介護予防事業ー平成25年12月議会一般質問

2014年4月13日[カテゴリ:質問, 高齢者福祉

前回コラムの続きです。

 平成12年度より始まった介護保険事業は3年ごとに計画が策定され、制度も少しづつ変わってきています。
 そして、平成27年度より介護予防の制度が大きく変更されることが国で議論され、制度変更に対して市民も介護サービス事業者も不安を抱いていると耳にします。

 平成25年12月議会一般質問において、国で議論されている「介護予防事業」の変更に対応するための市の準備について議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成25年12月議会一般質問

2.高齢化社会への対応について
イ)介護予防事業
■質問の背景

 先月、11月14日の厚生労働省社会保障審議会介護保険部会の資料の中で、要支援者と従来の2次予防事業対象者が利用する訪問型・通所型サービス等の介護予防・生活支援サービス事業と、全ての高齢者が利用する体操教室等の1次介護予防事業を統合した介護予防・日常生活支援総合事業を、全ての市町村が平成29年4月までに開始するという内容が示されました。

 そして、今年度から、市は一般高齢者に対する介護予防事業として、筋力の向上を目的に、西宮いきいき体操の普及に取り組み、こちらは先ほど詳しく議論がされましたが、現在、42団体が実施され、1,329名の方が参加されているとの御答弁がありました。平成12年に介護保険制度が始まってから24年度までに、要支援の方が978人から3,590人と4倍近くも増加し、資料には図2に(←クリックするとPDFファイルが開きます。)介護保険給付費の推移を示しましたが、その保険給付費のうち介護予防サービスの給付費は、この制度が始まった平成18年度は約6億円であったものが、平成24年度には3倍以上の20億円を超えています。

■質問1
 現在、要支援の介護認定を受けている方々を、新制度移行後に、現在ボランティアで実施されている西宮いきいき体操によって対応することは果たして可能なのか、お尋ね致します。

■質問1に対する回答
 現在、要支援者に対する国の見直し案の内容は、現行の要支援者に対する予防給付のうち、訪問介護、通所介護の二つのサービスが平成30年4月をめどに新たに総合事業に移行されることが示されているところでございます。通所介護につきましては、既存の通所介護事業所による機能訓練などのほか、地域の住民が主体となって運営する運動、交流の場などの利用が可能となることとされております。
 平成25年10月の介護保険事業状況報告書では、要支援者数6,076名となっており、そのうち1,496名の方が通所介護サービスを利用されておられます。
 御質問の全ての要支援の通所介護サービスの利用者を西宮いきいき体操の参加者として受け入れることが可能かについてでございますが、本市が介護予防事業として取り組んでおります西宮いきいき体操は、要介護認定者を想定致しましたプログラムとはなっておりません。したがいまして、専門職のスタッフの配置や会場への送迎などの体制が整わないため、全ての要支援の通所介護利用者を西宮いきいき体操の参加者として受け入れることは、現時点では困難であると考えております。

■質問2
 要支援1・2の方々に対する介護予防サービスが地域支援事業に移行された際に、重度化を防ぐための介護予防の取り組みは、これまでどおり介護事業者においてサービスを受けられる環境を整備する必要があると私は考えます。
 平成29年度までの完全実施までに、様々な介護事業者との意見交換を積極的に実施し、現状と課題を把握しながら、制度設計と財源確保に向けて準備を進めていくべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問2に対する回答
 次に、制度改正に際し、円滑にサービスを受けられる環境を整備するため、介護事業者と良好な関係において制度設計の準備を行うことについてでございますが、さきに述べましたように、西宮いきいき体操では全ての要支援者の受け入れが困難と考えますことから、介護事業者を通じて、利用目的や頻度、提供時間など、通所介護の利用状況を調査し、利用実態を把握することが重要であると考えております。
 今後は、この利用状況の調査結果をもとに、サービスの質の確保などを十分に検討するため、介護事業者の御意見も踏まえつつ、制度改正後も円滑にサービスの提供が行えるよう努めてまいります。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 介護事業は、主に民間の介護サービス事業者が担っています。介護保険制度の大枠を決定するのは国ですが、地域の状況に応じて事業や制度を構築するのは市の役割であり、大きな制度変更が見込まれている際には特に、市と民間事業者の情報や意見交換を含めた連携を強化していくことがますます重要になると考えています。

 市民の介護環境を守るために、今後も動向を注視する必要があります。

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