留守家庭児童育成センター(学童保育)指導員の感染について

2020年7月8日[カテゴリ:コラム, 危機管理

西宮市では、市保健所の管轄内の医療機関で新型コロナウイルスの感染が確認された場合、13時50分に第1報が届くことになっています。本日も市内での陽性の報告が入っていないことを確認した直後、14時過ぎに本市の留守家庭児童育成センターの指導員の感染が確認されたとの第1報が届いていました。

私がその第1報を確認できたのは、15時半から開催された議会運営委員会が終了した後、16時頃でした。

15時半から議会運営委員会が開かれる予定はずいぶん前から決まっていたわけですから、急とはなるものの、この委員会で市長から報告すべき案件だったと思うのですが、その時間帯には市長と市の幹部たちは記者会見をしていた模様です。議決機関よりも報道機関。市議会とはそのような扱いです。

(7月10日追記)
結局翌日の7月9日(木)9時半から開催された議会運営委員会で、報告がありました。
本来は、その後の10時からの本会議の議事の確認が主な議題の会議でしたので、時間の都合上、内容に関する詳細な質問もすることができませんでした。
そこで、「なぜ、感染が発覚した当日の議会運営運営委員会で報告がなかったのか」とだけ尋ねると
市長の回答は、「考えが至らなかった」とのことでした。。。

この回答は、今回の感染は十分に想定できた事態であり、対応マニュアルが備えられ、冷静に対応しなければならなかった事態であるにもかかわらず、留守家庭児童育成センターでは具体的なマニュアルが備えられておらず、実際に事態が発生して慌てふためき、保護者や児童たちへの配慮をする余裕すらない状態に陥っていたことを物語っています。

完全に油断していたと言わざるを得ません。

この油断は、市長をはじめ市の幹部、職員の意識として、感染症に対する緊張感、危機感が薄れていたことの現れです。この幹部の意識が、市の職員の行動にも影響するのだと思います。

非常に危うい状態であると感じ、震えました。

私の質問の意図を「議会への報告がないことが問題」と勘違いしかねない市長や市の幹部ですので、そうではないことをはっきりと伝えた上で、今後の対応として、
・危機意識を持った対応、
・不安を抱いているであろう安井小学校の保護者への迅速な対応
の2点だけを、取り急ぎ指摘得ざるを得ませんでした。
(追記終わり)

この指導員は、市外にお住まいで、市内の医療機関でPCR検査を受診した方ではないことから、症状等詳細については、報告が入っていません。まずは、指導員ご本人の体調を心配します。

市から送られてきた報告文書の内容は以下のとおりです。

市の報告文書
1.該当指導員に関する情報
(1)勤務場所 : 西宮市立安井育成センター
(2)職務内容 : 留守家庭児童育成センター指導員(西宮市社会福祉協議会)
(3)勤務状況等
 本日、該当者より医療機関を受診しPCR検査が陽性であった旨報告があったことを受け、現在発症2日前からの当該指導員の勤務状況を調査中です。今後、感染経路および濃厚接触者の確認を行います。
2.留守家庭児童育成センターの対応
(1)休所
 本日から当面の間、臨時休所を予定していますが、具体的な再開時期については、PCR検査結果をみて判断いたします。
(2)消毒
当該指導員が立ち入った育成室、事務室、更衣室、共有エリア(トイレ、廊下)の消毒を行います。
(3)PCR検査について
当該指導員と接触のあった児童及び指導員に対してPCR検査を実施します。
3. 学校の対応
 明日9日より臨時休業(本日8日は警報発令により臨時休業中)とし、再開時期等については、PCR検査結果をみて判断いたします。

以上が、送られてきた内容です。
なお、安井育成センターの運営は、西宮市社会福祉協議会に、指定管理者として委託しています。

上記の報告には、曖昧な内容が多いため市の担当者に確認しましたが、市も情報が少なく、まだはっきりした対応を決められていない様子でした。

次に心配されるのは、児童たちとそのご家族への感染の拡大です。

報道によると、指導員は「発症後も勤務していた」とありました。ですので、利用児童たちへの感染が心配されることから、上記の報告では、「当該指導員との接触があった児童には、PCR検査を実施する」とあります。しかし、市は、PCR検査で感染を確認すべき対象者が何名いて、その検査に何日かかるのかもまだ把握できていないとのことでした。ゼロかもしれませんし、当然そうあってほしいです。それが、学校の再開時期が現時点で決定できない理由です。

