行政経営についてー連携公立幼稚園

2020年12月30日[カテゴリ:子育て・教育, 市役所改革, 質問

 タイトルと掲載内容に差異があるように感じるかもしれませんが、ご容赦ください。

 西宮市はおよそ19年前から「行政経営」という言葉を使い始めました。そして、2年前ぐらいから改めて強調され始めた「行政経営」とはいったい何なのか、私は初当選以来17年間、一度も実感したことがありませんでした。
 そこで、具体的に市が直面している課題に対する対応を事例に挙げ、職員一人一人が「行政経営」の意識をもって取り組めているかということを令和2年12月議会一般質問で取り上げて議論しました。

西宮市の待機児童対策
 具体的に西宮市が長年取り組み続けている課題の一つに「待機児童」があります。
西宮市では今年4月時点で936名もの児童が希望する保育所等に入れない状態となっていました。「利用保留」と呼ばれています。
 そのうち、①保護者が育児休業中の方が126名、②求職活動を休止している方が66名、③企業主導型保育事業を利用している方が113名、④特定の保育所等のみを申込されている方などが286名いらっしゃいます。国が定義する待機児童は、実際に保育所を希望して入所できていない児童から①~④の方を差し引いて345名となります。

 一方で、西宮市には、市が運営する市立幼稚園と学校法人等が運営する私立幼稚園がありますが、市立幼稚園(満4歳と5歳児が対象)では、保育所需要の増大と少子化の影響により通園児童が激減し、21園中8園が休園しています。また、私立幼稚園(満3歳~5歳児が対象)では、園によって終了時間は異なりますが、希望者のみを対象にして14時以降も「預かり保育」が実施されているものの、市全体では通園児童が減少しており、令和元年と令和2年の比較でも大きく減少していることが下の表からも分かります。なお、平成18年度の私立幼稚園通園者数は8415名で、令和2年度はついに7000人を割るという状況になっています。


 
 以前に、待機児童を長年発生させ続けた西宮市では、0歳~2歳児の待機が多かったことから、地域型保育施設と呼ばれる0歳~2歳児を対象にした小規模の認可保育所を設置してきました。最初は順調だったのですが、その後の対応が追い付かず、やがて3歳以降の受入れ枠が不足することとなり、いわゆる「3歳児の壁」が生じる事態となりました。

 そこで、保護者の就労環境によっては、保育所を利用せずとも、この私立幼稚園での預かり保育事業を利用することで、働きながら子育てが可能となる世帯も少なくないことから、私立幼稚園にも協力を仰ぎ、私立幼稚園預かり保育支援事業(協力幼稚園事業)を実施し、待機児童の受入れをして頂いてきした。
 私立幼稚園預かり保育支援事業(協力幼稚園事業)を拡充するまでの経緯については、 以前のコラム(←クリックするとコラム「私立幼稚園預かり保育支援事業(協力幼稚園事業)」が開きます。)に掲載していますので、是非ともご一読ください。

 この支援事業の拡充前と拡充後で利用者が49名も増加し、令和2年度は76名の児童が私立幼稚園に通園しています。ほぼ3倍増です。私立幼稚園での預かり保育活用の有効性は確認されました。

 昨今は、育休制度の普及等により満1歳児の待機が非常に多くなっていることから、令和3年度から満1歳~3歳児を対象とした民間の小規模保育所を新規で整備し、この小規模保育所の卒園児が確実に引き続いて保育所に入園できるよう、いわゆる「4歳児の壁」を作らないように、市立越木岩、夙川、高木幼稚園を連携公立幼稚園と位置づけて預かり保育を実施し、令和4年4月から小規模保育所卒園児を受け入れることとなりました。なお、令和3年度から開所予定の満1歳~3歳児を対象とした民間の小規模保育所制度は、国の特区制度を活用しています。

