メンタルヘルスと不良不適格職員の分限処分ー令和元年12月議会一般質問

2020年7月16日[カテゴリ:市役所改革, 質問

昨日、西宮市では、安井小学校での感染拡大はなかったことが判明した一方で、全国で455名の感染が確認され、兵庫県では12名、お隣の大阪では61名の感染が確認されました。

先日から、「感染者数の発表によって一喜一憂するフェーズは終わり、感染の確認によって、備えた通りの対応をするフェーズに入っている。」と書いてきました。その「備え」の選択肢には、もちろん緊急事態宣言もあり、また、再び緊急事態宣言が発出された際の対応も備えておかなければなりません。

そのような中、感染者数が増えたことにより、マスコミやSNSの中で、「Go Toキャンペーン」の実施に反対する、疑問を呈する主張が強くなってきました。私も不安を感じている一人ですが、スポーツや文化芸術活動が応援される中で、観光や旅行だけがなぜやり玉に挙げられるのか気持ち悪さを感じています。

もちろん、キャンペーンを何が何でも実施するべきと考えているわけではありません。

何が気持ち悪いのか。

まずは、「観光もソーシャルディスタンスや新しい生活様式を守れば大丈夫なのではなかったのか。」という点です。

無症状や軽症の感染者数がどんどんと確認される中、なんとなく、ウイルスが旅行によってさらに拡散することを恐れてしまうのですが、ウイルスは観光、旅行に限らず、経済活動を続ける限り拡散し続けるものと覚悟しなければならないと私は思っています。
東京で行われた観劇を鑑賞した人が地方にウイルスを持ち帰ったように。
本当に怖いのですが、それが現実です。
そして、新しい生活様式が元々完全に感染を防げる対策ではないことも、薄々実感している人も多いのだと思います。

次に、「なぜ、観光だけことさらに安全性を求めるのか。」という点です。

旅行者の安全性をPCR検査等で確認することなど、キャンペーンの対象者が1億2000万人(予算上は、のべ6500万人が利用できるそうです)もいる中では、とうてい無理な話です。
結果的にクラスター化した観劇の鑑賞をする人の安全性を確認してこなかったように。
今春にライブハウスが初めてのクラスターとなったことを経験した後にもかかわらず。
感染した人が悪いのではなく、感染症というのはそういうものなのです。

もうひとつキャンペーンの中でできる対応として考えられるとすれば、「感染が拡大中の地域住民は対象としない」、「感染が拡大中の地域への旅行は対象にしない」とすることですが、公平性を考えるとおそらく無理なのでしょう。こんな制度にしたら、東京にお住まいの方は怒りますよね。「自分は感染していないのに!」と。また、線引きするとなると兵庫県も微妙になります。兵庫県もアウトに指定されれば、但馬地域の人たちは怒ると思います。
そのような線引きが可能なのであれば、国土交通省が制度を提案した時点で「備え」の候補に入れていたはずです。
それくらいのことは想定して制度設計していたと信じたいです。

最後に、「なぜ、このようなタイミングで実施されるような予算が国会で認められ、今頃になって騒ぎだしているのか。」という点です。

そもそもこの時期にワクチンも薬も開発されていないことは分かっていたことです。キャンペーンを実施しても慎重な人は旅行しないでしょうし、旅行が好きな人は、緊急事態宣言が発出されていない限り、キャンペーンがなくても旅行をすることくらいは想像がついたはずです。

そうしたことを考えた時、
・税金がどれほどの呼び水となり、いかほどの経済効果を生むことができるのか。
・その経済効果に対して、感染拡大リスクはどのくらい上昇するのか。
・その結果、医療が切迫する事態になった場合、観光業界以外の経済へのマイナスの波及はどうなるのか。
・スポーツや文化芸術活動がしているように、もっと感染拡大を防止しながら観光を楽しめるよう工夫できることはないのか。
・そうした工夫をした旅行のみをキャンペーンの対象にできないのか。

くらいのことは、国会で議論されたはずですが、なかなか情報にたどり着けません。

「経済を犠牲にして8割の接触削減をすることで感染者の確認数を減らした」という経験をした私たちが、まだまだ続く新型コロナの環境下で経済を回すということは、一つ一つの政策について上記のようなことを慎重に考えて、丁寧に進めていかなければならないということだと感じています。

国土交通省には、しっかりと説明をお願いしたいと思います。

そして、私たち個人は、自衛するしか手立てがなく、他人にうつさないように気を付けなければならないという状態は、今春と状況は変わっていません。国民一人一人が自衛をするためには、身近で起こっていることを把握するために正確な情報が必要であることも、私の考えに変わりありません。

春先からずっとこのコラムでも書きましたが、今回の安井育成センターの経験をして改めて、感染の情報に関しては、氏名と住所の番地を除いてすべて公開した方がいいと感じました。接触確認アプリも有効かもしれませんが、使えない世代もありますし、自分が感染することへの注意喚起にはならないと思います。

より注意すべき地域の人たちにも注意報を出して、「自粛」ではなく「自衛」を促すべきと思っています。

「感染者数の発表によって一喜一憂するフェーズは終わり、感染の確認によって、備えた通りの対応をするフェーズに入っている。」というのはそういうことだと私は考えています。