また、留守家庭児童育成センターは、通常は、学校の敷地内の別棟で開所しているので、校舎内に指導員が入ることはありません。しかし、安井育成センターは、待機児童が多数発生したことにより学校の教室も使用しており、その指導員が校舎内を出入りしていたそうです。ですので、記載のとおり、校舎の消毒も必要になったため、明日から学校を臨時休業することになったそうです。

先日6月26日(金)に、学校の休校措置に対する対応を本会議一般質問で取り上げた際に、教育委員会の備えがまだまだ現在進行中で万全ではないことから、様々な状況を想定した対応の準備を急ぐよう指摘したばかりでしたので、子供たちの心のケアや、学習活動などへの影響に対する対応も明示されておらず心配しています。

その上で、私から留守家庭児童育成センターの担当の職員にまず求めたのは、以下の2点です。

①感染状況に関する情報はすべて開示して保護者に報告し安心してもらうよう全力を尽くすこと。
②学校の臨時休業の期間を迅速に明示すること。

②については、私の一般質問の答弁によると、7月上旬の校長会で学校に周知するとしていた「学校の対応マニュアル」が完成しているはずですので、そのマニュアルに則れば十分可能なはずなのですが、第1報では、学校の再開時期が明示されていません。消毒とPCR検査に要する数日程度なのか、2週間くらいなのか、それ以上なのか、方針すら全く分かりません。

 再開時期の決定を急がなければ、学校現場の対応も定まらず、おそらくその間、子供たちに対するフォローもできない恐れがあります。長引くようであれば、休業期間中の対応も早く明示しなければなりません。

 また、共働き世帯やひとり親家庭にとっても、仕事の段取りがつけにくくなることも考えられます。
安井育成センターの利用児童は156名だそうです。普段は、学校が終わってからの保育が必要な児童です。そしてそのうち、今春の臨時休業期間に、学校での預かり事業(どうしても仕事の都合で子供の保育ができないご家庭が利用できる事業)に申し込みをしていた児童は約40名もいらっしゃったそうです。ですので、育成センターの休所期間も、学校の休業期間も明示されなければ対応がしづらく、ただでさえ感染が不安なうえに、さらに不安要素が増すと推察されます。

事前に準備していたマニュアルや対処方針に基づいて、迅速にスケジュールと対応を明示する必要があります。

それともうひとつ。

以下の情報が20時頃に第2報で入りました。

第2報の抜粋
 経過については6月27日(土)まで通常勤務し、その後体調不良により7月1日まで休暇。7月2日は指導員業務に従事し、3日は打ち合わせのみで出勤。以後出勤なし。勤務中は常時マスクを着用。

この指導員さんは、なぜ「発症後も勤務をしたのか。」、「発症後PCR検査を受けさせてもらえなかったのか。」も分かっていません。学童保育には、利用者数に応じた人員配置の基準があります。1人の指導員が病気で休むと、人が足りなくなって開所できなくなるような状態で開所していたとなれば、第2波に備えるどころか、感染症対策の体制ができていたとは到底言えないことになります。子供を預かる立場にあって、発症後の適切な対応ができていないようであれば、運営体制に問題があります。
まずは、感染の状況の確認と対応を急ぐ必要がありますが、他校のことを鑑み、育成センターの運営体制についても大至急検証する必要があります。

また、安井小学校は、日頃から、学校行事の現場を見せて頂いており、facebookにはたびたび登場する学校です。日頃、顔を見ている子供もたくさん通っていることもあり、「子供は重症化しない」とはいえ、心のケアや学習活動のフォローのことなど教育委員会の対応を注視していかなければならないと考えています。

記事一覧