 しかし、公立幼稚園において預かり保育を実施するということは、また高給の公務員を長期で採用することになることから、この連携公立幼稚園を増やすことには慎重にならなくてはならないと私は考えています。それは今の子供たちが将来大人になった時のためにです。 
 国で議論されている待機児童対策においても、もっと社会情勢の変化を詳細に見て対策を講じなければ、この問題を解消するのが困難どころか、将来に大きな負の遺産を残してしまうことを懸念しています。

 以下、令和2年12月議会における議論の概要を掲載致します。

====本会議場での議論の概要====

令和2年12月議会一般質問

1.行政経営について
■質問の目的

 本市では現在、「行政経営改革」に取り組んでおります。西宮市が16年前から使い始めた「行政経営」とは何なのか、具体的な事業を3つ挙げまして、今日は問いたいと思っております。

 私は、行政経営とは、「将来の社会状況も見据えながら持続可能な財政を確立し、住民福祉の向上のために、限られた資源を最大限に活用しながら最少の経費で最大の効果を上げること。」と言えると思っております。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って来年度以降の財政悪化が懸念されております。また一方で、近年、職員数の増加(←クリックすると資料が開きます。)に伴って人件費は増加し続けており、経常収支比率は令和元年度決算で99.6%といよいよ100%に近づき、財政が再び硬直化しています。このような時こそ、今ある資源の中で、いかに課題を解決するかが問われており、単に職員数を増やすことで喫緊の課題を解決するという旧態依然とした発想を捨てなければならない考えています。
 
 というのも、将来の人口減少時代を見据えた時、無造作に市職員を増やすことを厳に慎まなければ、今の大人たちの都合で、今の子供たち、将来世代に重い負担だけを残すことになりかねません。それだけは絶対に避けなければならないという思いで、この項目を取り上げることと致しました。

 その点を踏まえて、以下ご答弁頂きたいと思います。

ア)連携公立幼稚園
■質問の背景

 本市においても、確実に少子化が進行しているものの保育所需要率が上昇を続け、この10年間で定員を3037人も増やしたにもかかわらず、今年度4月時点で待機児童が345名となり、解消には至っていません。
 そこで、待機児童の解消策として、令和4年度から、越木岩、夙川、高木の市立幼稚園3園を連携公立幼稚園とし、預かり保育を始めるとの発表がありました。
 市立幼稚園を頑なに堅持した上に、施設の空いている部分だけを経営資源として捉え、担い手となる「公務員」を新たに採用して対応するという考え方は、長期的には人件費が固定して上昇することとなり、将来を見据えた行政経営とはかけ離れた発想であると私は考えております。

■質問1
 保育士不足が深刻な状況となっている中、保育士・保育所支援センターを整備し、保育士の確保を支援することについては評価できるものの、一方で、連携公立幼稚園において、高い処遇で採用することで、民間保育所等での保育士不足に拍車をかけ、かえって待機児童が解消されない事態となることも懸念されます。連携公立幼稚園制度を始めるにあたって、採用する正規職員及び会計年度任用職員の人数及び人件費をそれぞれどのように試算し、雇用条件をどのようにするお考えなのかお尋ね致します。

■質問1に対する市の回答
 対象幼稚園の園児数が増加することによってクラスが増えた場合、1園当たり最大で2名、3園で最大合計6名のクラス担任が必要となります。その増員分については臨時講師を任用し対応することを考えております。
 また、朝夕の預かり保育については、預かり保育を担当する職員の配置を検討しており、園児20人につき1人の職員の配置が必要となることから、当該制度の対象となる園児を最大40人受け入れた場合、朝夕の時間帯にそれぞれ最低2名の担当職員の配置が必要となります。想定として、1園当たり最大で6名、3園で最大合計18名の会計年度任用職員の任用を検討しております。
 人件費につきましては、クラス担任と預かり保育担当職員について、いずれも最大人数の配置を行った場合、クラス担任の人件費は1園当たり1,061万6,000円、預かり保育担当職員の人件費は1園当たり2,412万円と試算しております。なお、幼稚園の預かり保育事業は、国・県補助の対象となり、事業対象児童数に応じて1園当たり最大約500万円の歳入を見込んでおります。

