通学路における防犯対策ー平成16年12月議会一般質問

2005年8月11日[カテゴリ:安心・安全, 質問

犯人が死刑になっても、
奪われた子供の命は返ってきません。

力の弱い子供を犯罪から守る取り組みは、
いくら対策を講じても「やりすぎ」はない。
と言っていいと思います。

平成16年12月議会一般質問で、
登下校時の安全対策について議論しました。

=======ここからが、本会議場での議論の概要=======
2.登下校時の安全対策について
■質問の背景・政策提案・主張
つい先日、
奈良市で小学1年生の女の子が殺害されるという、
またもや衝撃的な事件が発生しました。
しかも、
ご本人はGPS搭載の携帯電話を持ちながら、
それを逆手にとられた犯行が起きてしまったわけです。
御遺族の方には、同世代の子を持つ親として、
おかけする適切な言葉が見つかりませんが、
この場をおかりしまして、
心からお悔やみ申し上げる次第です。

神戸市須磨区での事件を皮切りに、
大教大附属池田小学校での事件、九州での事件など、
犯罪のターゲットの低年齢化がここのところ問題となっています。

現に本市でも、
ここ1年の間に、幸い未遂には終わっているものの、
数件の事件が発生していると聞いています。

実際に私自身が2年後に小学校に入学する子供を持つ親としても不安でいっぱいですし、
現在小学生のお子さんがいるご家庭の親御さんも、
非常に不安に感じているのではないでしょうか。

子育てするなら西宮、安心、安全のまちづくりを標榜している本市は
どういった対策を講じられているのか、疑問に感じています。

実際に犯人が捕まっていない現状では、
奈良県ではもちろんのこと、京都府、大阪市では、
消防職員や地域のボランティアの方の協力を得て、
パトロール作戦を行うという人海戦術に出ています。
こうした対策は、事件直後には力を入れているものの、
犯人が逮捕された後、そして、その後時間が経過するにつれて、
意識が薄れていくのが常となっています。

本市職員によるパトロールを行うにしても、
恒久的に行うには限界があり、
地域コミュニティー、
例えばPTAを初め、青少年愛護協議会、防犯協会、スポーツクラブ21といった
市民団体の協力を得たとしても、
実際にパトロールに立つ方も素人ですから、
目の前で犯罪が起こった際に必ずしも適切な対応ができるとは限りません。

つまり、
時間的にも物理的にも精神的にも限界があると考えられます。

そこで、
IT技術を活用した防犯対策を試みている自治体、学習塾が出てきています。
携帯電話という電源を切ってしまえば何の役にも立たないツールではなくて、
事件発生が直ちに認識できるようなIT技術ですが、
まだまだ不安要素もある様子で、
PTA主体で実験に取り組んでいる
そうです。

昨日の質問にもありましたが、
防犯ブザーの貸与については、
財政的に限界があるともとれる御答弁でしたし、
実際に犯罪に遭った小学生が、
「静かにしろ」と言われて(脅されて)
冷静にブザーを鳴らせるのかどうかといった検証、訓練も必要となってきます。

完全に犯罪から小学生を守ることは不可能に近いとしても、
そうしたあらゆる取り組みの試行錯誤、
つまり、
マンパワーとそれを補完するIT技術の両方を活用した取り組みが
現在必要とされている
ように感じています。

財政的に厳しいことは理解しています。
しかし、
人、それが特に将来を担う、
抵抗する力の弱い小学生の命と
税金の重さを考えたとき、
決して消極的になるべきではない
と考えます。

■質問
本市では特にこの抵抗する力の弱い小学生を守る方策についてどのような取り組みをお考えなのかを伺います。

■教育委員会の回答
子供たちの登下校時や地域での安全確保につきましては、
従来より、各地域の自治会や青少年愛護協議会を始め、
老人会、各学校園の教職員やPTAなど、
多くの市民、地域団体の皆さんの御努力で、
子供の安全を守る多様な活動が行われております。
登下校時の安全配慮、
地域の巡回パトロールや安全点検、
学校園の安全ボランティア活動、
子供を守る110番の家、
郵便配達職員によるポスト110番など、
活動内容も多岐にわたっております。

また、
大学生による安全ボランティア活動も行われるなど、
活動の輪が広がりつつあり、感謝しているところでございます。
なお、
青少年補導グループが
登下校時に巡回活動を行っており、
市内201名の青少年補導委員の方々の子供たちを見守る活動は、
主に下校時から夕方の時間帯に集中的に行っていただいております。

IT技術の活用につきましては、
携帯電話等でのメールで不審者情報を流したり、
GPSを利用した情報取得等を
先行的に実施している地域もあると聞いておりますが、
何をどのように流すかという情報の吟味や
流れる情報の信憑性等、課題があると聞いております。

そのような状況の中、IT技術の活用につきましては、
今後の動きを見きわめながらの検討課題とさせていただきます。

今後も
本市職員による巡回活動や補導グループ職員による巡回補導の充実を初め、
市民の皆様の御協力、御支援を得ながら、
子供たちを見守る人の輪が広がるよう努めてまいります。

■まとめ・要望
教育委員会らしい御答弁であったと感じています。
恐らく現場では、
先生方がかなり危機感を持って取り組まれていると推測していますが、
御答弁からは余り酌み取ることはできませんでした。
しかし、
学校の登下校時の安全管理、
子供を守るというのは学校の責務
とお考えであることはわかりました。
規模にもよるとは思いますが、
税金と将来を担う子供たちの命とどちらが大切かということも考えながら
今後取り組んでいただきたいと思います。

人海戦術をこれからもとっていくということであれば、
例えばボランティアの方が協力してくれる間はいいのですが、
協力がもしいただけないというようなことになれば、
当然人海戦術はできなくなるわけです。
恒久的にやろうと思っても限界があります。
また、
人を張りつけたからといって完全ということではありません。

ですので、防犯ブザーもそうですが、
やってみないとわからないということがたくさんあると思います。
お金のかかることですから一定の検討は必要ですが、
そうした取りくみが
効果的であると証明されてから導入するということになれば、
どうしても検討に時間がかかってしまいます。

命が失われてからでの対応では遅いわけです。

使う予算の規模も、限界があるなかで、
IT技術にまだ不十分なところがあるということも分かりますが、
そうしたところも活用しながら、
試行錯誤の中で安全性を増す具体的な努力を要望しておきます。

======ここまでが本会議場での議論の概要========
とにかく考えられることを
どんどんとやっていくという姿勢を見せて欲しかったです。

引き続き、別の一般質問等の機会に議論する必要があります。

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