2010年4月1日[カテゴリ:子育て・教育]
あいにくの雨ですが、
新入社員のみなさん、
大学新入生のみなさん、
おめでとうございます。
突然ですが、
全国的に深刻な課題となっている保育所問題について、
先日、改めて最新情報を調査しましたので、
西宮市での保育所待機児童の状況をご報告いたします。
平成22年3月時点での待機児童は「963名」でして、
1000名に迫る勢いとなっています。
今年4月からは、225名の定員増が実現しますが、焼け石に水の状況です。
平成22年度予算では、
これまでの新保育所建設などの取り組みに加えて、
賃貸物件も活用しながら、
約5億円を投じて400名の定員増加(平成23年4月稼働)を計画しています。
なお、待機児童の内訳は、以下の通りとなっておりまして、
0歳児が半数以上を占めております。
0歳児…531名
1歳児…215名
2歳児…200名
3歳児…11名
4歳児…6名
5歳児…0名
3~5歳児は、
保育士の配置の基準が子供20人に1人の割合となっていることから、
受け入れ人数枠が一気に増えます。
また、
私立幼稚園(公立は4歳児から)への入園という選択肢もできるため、
待機児童は一気に減少します。
そして、
私立幼稚園では、通常保育は14時までなのですが、
18時程度までの延長保育を実施している幼稚園の人気が高くなっている傾向にあります。
一方で、
0歳児には、子供4名に1人の割合、
1・2歳児には、子供5名に対して1名(民間の認可保育所は6名に1名)の保育士を要することから、
施設の性質上、0歳児~2歳児の受け入れには限界が生じます。
つまり、
これだけの0歳児~2歳児の待機児童を一気に解消するには、
現在の国が定める基準では、
膨大な敷地面積と施設、保育士の数が必要となるわけです。
成熟した住宅都市である西宮市では、
そうした敷地を見出すだけでもひと苦労なのです。
いずれ西宮市にも訪れるであろう少子化や
土地の確保、施設の建設費用の確保、経常経費の確保などの事情から、
一気に解消することは至難の業といえます。
ですので、せめて、0歳~2歳くらいまでは、
家庭で育児ができる環境整備を行うべきであると考えていますが、
そのためには、育児休暇の充実など企業の協力も必要となり、
この不況で企業にも余裕がないことも重なり、
時代の流れの速さも相まって、職場復帰がしにくいという問題も含めて
現実問題、なかなか十分な育児休暇が取りにくい状況になっている様子です。
共働き推奨時代に入って久しいわけですが、
「女は家庭で子育て、男は外で仕事」
という生活スタイルが主であった時代にできた保育所制度だけに頼っていては、問題解消につながらないのは明白な状況です。
そうした点に対して無策のまま、子ども手当などの目先の財源のために扶養控除を廃止するといった現政権の浅はかな政策には怒りを禁じえません。
また、
これまでも西宮市では定員の増加を図り、
作っても作っても追いつかない状況ではあったものの、
以下の通り、待機児童は減少傾向にありました。
しかし、一昨年からは、世界的不況の影響で共働きに一層の拍車がかかった様子です。
これらの根本的な問題に対する国の政策も一向に見えてきません。
平成15年4月…定員3743名(待機児童数284名)
平成16年4月…定員3824名(前年比81名定員増、待機児童数183名)
平成17年4月…定員4019名(前年比195名定員増、待機児童数94名)
平成18年4月…定員4064名(前年比45名定員増、待機児童数76名)
平成19年4月…定員4190名(前年比126名定員増、待機児童数36名)
平成20年4月…定員4250名(前年比60名定員増、待機児童数134名)
平成21年4月…定員4290名(前年比40名定員増、待機児童数223名→1年後に963名)
という経年変化となっています。
こんな時代だからこそ改めて、
まじめに一生懸命働いて生きていこうと努力する人たちが
報われる制度設計が必要なのだと感じるのですが、
現政権は逆行しているように思えてなりません。
少子化は、共働き一般化時代の到来とともに進んできたのだと思いますが、
そうした時代の流れの中、待機児童の解消をはじめ、少子化対策、子育て支援にどのように向き合うべきか、
一自治体レベルでは、大変難しい問題ではありますが、私たちは正面から向き合う必要があると感じています。