顕在化する自治体の対応力の差ー緊急事態宣言の延長

2020年5月6日[カテゴリ:コラム, 議会状況

地方分権一括法が施行されて21年。

地方分権が徐々に進められてきた中で、危機対応について各自治体の取組みに違いが現れています。これは、今のところ、首長のリーダーシップとお役所の「意識」の差の表れと言っても過言ではないと感じています。

西宮市役所の対応は遅すぎるものが多い。
現状の理解を促すという観点から開示されるべき情報の質も低く、量もまだまだ足りない。
国や県の対応に頼りすぎている。

そう感じてなりません。

例えば、各自治体が定める水道料金の基本料金について、半年間ないし1年間免除すると表明した自治体が増えていますが、この件について、西宮市がどのような検討をしたのか、私たち議員にも詳細が知らされません。

国から外出自粛を要請されているわけですから、ご家庭での水道使用量は上がっているはずです。外出自粛によって、ほとんどのご家庭で電気代など様々な負担が増えていると推察される中で、水道の基本料金を免除することで市民の負担を軽減しようという発想があってしかるべきです。

学校についても、すでに市立学校でオンライン授業に近いことが実施できている自治体もあります。

西宮市の財政状況は、直近の平成30年度決算で、
10年前までの財政改革の成果として財政基金(市の貯金)が225億円も貯まっています。
減債基金を合わせると、貯金は260億円あります。
市の1年間の歳入は1737億円、そのうち市税収入は869億円ですから、相当の財源と言えます。
他の自治体と比較して、財政状況が悪いわけでは決してありません。

この貯金を、今後の施設の老朽化対策や高齢化による社会保障費の増加に対応するための財源に充てようと考えてきました。しかし、そもそもそうした費用は、事前に想定して準備できるわけですから、財政基金で対応するのではなく、その時どきの財政の構造を変えることで対応する必要があります。
ですので、財政基金や減債基金は今のような危機の時、災害時の対応にこそ優先的に充てるべき財源と言えます。

もちろん、「260億円の貯金を全て使え」と言っているわけではありません。
今後、経済の落ち込みにより市税収入も減少するでしょうし、国からの交付税も大して増えない可能性もありますから、コロナ収束後に訪れるであろう財源不足にも備えておく必要があります。

しかし、
今使わなければ価値が失われることには即財源を投入する。
国が手の届かないきめ細かな対応に要する費用にこの財源を充てる。

そして、
急がない事業に投入しようとしていた費用もしばらく諦めて、危機に対応するための財源を確保する。
こうした柔軟かつ迅速な財政措置、対応ができる市役所にすることこそが、市長が進めようとしていた「行政経営改革」の求める行政運営の姿ではないかと私は考えていました。
このような重大な時に、こんな分かりやすいことができないようであれば、端からできもしない「行政経営改革計画」の策定など無駄になることが目に見えていますから、人件費の無駄遣いになるだけですから、策定しない方がいいとすら感じています。

市議会は何をしているのか

ここまで市の動きが鈍いのであれば、市役所が頼りにならないのでれば、西宮市議会はもっと体制を強化して、市が動けるように仕向けていくことも議会の役割であると感じています。

にもかかわらず、西宮市議会では、国が緊急事態宣言を発動しているからということで思考を止めているわけではないのですが、いまだにBCP(業務継続計画)を発動したままの、機動的な対応が取りづらい状況になっています。
BCPは災害により市及び市議会が一時的に機能が失われた時に、議会は災害対策支援本部を設置して、喫緊の対応をどうするかを、平時の際に取り決めたものです。

そして、現在の西宮市議会BCPには以下の決まりがあります。

======西宮市議会BCPの抜粋======
(6)市対策本部との関係
ア 議員は、市の災害対策活動に対する市対策本部への要請及び提言並びに災害に関する問い合わせについては、本部を通じて行うものとし、市対策本部に直接連絡しないものとする。
イ 本部長(議長)は、市長と密接に協議を行うものとし、本会議・委員会の早期開催に努める。
=====西宮市議会BCPの抜粋はここまで=====

となっています。
つまり(ア)では、BCP発動中は、市議会議員は行政に対して直接要望や情報収集をしてはならないと規定して、市役所がバタバタしているときには、40人もいる議員が各々に「声の大きいもの勝ち」の働きかけをしないことを「支援」と定義しているのです。

