市立中央病院改革②-平成16年12月議会一般質問

2005年8月10日[カテゴリ:市立中央病院, 質問

前回のコラムに続いて、平成16年12月議会一般質問で取り上げました市立中央病院改革に関する議論を掲載します。

====本会議場での議論の概要====

平成16年12月議会一般質問

1.第3次行財政改善実施計画について
エ)西宮市立中央病院改革
(2)市長の経営ビジョン
■質問の背景

 現在の病院の経営責任者は市長です。民間病院、公立病院を問わず、劇的な経営改善に成功しているのは、いずれも院長の確固たる理念と強力なリーダーシップによるものである様子です。しかしながら、地方公営企業法の一部適用を継続している本市では、市長みずからの理念を現場に伝え、機能させる必要もあると思います。「行財政の改善をしなければいけないので、病院も頑張ってください。」では、職員のモチベーションは上がらないのではないでしょうか。
 何のために本市では公立病院を経営しているのかを明らかにして、職員はその目的を達成するために努力してこそ、患者さんからの信頼を取り戻すことができるのだと思います。
 私は、以前から一般質問の場で述べさせていただいているとおり、地域医療機関との連携を図りながら、民間医療機関ではできていないことに特化していくべきだと考えていますが、現状は、本市の場合は、いち総合病院としての機能、しかも、民間に比べると経営状況は圧倒的に悪い状況であると感じています。

■質問2
市長は、経営責任者としてどういったビジョンをお持ちで、どういった対策を講じるよう指示を出しているのでしょうか。また、ビジョンとして、特に政策医療として本市の病院の誇れる部分はどういったことで、また、不足している部分はどういった部分であるとお考えなのか、お聞かせください。

■質問2に対する市長の回答
 西宮市内には、現在、23の病院を含めまして、723の医療機関がございまして、全国的に見ても市民の皆さんに充実した医療の提供が行える状況にあるというふうに考えております。こうした中で、中央病院におきましては、13の診療科を開設しておりまして、一般診療や高度医療の提供に努めておりますとともに、政策医療として小児救急を初めとする救急体制を強化するなど、市民の期待にこたえているところでございます。
 一方、病院経営という面におきましては、市内に数多くの医療機関が立地する中で、非常に厳しいものとなっている現状がございまして、平成15年度より経営健全化に取り組んでいるところでございます。
 中央病院の今後のあり方と致しましては、地域医療機関との連携を図りながら、民間医療機関ではできていないことを中心として、特化するというのでしょうか、そういう方向で進んでいくということは一つの方向性として押さえているわけでございまして、また、最近の治療の専門性が非常に進んできているわけでございます。
 そういう中で、採算性ということを踏まえた診療科目の見直しについても検討をしていかなければならないというふうに考えております。

■田中の意見・要望
 市長からは、採算性を踏まえた診療科目の見直しを検討していくということ、そして、事務局長からは、とにかく経営改善を行うという御答弁を頂きました。
 そのような中で、現場では危機感を持ち始めているとも聞いております。だからこそ今回の提案も致しましたが、職員の意識がもし変わってきているということであれば、現場でやらなければいけないことは、経営改善をもちろん考えた中で、医療サービスの向上に向けた取り組みに集中することだと私は考えます。
 経営、経営とあまり経営を前面に出して医療の質を落とせば、また患者の足は遠のいてしまい、何のために経営改善の取り組みをしたのかわからない状況になるのではないか、財政的にはマイナスになってしまうのではないかと感じました。
 
 事務局は特に率先して、経営改善をしなければならないということを病院全体に浸透させるために、人数の方も削りながら実施している中で、病院の会計で、また人を増やして新たなことを実施するということは考えにくいだろうと思います。
 そこで、現状では、市長が経営責任者ですので、市長部局に、名前は仮称ですが、中央病院経営企画担当課長のような人を置くのがいいのではないかと考えます。つまり、現場の総務課や医事課では、制度の運用に取り組み、役割を果たすべきではないかと考えます。そして、当然この取り組みを総務課や医事課だけでやっていても意味がありませんので、職員全員でやっていこうという意識はもちろん必要です。そして、それとは別に、どういった経営改善手法があるのかという調査研究をする暇がなかなかないと思います、かなりの業務を抱えていると思いますので。

 そこで、市長部局の方に担当課長を置いて、経営改善の手法というのはたくさんあると思いますので、その中でどれが本当に効果が期待できるのかを集中して検討する部署が必要ではないかと考えまして、今回こうした組織をつくってはどうかという提案を致しました。
 
 また、他市の例を挙げて、そのまねをすべきというわけではないのですが、三重県の例を挙げます。どこの病院もやはり同じ事情を抱えているようです。行政改革が進んでいると言われている三重県でも、公立病院はは赤字だったということなのですが、それをまず全部適用を即行い、知事みずからが、病院事業庁長に対して経営改善ができなければやめてもらうという契約を結んで、3年間の経営健全化計画に取り組んだそうです。そこまでしても、最初の2年は効果が現れず、最終年度になる3年後に危機宣言を発令した結果、ようやく職員の意識ががらっと変わって、その年にようやく、少しだけですが、黒字に転じました。
 その少しだけの黒字、好転から、徐々に経営が改善し、ついに、金額は病院の規模が違いますので参考にはなりませんが、年間20億円ずつ一般会計からの長期借入金を返済できるようになったというところまで改善ができたそうです。

 本市の病院も、かなりピンチな状態です。職員の意識が変わり始めているということを耳にしましたが、私は今がチャンスだと逆に思いましたので、ぜひとも市長部局も連携して対応して頂きたいと、強く要望致します。

====ここまでが、本会議場での議論の概要====

 「公立病院はいくら赤字を出してもつぶれない、自分たちの職場は守られる」という意識が職員にあるとしたら、その意識に危機感をもたせるのも経営責任者である市長の役割であり、市長の覚悟が必要です。
 今回提案した経営改善に向けた具体的な方策については、今後このまま、経営健全化計画が達成すれば必要がないこともあるかと思います。しかし、達成状況が芳しくないようですので、提案したことがどこまで実施されるのか、この姿勢にも市の本気度が現れると考えていますので、動向を注視してまいります。

■最終目標
中央病院の基準内繰入れのみでの黒字化
公立病院の役割の探求

■講じるべき手段
経営改善手法の調査及び導入
患者サービス・対応の向上

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