 そして、預かり保育担当職員については、当該事業の性格から、非正規職員の任用とし、勤務条件についても、早朝からと午後・夜間に区分けした変則的な勤務時間とする予定としていること、幼稚園教育を十分理解した上で預かり保育にも従事することなどから、民間保育所での保育士と完全には競合しないものと考えております。

■質問2
 令和4年度より預かり保育を実施する3園を選定した基準をお示しください。合わせて、この3園での預かり保育を終了する基準やその際の職員の再配置について、市の方針をお尋ね致します。

■質問2に対する市の回答
 本事業の実施を検討するに当たり、認可保育所を設置・運営する事業者を募集している地域で予定している保育所の整備だけでは数年中の待機児童の解消が見込めない地域のうち、各公立幼稚園の所在する小学校区の平成31年4月時点の利用保留児童(保育所に申込みをして入所できなかった子供の数)を比較し、利用保留児童が多い地域の園を優先して3園を選定致しました。
 事業を終了する基準につきましては、本事業が待機児童対策を主眼として実施するものであるため、待機児童が解消され、かつ当該地域の保育所への申込みが増加する見込みがない状況をめどとして、事業継続に係る判断をしたいと考えています。待機児童の早期の解消に向け、近隣保育所や私立幼稚園での受入れも含め、対策の推進に努めてまいります。

■質問3
 今年度より、私立幼稚園に対して新たな協力幼稚園制度を実施したことにより、利用児童が昨年度から49名増えて76名の児童が利用しています。今後は、待機児童解消のために連携公立幼稚園を増やすのではなく、私立幼稚園に対しても人員確保のための支援を実施し、確実に小規模保育所卒園児童の入園枠を設けてもらうことで私立幼稚園を連携幼稚園として活用すべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問3に対する市の回答
 幼稚園に対する人員確保の支援につきましては、令和2年度から拡充した協力幼稚園事業を実施しており、預かり保育に必要となる教員の人件費を補助しております。本事業の実施に当たっては、西宮市私立幼稚園連合会と効果的な実施手法について協議を行ってまいりました。今後も引き続き、実施園や受入れ児童数の拡大に向けて、必要となる支援の検討も含め協議調整を継続してまいります。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 連携公立幼稚園におけるクラス担任は臨時講師ということですが、臨時とついていますが、ほぼ正規職員と同等と考えていいと思います。また、預かり保育担当職員も「幼稚園教育を十分理解した上で預かり保育にも従事する」とありますから、高給かつ安定性のことを考えると、保育士不足、幼稚園教諭不足にますます拍車をかけることが心配されます。

 また、連携公立幼稚園の開始を判断した基準も終了する基準も極めて不明瞭であることがはっきりし、「待機児童が解消され、かつ当該地域の保育所への申込みが増加する見込みがない状況」になれば終了するとの回答がありましたが、一度採用した職員の処遇については触れておらず、こうした市の回答を勘案すると、そう簡単に終了することはできないと考えておくべきです。

 公立幼稚園の預かり保育の活用で120名を受け入れるために年間約1億円の市税を投じることになる計算になります。
 一方で、私立幼稚園の預かり保育を活用できれば、補助金の上限から計算すると76名の受け入れで年間約2400万円(令和2年度予算は約2700万円)となります。市が実施する預かり保育で受け入れられる児童の人数に対して必要となる市税は、私立と比較して2.5倍以上にもなるのです。

 これらのことから、市全体で考えた時、私立幼稚園に対して人員不足対策などの支援を実施して保育事業にご協力いただいた方が、効率的かつ質の高い保育が実践できることは一目瞭然です。私立幼稚園の協力が得られないようであれば、今の市長に行政経営は無理だと判断せざるを得ません。

 一般質問は、まだ続きますので、次回以降のコラムで掲載します。

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