そして、(イ)にあるとおり、一刻も早く議会の機能を取り戻すために、正式に公の場で市に対して対応を求め、決定することができる「本会議・委員会」の早期開催に努めるとなっているのです。

しかし、3月23日閉会後、1ヶ月の間で今回のコロナ対策について本会議と委員会が開かれたのは1回のみ。

市議会議員は市民を代表する立場として40人もいるわけですから、仮にBCPを発動し続けても、閉会中の各常任委員会を頻繁に開催し、議員の総力を結集して、市の対応と市民の生活状況に関する情報共有を進め、対応を強化していくべきであると私は考えています。

5年前、せっかく「西宮市議会基本条例」を定めたにもかかわらず、このような時に役割を果たせないのであれば、本当に意味がなくなってしまいます。

このコラムで意見をしても状況は変わらないのですが、とにかく、情報や実情を発信していきたいと思っています。

市議会が知らされていること

最後に、先週掲載した市からの報告の続きを掲載します。私たち議員が知らされる内容はこの程度のことだと知って頂ければと思って掲載しています。

なお、5月3日、4日分の会議の内容に関する報告については、メールサーバーの容量オーバーで受け取ることができませんでしたので掲載することができません。ご容赦ください。

=====市からの報告(5月5日(火)16時30分)=====
1.第72回新型コロナウイルス感染症対策本部会議
・本日(5/54)の検査結果は陽性が0 件であった。
・電話相談件数
昨日の医療相談は98件。
昨日の一般相談は76件。<詳細は別紙のとおり>
・国の動きや兵庫県対処方針の改定内容について確認した。
ビッグデータの分析や市内感染状況の分析結果を確認し、今後の市民への啓発について検討した。
PCR 検査体制の強化について意見交換した。
添付資料(←クリックをするとPDFファイルが開きます。)

=====ここまでが5月5日(火)の報告=====

↑PCR検査体制については、4月24日(金)に開かれた健康福祉常任委員会で確認し、1日30件に拡充された検査数について、物理的にはさらなる増加も可能との市の答弁があったことから、さらに強化することを求めていました。しかしその後、約2週間が経過しても検査数が大幅に増加したとは言えません。

そして、相変わらず100件前後の医療相談が入っていることから、もっとPCR検査を受けてもらうべきです。
せっかく補正予算を速やかに可決したにもかかわらず、市の対応が遅いと言わざるを得ません。

=====市からの報告(5月2日(土)14時)=====

1.第69回新型コロナウイルス感染症対策本部会議
・本日(5/2)の検査結果は陽性が1 件であった。
・電話相談件数
昨日の医療相談は108件。
昨日の一般相談は137件。
・5月1日に開催された新型コロナウイルス感染症対策専門会議で示された情報分析と提言の内容を確認した。
・市民や事業者に対する市としての支援策について議論した。

=====ここまでが、5月2日(土)の報告=====

200501 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議提言概要
↑クリックをすると5月1日の専門家会議の提言概要が記されたPDFファイルが開きます。厚生労働省のホームページからダウンロードしてアップロードしました。
特に、西宮市ができることとしては、16ページに記載された内容が重要だと捉えています。

↓市立高校も県立学校と合わせて、5月31日までの臨時休業が決定しました。

=====市からの報告(5月1日(金)21時30分)=====

1.第68回新型コロナウイルス感染症対策本部会議(会議資料抜粋添付)
・本日(5/1)の検査結果では陽性が0件であった。
・電話相談件数
昨日の医療相談は105件。 本日は15時現在で73件。
昨日の一般相談は149件。 本日は15時現在で92件であった。
・昨日の融資等相談件数は41件。セーフティネット等認定件数は22件であった。
・市立高校の臨時休業を5月31日まで継続する事にした。
(但し、5/18以降は週に1回の登校可能日を設ける予定)
特別定額給付金について、本日からオンライン申請を開始した。コールセンターの開設は5月7日~(予定)
・職員がPCR検査を受検した場合における職場の消毒方法について確認した。

