平成31年3月議会が終了し、
頂いた任期内の本会議は、全て終了しました。
この定例議会において、
西宮市地方卸売市場条例を廃止する条例が可決し、
西宮市は、公設の卸売市場の運営から撤退することが決定しました。
最初に再整備が検討されたのは、なんと昭和39年です。
これまで半世紀にわたって検討されてきたことになります。
1.昭和39年 第1回高須町への移転計画
新卸売市場建設委員会の答申後、用地取得手続き中に一部業者反対等で断念
2.昭和43年 第2回高須町への移転計画
卸売業者、東洋建設他関係2社、西宮市の三者対等出資による民営総合卸売場建設移転を計画するも、
一部業者からの反対により断念
3.昭和61年 西宮浜移転計画
西宮浜へ第三セクター方式にて、市場統合せりの導入などを条件に移転計画されたが、賛成業者の過半を下回り断念
4.平成7年 仮設移転計画
震災による仮設移転合意があったが、反対する業者が多数あり移転を断念
5.平成9年 鳴尾浜移転計画
鳴尾浜移転に関する最終の意思確認がなされたが、移転に反対する業者が多数いたため実現せず
今回の再生整備計画に対して、
「あのようなJR駅前の一等地に卸売市場が必要なのか?」
という疑問・否定のご意見があることも理解できますが、
まずは、この時点で、移転しての整備は不可能と判断していることがご理解いただけると思います。
昭和61年に検討された「第三セクター方式」をとらなかったことも、今となっては大正解と思えます。
そして、平成25年3月の市民文教常任委員会で突如、
卸売市場 整備方針前半
卸売市場 整備方針後半
が示されました。
「民設民営で、現地で再整備する」という内容でした。
このとき、ちょうど私は、
卸売市場を所管する市民文教常任委員会(今はありません)の委員をしていたので、
その時のことを覚えています。
「民設民営となると、また、断念することになるのでは。」
あれから5年・・・。
私は、平成26年度から3年間、建設常任委員会を担当していたため、
卸売市場の所管からはしばらく外れていました。
しかしその間も、地権者をはじめとする市場関係者の皆さんは
前を向いて懸命に検討して頂いていることは伺っていました。
市も並々ならぬ決意をもって臨んでいました。
そして、
平成28年度建設常任委員会委員長を務めていた時に
「JR西宮南西部の再開発とセットで検討している」ので、
近々に議会でも報告できるかもしれないとの情報が入ってきました。
再開発となると、建設常任委員会の所管となるからです。
そして、
平成29年度に議長を務めていた時に、再開発計画と共に具体化された案が示されました。
再開発といっても、フレンテのように市施行ではなく、民間の組合施行です。
阪神西宮のグルメシティが入っているタワーマンションと同じです。
平成29年度に示された事業内容はこちら↓
JR西宮駅南西地区市街地再開発事業
再開発の総事業費は210億円と見込まれています。
そのうち、西宮市が負担するのは約36.1億円(そのうち半分は国の交付金)です。
西宮市が負担?
民間の組合施行でも、
市は街まちづくりのために費用を負担するように法律で負担割合が決められています。
また、
卸売業を営む方々だけで、
市場のハコを整備するために、
いきなり10億円を超える投資をすることは困難ということで、
市が土地と卸売市場の建物を約10.1億円で買い取り、
ハコを民間の民設市場開設法人に年間約1900万円で貸す計画となっています。
西宮市卸売市場再生整備事業(素案)~公設市場の廃止・民営化(民設市場との統合)~に係るパブリックコメントの実施について
ちなみに、↑の13ページにまとめられていますが、
市は公設市場開設していましたが、土地は借地でした。
永年土地を借りてきたので、
土地を使う権利が発生していてその権利を金額に換算すると約5億円(この理解が難しいです)。
そこに、5.1億円の市費を投入して、土地と建物を購入するという構図です。
最初は、
「それって、公設民営では?」と思いました。
市場については、公設市場と民設市場という単語があり、
それは、ハコの所有は関係ない?みたいで、
最初に方針が示されたときから話が食い違っていたことになります。
ハコの所有は市(公)。
(民)民設市場開設法人はその箱を借りる。
これでも、市場の世界では、民設民営と呼ぶそうです。
私のイメージではあくまでも公設民営ですが。。。
今後は、民設市場の開設に向けて、準備が進められます。
公設市場にかかっていた毎年の赤字額は約1000万円でした。
この支出はなくなります。
そして、一番上の資料の2ページに掲載されていますが、
市は、新民設市場開設法人と
「公設市場の民設市場との統合における確認書」を交わし、
その中で、
・新たな貸付料の減額、
・資本金等の出資、
・資金の貸付け、
・補助金やこれに準じる実質激な関与・追加支援
を行わないことが書面で確認されています。
第三セクターのように市が民設市場開設法人に出資することもないので、
経営責任は全て民間事業者が負うことになります。
そして今年度、
卸売市場の方向性を決める重要な年に
卸売市場を所管する民生常任委員会の委員長を務め、
公設市場を廃止することを決定したわけです。
私は、市場や食品の流通に関しては、不勉強なところが多いのですが、
重要なポイントで関わることとなり、市場の必要性について理解をしようと努力しました。
今回の計画が、未来に誇れるまちづくりとなるのか。。。悩みました。
公設市場を民営化できることはいいことです。
民間の商売に市が関わることほど大きな弊害はありません。
市の顔とも言えるJR西宮駅前が再整備されることも
いいことです。
老朽が進んだ建物をこれ以上放置することは好ましくありません。
火災や自然災害も心配されます。
再開発事業に約36.1億円、
土地と建物の購入に約10.1億円の市費投入が必要とはなりますが、
まだ、予算が議決されたわけではありません。
いざ、事業計画を練っていく段階で
「やっぱり断念。」とならないよう、
民間事業者の発想や将来を見通す力にも期待しつつ、
今後も注視していかなくてはなりません。