再び感染が拡大

2020年11月13日[カテゴリ:コラム, 危機管理

 先週11月3日のコラムで、「感染状況が増加傾向に転じたように感じている、備えの確認が必要」と掲載しましたが、北海道を皮切りに、新型コロナウイルスの感染の確認者数が、再び、しかも急激に大幅に増加してきました。しかし、今年の春に感じた恐怖感とは少し違うものを感じています。それは油断とは違い、恐怖感に加えて、備えた通りの対応を冷静に実施できるかどうか、備えたことが適切であったかどうかが明らかになるという緊張感のようなものです。

 春の場合、検査体制が貧弱であったことから、感染が確認された方はすでに重症化していて肺炎症状のある方が多く、医療機関も混乱したことから、得体のしれないものを前にした時の恐怖感しかなかったように思います。しかし、一度収まり、経済活動も継続しながら感染症対応をすると決めました。ですので、病気や行政課題でもよく言われますが、冷静な状況判断と早期発見、早期治療、早期対応が重要となります。

 西宮市では、先週の11月1日(日)~11月7日(土)の1週間で35名の方(そのうち市外在住の方は6名)の感染が確認されました。その前の週10月25日(日)~10月31日(土)は1週間で13名の方の感染が確認されていましたので(すべて市内在住)、大幅に増加したことがわかります。
 
 まず、先週は障害福祉施設においてクラスターが発生しました。11月4日の市からの報告では、利用者4名、職員2名、合わせて6名の方の感染が発表されました。そしてその後、陽性者の濃厚接触者と判定されて検査を受けて陽性が確認された方を合わせると11月7日現在で9名となっていますが、これまでと比較するとクラスターの検知と対応が早くなったのではないかと感じています。
 
 また、市立浜脇小学校に通う児童の感染も確認され、備えた通りの対応として金曜日は消毒のため休校となりました。そして、濃厚接触者はいなかったものの、念のために同じクラスの児童と職員を検査した結果、全て陰性であることが確認されたことから、長期の休業をすることなく今週から授業が再開されています。
 育成センターでの対応他の小学校での経験も活かされ、休業期間は大幅に短縮されています。

 先週1週間で確認された陽性者の年齢層は、10歳未満が1名、10歳代2名、20歳代9名、30歳代8名、40歳代6名、50歳代4名、60歳代3名、70歳代1名、80歳代1名と20歳代の方が多いものの、幅広い年齢層の方の感染が確認されています。しかし、11月7日時点で重症の方はおらず、無症状の方を含めて42名の方が入院されています。

 感染の再拡大については、要因が特定できていません。一部、経済対策のために実施された「GoToキャンペーンが要因ではないか」という主張も見られますが、以前にも掲載したとおり(←クリックすると7月16日のコラムが開きます。)、なぜ、GoToキャンペーンがやり玉にあがるのか理解ができません。このキャンペーンについても、単にお得な旅行や宿泊、飲食店を選ぶのではなくて、感染拡大防止対策を徹底しているツアー商品を選ぶなど、感染拡大防止を意識して活用しなければならないのは当然のことだと思っていました。再び制限を加えなければならないのであれば、一律ではなく、感染者の多い20歳代~40歳代の活動などに対象を絞るなど冷静な分析に従って制限するべきです。
 GoToトラベルを活用することによって感染防止対策を講じて、一生に一度の修学旅行を計画している学校もあります。学校での授業が感染に気を付けながら行われているなかで、根拠のない制限、雰囲気によって修学旅行が中止されることがないことを祈るばかりです。

 今週に入って、10日(火)に過去最多の17名の感染が確認され、それから今日まで4日連続2桁の感染が確認されており、発表される感染者情報の内容に「調査中」の記述が増えてきました。11日は11名全て把握されていましたが、10日は17名中8名、12日は15名中6名、13日あ13名中8名の方が調査中となっています。
 保健所の調査が追い付いていないのであれば、濃厚接触者の特定が遅れ、感染の拡大を許してしまうことになります。私たち市民に対する「調査中」の発表は仕方がないにしても、陽性者への適切な対応と濃厚接触者の特定だけは絶対に遅れてはなりません。これまで検査体制を強化してきた効果が半減します。
 市役所では未だに不急の新たな方針策定などの事業が進められていますが、そのようなことに人員を割いている余裕があるのであれば、保健所業務に対してもっと迅速な応援ができるよう体制を敷くべきです。

 引き続き、動向を注視してまいります。

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