前置きが長くなりましたが、今回も市議会一般質問の掲載です。
これで、令和元年12月議会での議論の掲載は最終となります。

市には、長期間病気で休んでいる職員が随時数十名います。
そして、この新型コロナウイルスの対応のため、激務が続いている部署があります。
限られた財源で市を運営しなければならない以上、職員数を際限なく増やすことはできません。

職員が病気にならないよう、仕事の負担の平準化や不適格職員の処遇の厳格化など職場環境をマネジメントできる市役所改革が必要です。

=====本会議場での議論の概要=====

令和元年12月議会一般質問

3.行政の信頼性向上に向けた市役所改革について
ウ)長期休職者への対応
こちらは、今年(令和元年)の3月議会(代表質問)(←クリックすると内容を掲載したコラムが開きます。)で取り上げた続きとなります。
■質問の背景 
表2のとおり、平成26年度から30年度の市職員の私傷病による長期休職者(以後「休職者」と呼びますけれども)、その過去5年間の状況が年間41名から52名の範囲で推移しております。

今年3月の質問におきましては、過去5年間で休職日数の最も多い職員は3,631日、続いて2,350日、そして2,128日となっておりまして、3番目の2,128日休んだ方は現在も在職していることが明らかとなりました。
また、通算の休職期間が3年以上の職員、1,000日以上の職員が過去5年間で24名もおりまして、そのうち現在在職中の職員は12名もいることが判明致しました。
今も対策が講じられた形跡はありませんが、このような初歩的なことが解決できないようであれば、行政経営改革など高度な改革は不可能と考えます。
 
■質問1
平成30年度の長期休職者数は52名、そして延べ日数は8,875日となっておりますが、この職員に支払われた給料を教えてください。
■質問1に対する市の回答
 まず、平成30年度中に私傷病により休職していた職員52名に対する給与費は約7,400万円でございます。

■質問2
これらの職員に対して各所属長は休職者1人当たりどの程度の頻度で面談を実施し、平成30年度で何名の職員が復職したのか教えてください。
■質問2に対する市の回答
私傷病休職職員に対する復職支援についてですが、平成30年度に休職していた52名の職員のうち、本年11月30日現在、復職している職員は29名、復職することなく退職した職員は9名、現在も休職中の職員は14名となっております。
 
また、所属長は、月に1回程度、定期的に休職中の職員本人や家族と電話、面談等により療養状況の確認を行うこととしております。このほか、所属長は、休職期間の延長や病状の回復による復職の判断時には、職員や主治医との面談を実施し、また、産業医の意見なども参考にしながら、職員の療養状況などに応じて試し出勤の検討を行うなど、さまざまな復職支援を行っております。

■質問3
今の対応では効果が上がっているとは言えないと考えますが、今後具体的にどのような対策をいつまでに講じるお考えなのかお尋ね致します。

■質問3に対する市の回答
職員が休職に至る原因につきましては、メンタル不全によるものが多数を占めておりますが、これは、市民ニーズが多様化し、担当業務がますます専門・高度化していることによる業務負担があることや、職場での人間関係、さらには、家庭・友人関係における悩みなど、さまざまな要因が複合的に影響しているものと考えております。

本市といたしましても、健康面で新たな不調者を出さないよう、まずは早期発見・早期対応に努めているところでございます。しかしながら、メンタル不全で休職に入る職員の中には、一度復職してもまた調子を崩して休職に入ってしまうことを繰り返す事例も見られることから、復職後において職員が人事課の保健師や専門カウンセラーに面談や相談ができるフォロー体制も整え、対応しているところでございます。

なお、本市では、連続する傷病休職の期間の上限は、条例により3年を超えない範囲内とされているところでありますが、例えば短期間の復職を挟み休職を繰り返すことにより、通算で3年を超える休職を取得することが可能な状況となっております。このような事例により、長期にわたって職場での欠員状態が続くことになると、公務能率や職場職員のモチベーションの低下をもたらすことも考えられることから、今後、休職から復帰後の一定期間に再度休職となる場合に、復職前の休職期間と新たな休職期間を引き継いだものとして通算する規定の整備についても検討してまいります。

■意見要望
(長期休職者に対して)年間7,400万円の給料が支払われているということです。そのほか、共済等市の負担を合わせると、聞くところによりますと1億円を超えると聞いておりますので、仕事ができない状態になっている職員さんは気の毒なのですが、その部分に市民の税金が使われているということを忘れてはいけないと私は思っております。
今回、条例の規定の整備ということにも触れていただきましたが、その点、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
最後に、新たに長期休職者が出る数を減らしていくという意味でも、メンタルヘルスもあわせて対応していただくよう要望します。

=====ここまでが、本会議場での議論の概要=====

(追記)
このコラムを公開したその日の晩、21時30分ごろ、市職員の不祥事の報告が飛び込んできました。
スクーターを酒気帯び運転したことによる逮捕とのことです。
市は、「詳細は不明ですが、事実関係が明らかになり次第、厳正に対処します。」としています。
(追記終わり)

引き続き、長期休職者や不良不適格職員に対する市の対応について注視してまいります。

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