台風被害と防災対策ー平成16年12月議会一般質問

2005年8月15日[カテゴリ:質問, 防災対策

平成16年10月20日に台風23号が上陸し、西宮市内にも多くの被害をもたらしました。

中でも、武庫川が溢水した流域にある武田尾やリバーサイド住宅での被害が大きく、76戸が床上浸水し、そのうち73戸が半壊、更にその内大規模半壊が6戸と記録されています。また、青葉台にかかる武庫川水管橋が流失し、森興橋が損壊し、通行止めとなりました。

平成16年12月議会一般質問において、今後の防災対策について取り上げ、議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成16年12月議会一般質問

3.台風被害を受けての今後の課題について
■質問の背景

 今年は、台風上陸数が観測史上最多となり、全国で見ると大変多くの風水害をもたらし、本市でも、台風16号、18号、21号、23号の上陸の際に、特に23号の上陸の際には大変多くの方が被災されました。この場をお借りしまして、被災者の方々に心からお見舞い申し上げますとともに、いち早い復旧に向けて、職員の方々には住民の方々とともに頑張っていただきたいと思います。
 さて、この件につきましては、本定例会の一般質問においても既に6名の方から指摘を含めた質問がなされております。かなり似通った内容ですが、私の方からは、西宮市の全市的な観点から1点だけお伺いします。

 台風23号の被害につきましては、多数の住戸が被害を受け、多くの公共物が破壊されたわけですが、速やかな避難指示、水防指令2号体制での防災活動により、人的被害、特に死亡者が出なかったことは、不幸中の幸いであったのではないでしょうか。その点に関しましては、これまでの質問で、事後の支援等、問題点の指摘はありましたが、本市の防災体制を評価しているところです。
 被害が大きかったリバーサイド住宅では、昭和58年に起きた水害にも対応できるように護岸のかさ上げをしていたにもかかわらず、その流量を超える雨が降ったわけです。そうしたら、一体どれくらいの降水量に対応した河川改修を行えば完全に水害が起こらずに済むのか、どれだけ河川に人間の手を加えても、完全に自然を制圧することは恐らく不可能だと思います。しかし、昨今の環境破壊がもたらしているとされている異常気象を鑑みると、これまでのデータのみをあてにした対応では、今回の事例を見ても、ハード面に関していえば不安が残ります。また、広域的な防災の整備については、本市単独でできることに限界があることも理解しています。

■質問1
 第3次総合計画に「災害に強いまちづくり」という項目を設け、取り組みを続けている現在、このたびの風水害を受けて、ハード面の整備については限界があると先ほども申しましたが、武庫川に限らず全市的に見て今後どのように対応されようとしているのか、伺います。

■質問1に対する市の回答
 本年は、新潟中越地震や多くの台風上陸のため、全国的に多くの被害が発生致しました。本市も、複数の台風の来襲を受け、対応に追われた年でございます。とりわけ台風23号は、武庫川水系の降雨量が多く、リバーサイド住宅を中心に、浸水等、大きな被害を受けました。河川の氾濫する事例は、全国でも報告されており、この問題にどう対応するのかということが、本市を初め関係自治体で課題となっております。河川では、過去の降雨実績から治水安全度の目標となる計画降雨を算出して事業に取り組んでおり、武庫川においても、県によって17年に1度とされる降雨を対象に改修が進められております。

 しかしながら、御指摘のとおり、多額の費用と時間を要する河川改修については補助事業であることを前提としており、現時点で整備水準を大幅に引き上げることは、財政上の制約や対費用効果の面からも困難でございます。このようなことから、平成13年6月には水防法の一部が改正され、あらかじめ危険を予測して対応するソフト対策が強化されております。
 これによりまして、国土交通大臣に加え、新たに都道府県知事が洪水予報を行うとともに、国土交通大臣及び都道府県知事による浸水予想区域図の公表がされるようになります。武庫川につきましては、先日の新聞報道によりますと平成17年度中に公表の予定であります。
 市は、公表された浸水想定区域図に基づき、円滑かつ迅速な避難の確保等の措置を講ずることとなっております。

■質問2
 昨日の(他の議員の)質問に対して、県が策定する予定の浸水予想区域図をもとにハザードマップを作成するという御答弁がありましたが、武庫川以外の河川の対策はどうなっているのか、お尋ね致します。

■質問2に対する市の回答
 お尋ねの武庫川以外の河川につきましては、本市には武庫川水系と異なる中小河川が6河川ございますが、これらの河川については、県の洪水予報対象にはなっておりません。今後同様な措置が講じられるように県に要請してまいります。
 市は、現在、ホームページや地域コミュニティー放送及び携帯端末などを通じて防災に役立つ情報を市民に提供しておりますが、今後は、洪水マップなどを加えた総合的なハザードマップを作成し、いざというときには住民みずからが判断して行動ができるよう、自治体などが提供する防災情報の積極的な利用について啓発してまいります。
 また、自助、共助、公助についての役割分担の重要性を確認するとともに、大災害に備えて、災害時の相互応援協力体制内容や自衛隊派遣要請時の対応方法についても精査してまいりたいと考えております。

■意見・要望
 今回、私でもう7人目の質問者となり、内容が重複しました。これまでは武庫川での話が多く、そのような中で、河川に関しては、本市でできること、特にハード面でできることというのはやはり限界があることから、今後は、ハードよりもソフト重視で進められるという御答弁だったと思います。

 武庫川に関しては、浸水予想区域図が来年度中に公表されるという御答弁がありましたが、他の川に関しては、まだその予定がないということで、危険性は十分あると思いますので、ご対応をお願い致します。
 災害は人の取り組みを待って起こるわけではないのはあたり前の話ですから、県や国の施策を待っているだけではなく、積極的に取り組んでいただきたいと思います。また、ソフト面に関しては、特に住民の方に周知をしていく、情報を提供するということだと思うのですが、住民の意識の問題もあることですから、非常に難しい取り組みです。積極的に市から情報提供をしていく、働きかけるという啓発に力を入れていただけるように要望をしておきます。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 大雨に対する備えとして、河川改修などハード整備による防災対策には、整備に多額のコストを要することから時間を要することにもなり、限界もあります。
 今後は、雨水流出抑制など河川改修以外の方法も含めてハード面での対応を計画的に進めつつ、発生する災害を予測して避難等の対応が迅速にできるように備えるというソフト面での対応を強化していかなくてはなりません。

■最終目標
限られた財源での災害対応力の向上

■講じるべき手段
ハザードマップの作成と住民に対する周知
台風に対する備えの強化

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