=====ここまでが、5月1日(金)の報告=====

↑なぜ、コールセンターの開設が5月7日~なのか、さっぱり理解できません。

=====市からの報告(4月30日(木)21時30分)=====

1.第67回新型コロナウイルス感染症対策本部会議(会議資料抜粋添付)
・本日(4/30)の検査結果では陽性が0 件であった。
・電話相談件数
昨日の医療相談は86件。 本日は15時現在で53件。
昨日の一般相談は66件。 本日は15時現在で110件であった。
・先週までの融資等相談件数は別紙のとおり。
・特別定額給付金の今後のスケジュール(予定)について確認した。
雇用継続支援事業の内容について確認をした。(詳細は別紙)
・巡回広報車からの報告内容(4/24~26)を確認した。(詳細は別紙)
・JR福知山廃線敷の利用自粛を宝塚市と共同で啓発する事とした。
・市内公園の大型遊具(6ヶ所)を28日から使用禁止としており、子供にも使えない理由が分かるような看板を設置する事とした。

第67回対策本部会議資料

=====ここまでが、4月30日(木)の報告=====

↑セーフティネット等認定数は、令和2年3月213件に対して、4月352件と大幅に増加しています。
国の支援は実際の支給までに時間がかかり、県の支援は融資が主となっていることから、緊急事態宣言の延長により、市としての事業継続のための支援をさらに検討しなければならないと思っています。

そのような中で、セーフティネットの認定数が報告されていますが、認定を受けても実際に融資に結び付いているのかどうかは今のところ分かりません。
4月19日のコラム(←クリックするとご覧いただけます。)でも掲載しましたが、実際に融資を受けることができた件数を把握することで、はじめて支援につながっているのかを確認することができるのですが、5月6日現在、市からの具体的な情報提供はありません。

=====市からの報告(4月29日(水)13時50分)=====

1.第66回新型コロナウイルス感染症対策本部会議(会議資料抜粋添付)
・本日(4/29)の検査で陽性は0 件であった。
・電話相談件数
昨日の医療相談は89件。
昨日の一般相談は129件。
・一般相談では、給付金に関する問い合わせや苦情が多い。
・昨日の井戸知事の記者会見の内容について確認した。

====ここまでが、4月29日(水)の報告====

↓保育所での特別保育も延長されました。お子様の安全が第一ですが、親子で餓死してしまっては元も子もありません。
特別保育の延長によって、保育サービスを利用できないご家庭での生活の様子を把握するとともに、支援が必要であれば的確に福祉とつなげるサポートをしていかなければならないと想定されますが、現状どうなっているのか、特別保育が始まってから保育所では何名のお子様をお預かりしているのかすら、私たちには報告がありません。

=====市からの報告(4月28日(火)20時30分)=====

1.第65回新型コロナウイルス感染症対策本部会議
・本日(4/28)は陽性が0 件であった。
・電話相談件数
昨日の医療相談は153件。 本日は15時現在で61件。
昨日の一般相談は119件。 本日は15時現在で85件であった。
→個人給付金に関する問合せが増えている。
・先週までの融資等相談件数は別紙のとおり。
保育所の特別保育の延長について議論した。
・広報車による巡回広報は5月10日まで延べ12、3台で行う。
・市主催、共催等のイベントや集会等については、5月31日まで中止又は延期する事とする。
・県からの協力要請も有り、医療従事者への敬意と感謝の意を示すブルーライトアップを4月30日に行う。(場所は本庁舎屋上塔屋。時間は19時~20時頃)

=====ここまでが、4月28日(火)の報告=====

=====市からの報告(4月27日(月)21時30分)=====

1.第64回新型コロナウイルス感染症対策本部会議
・本日(4/27)の検査では1 件の陽性が判明した。
・電話相談件数
昨日の医療相談は103件。本日は15時現在で117件。
昨日の一般相談は65件。本日は15時現在で84件であった。
・先週までの融資等相談件数は別紙のとおり。
・市立学校園の今後の臨時休業等について議論した。
・遠方からの公園利用を抑制するため甲子園浜海浜公園駐車場を4月29日から当面の間、閉鎖する予定。
臨時給付金に関する市民からの問合せ等への対応体制について議論した。

=====ここまでが、4月27日(月)の報告=====

引き続き、西宮市の現状を発信していきたいと思います。

記事一覧