産業振興に関する提言書を提出ー民生常任委員会施策研究テーマ

2020年11月14日[カテゴリ:コラム, 商工政策

 先月10月9日に、産業振興を担う民生常任委員会から「新型コロナウイルス感染症対応としての産業振興について」の提言を西宮市に提出しました。この冬の再拡大を見越し、12月議会での補正予算に間に合うよう緊急性を重視したため、関係機関との調整は不十分とはなってしまいましたが、今春の経験と市民の皆様から頂いたご意見を踏まえ、できる限りの調査と常任委員会での協議を経て提言をまとめ、提出しました。

 西宮市議会のホームページでもご覧いただけますが、こちら(←クリックするとPDFファイルが開きます。)が、その内容になります。

 私からは、以下の取組みを提案しました。財源のことも考慮し、新たな事業を実施するというよりも、これまでに実施を決めてきた事業の効果を高めるという観点を重視しました。そして、新たな事業の提案としては、縦割りのために実現できていないと思われる消費喚起対策を中心に提言しました。

提言書より抜粋
1.本市で実施予定の消費喚起の取組みの強化
(高齢者等に対する買い物支援の実施による消費喚起の強化)
 新型コロナウイルス感染症の再拡大が予想されることから、特に、高齢者や持病のある方が外出を控え、市内の店舗での買い物を控えるようになれば、今後の消費喚起事業の効果が低下することが予想される。また、消費喚起事業を実施することで、店舗が密集状態になることを抑制する必要もあると考える。これらのことから、今後、国や県、市が実施する消費喚起事業と合わせて、他市の事例にみられるような市内タクシー事業者と協働した宅配や、買い物代行、移動販売を実施する事業者等に対する支援を実施することを提言する。

(国の施策との連携)
 今後、国、県、市、それぞれが主体となって消費喚起を目的とした施策が実施されることとなるが、現状では、市民に対して情報が行き渡っているとはいえず、それらの施策を理解し、十分に活用できるとは思えない。そこで、国が実施する各種GoToキャンペーンを市民が十分に活用できるよう、先般配付された市政ニュース特別号や給付金等各種支援一覧表のように、紙媒体を含めて、情報が集まり次第迅速かつ詳細に広報することを提言する。
 合わせて、GoToキャンペーンを市内事業者が十分に活用できるように、キャンペーンに対応するために必要となる経費に対する支援など、必要な支援を講じるよう提言する。

2.本市で実施される新型コロナウイルス感染症対策事業との連携
(少子化対策・子育て支援による経済対策・産業振興)
 現在、本市で実施されている育児等支援サービスの提供事業は、里帰り出産ができなかった妊産婦のみとなっており、利用者が極端に限定されている。そこで、利用できる対象者を広げ、市内の民間事業者による有料の産前・産後のサポートの利用に対して補助することで、コロナ禍での子育て支援を拡充しつつ、市内産業の振興を図るよう提言する。

3.本市の既存事業を活用した市内事業者利用促進
(公共事業における市内事業者の支援強化)
 市及び市の公の施設等の指定管理者等が発注する工事、委託事業、物品の調達について、市内事業者の優先を強化するとともに、その金額や件数など発注状況については、産業文化局も把握し、関係部局との連携を強化するよう提言する。
 また、市発注工事等における下請及び使用建材、物品等の調達についても、さらに市内事業者を優先するよう求め、一定規模以上を協力した事業者に対しては、次回以降の入札において大幅な加点を設けるなどのインセンティブを付与することで、公共事業における市内事業者への発注率を高める制度を導入することを提言する。

4.他の部局の課題解消
(子供たちの昼食支援と市内飲食店、交通事業者に対する支援の連携)
 今春の市立学校の長期臨時休校により、多くの子供たちとご家庭が影響を受け、その影響の一つに学校給食の停止があり、ご家庭にとっては大きな負担となった。そこで、今後の新型コロナウイルス感染症の再拡大とインフルエンザの流行に備え、既存のインフルエンザによる学級閉鎖時も含めて、学校が一定期間臨時休業となった場合の昼食支援として、市内協力飲食店との協働により、他市で実施されているタクシーによる宅配(デリタク)を参考にし、ご家庭の負担を軽減すると同時に、子供たちへの栄養価の高い昼食が提供できる仕組みを準備するよう提言する。

(特殊詐欺対策と消費喚起の連携)
 市内に本店を置く事業者から「振り込め詐欺等対策電話機」や、自宅玄関に「防犯カメラ」を購入・設置した場合、その購入・設置費の一部を助成(半額助成、上限設定あり)することで、特殊詐欺の防止と市内事業者の販路開拓支援を実施することを提言する。

5.観光による産業振興
(GoToトラベルキャンペーン)
 国のGoToトラベルキャンペーンを活用して市内外からの誘客を図るために、市内の施設が実施する感染防止対策のPRをしつつ、コロナ禍に対応した観光プロモーションを実施するよう提言する。

(日本遺産の認知度向上キャンペーンの実施)
 新型コロナウイルス感染症が一定収束した後のことを見据え、今年度認定された日本遺産について、まずは、市民に理解を深めて頂くことに主眼を置き、市民向けにスタンプラリーと各種ポイント事業をセットで実施するなど、認知度向上キャンペーンを実施し、市内での経済効果を高めることを提言する。

(観光事業と市の消費喚起事業の連携)
 まちたび博を始めとする今年度の観光事業については、市民に対して市内の魅力を認知してもらうとともに、市が実施する消費喚起事業との連携を強化し、市内の店舗での買い物、飲食を促進するべきである。

6.その他
(不動産業界を通じた市民への支援)
 コロナ禍により、一定規模の収入が減少した世帯や事業者に対して、家賃減免を実施した家主に対する支援として、固定資産税に対する一定割合の補助金を支給するよう提言する。

 感染の拡大が少し収まっている間での提案でしたので、民間の反応が薄いとの情報もありますが、予想通りの感染症の再拡大を受け、市が縦割りの組織を乗り越えてどれだけの対応ができるのか、注視してまいります。

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