での発言の概要はここまで=====

子供の学習環境の観点においては、
体育館へのエアコン設置よりも、
外壁改修や屋上防水工事などの老朽化対策工事や長寿命化改修工事、
特にトイレの洋式化などのトイレの改修の方が、
優先度が高いと判断している
ということです。

そして、
体育館へのエアコン設置を「教育委員会が」予算化することで
トイレの改修や老朽化対策などの予算が削られることを懸念して、
積極的に踏み出せないようです。

市民のため、子供たちのためという視点を欠き、
自分たちの領域のことしか考えられていないことを棚に上げて、
「過剰投資」と本会議場で発言する感覚こそが「お役所」の感覚なのです。
縦割り行政の弊害です。

スポーツ推進の観点で考えると
市立中央体育館に平成25年度にエアコンが設置されましたし
地区体育館のスポーツ室にもエアコンは整備されています。

そこで、
教育施設の管理についても、
市全体の課題として検討ができる体制を築くために、
教育委員会から市長部局に移した方がいい
のではないかと考え、
構造改革特区の申請をすることを提案しました。

この件(教育施設の管理と構造改革特区)については、
今後、私ももう少し、調査研究を進めたいと思います。

■最終目標
市内公立学校における基礎学力・体力の向上のための取組みの充実
■講じるべき手段
学校体育館へのエアコンの設置

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