再び緊急事態宣言対象地域に

2021年1月14日[カテゴリ:コラム, 安心・安全

 昨日、兵庫県が再び緊急事態宣言の対象地域に入りました。昨春の宣言時とは異なって、経済を一定回しながらの制限となり、宣言に伴う行動基準が極めて不明確です。特に、「午後8時まで」という時間制限や「〇人まで」という人数制限は、いまいち根拠に乏しく説得力を持ちません。
 また、新型コロナウイルスに関する情報が溢れ、ウイルス自体に対する考え方が多様になったことで活動するうえで戸惑うことが多くなっているなかで、「不要不急」というあいまいな基準も人によってとらえ方が異なってきます。


 
 先週末に、京都府、大阪府、兵庫県の知事から2府1県を緊急事態宣言の対象地域に加えるよう要請されて国がどう判断するのか非常に不透明な状況であった時点ではありますが、例年通り1月9日(土)~11日(月)の9時半から23時まで、火を使う露店の出店がなかった「えべっさん」の火災等の警戒のために、私が所属している消防団の分断が仮設のテントに詰めていました。


1月10日の晩10時頃の写真
(例年はこの時間でも大混雑する時間帯ですが、今年はまばらでした。)

 私は「今年の警戒は不要不急ではないのか。」と感じつつも、消防団本部からの命令のもと、火の気も大きな混雑もない中で時短をすることもなく、5名以上の団員が一ヶ所に長時間詰めることになりました。「不要不急」という基準は極めてあいまいで、特に団体で意思決定をしなければならない活動を制限するのは難しいと感じます。
 ただ、分散参拝が呼びかけられ、歩行者専用となる交通規制が例年よりも4時間ほど早めに解除されほどに参拝者が例年よりも少なく、幸い、火災も救急搬送もなかったことはよかったと思います。

 さて、西宮市の感染状況を見てみますと、先週1月3日(日)~1月9日(土)の1週間は、191名(そのうち市外在住の方は17名)の感染が確認されました。その前の12月27日(日)~1月2日(土)の1週間は79名(そのうち市外在住の方は12名)でしたので、大幅に増加しました。これは、年末年始の医療機関の休診の影響もあると思われますが、2週間単位で見ても12月27日~1月9日に確認された陽性者数は270名で、その前の2週間の12月20日~1月2日の184名、さらに前の2週間12月13日~26日の231名と比較しても増加していることが分かります。

 年齢層の変化を見てみますと
(12月20日~26日)⇒(12月27日~1月2日)⇒(1月3日~9日)
全体:105名⇒79名⇒191名
10歳未満:5名⇒2名⇒8名
10歳代:4名⇒8名⇒17名
20歳代:18名⇒11名⇒45名
30歳代:14名⇒7名⇒25名
40歳代:13名⇒10名⇒26名
50歳代:18名⇒14名⇒24名
60歳代:10名⇒10名⇒21名
70歳代:12名⇒11名⇒12名
80歳代:6名⇒4名⇒12名
90歳代:5名⇒2名⇒1名
と変化しており、20歳代の方の増加が目立ち、クリスマスや年末行事での会食が影響していると考えられます。
 
 そして、先週は4名の方がお亡くなりになりました。70歳代の方が2名、80歳代の方と90歳代の方がそれぞれ1名です。心からご冥福をお祈り申し上げます。

 お亡くなりになられた方の中で、陽性確認の発表と同日にお亡くなりになられた方がおられます。関東では検査前に亡くなられるケースが報道される中で、西宮市内では何が起こっているのか、情報が全く開示されておらず原因も分かりません。介護施設利用者なのか、家庭内感染なのか、どのような生活をしていて感染した可能性があるのかもわかりません。

 また、前回のコラムにも掲載した通り、行政検査と保険適用の検査を合わせたPCR検査数は、先週(1月3日~9日)が1082件で、1日平均約155件となっています。その前の週(12月27日~1月2日)は年末年始の影響で545件と少なかったと考えられますので、その前の週(12月20日~26日)の1259件(1日平均約180件)と比較してもまだ検査数は元には戻っていません。その結果、陽性率は17.7%で2週間前の週の2倍以上になり、先週第1報として報告された陽性者191名の方のうち106名の方が「調査中」として発表されていることを勘案すると、保健所による濃厚接触者の特定、積極的疫学調査が難航し感染拡大のスピードに追いついていないと推察されます。

 これでは早期発見・早期対応による感染拡大の抑制はもはや困難と考えるのが普通であり、さらに民間の専門職の方々ができる業務を委託するなどして保健所によるコロナ対応をさらに強化するしかないと思います。
 しかし、保健所の強化にも限界がありますし、迅速に感染者を隔離することをあきらめなければならない事態になっているのであれば、感染していない人の外出抑制を徹底して感染者との接触確率を極端に下げない限り感染拡大が止まらないのは明白です。

 「緊急事態宣言」を発出しなければならない状態であると政府が判断した以上、期間を集中して各自治体を通じて具体的なメッセージと共に徹底した対策を講じなければ、医療環境のためにも経済のためにもならないと思います。

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