西宮市のはね橋についてー令和2年12月議会

2021年1月20日[カテゴリ:その他政策, コラム

 西宮市には、西波止町と西宮浜を結ぶ跳ね橋が設置されています。このはね橋の名称は御前浜橋と名付けられ、阪神間に残された貴重な砂浜(御前浜・香櫨園浜)の景観の一部にもなっています。
 しかし、最近マスコミでも取り上げていただいていますが、この御前浜を生活道路として利用している住民から「船がほとんど通っていないのに開閉を続けるのはおかしい」という意見がクローズアップされました。


御前浜橋

 この跳ね橋は、設置した当時の船舶の通行状況を鑑み、住民の利便性を考慮して開閉の時間を定時に固定し、土日祝日のみ4回(跳ね橋設置当時は5回)15分間歩行者等の通行を止めることで、一定の高さの船の通行を可能にしています。ですので、この時間の通行を避ければ待たされることはありませんが、鉄道の踏切でふいに15分も待たされることを想像すれば、不便を感じる住民がいらっしゃることも理解はできます。ですので、可能なのであれば、環境改善をすべきだと思っています。

 この跳ね橋が設置された経緯については、以下の請願の本文をご覧ください。

 ポイントは「海上の自由航行の原則」というものですが、当たり前のこと過ぎて、法律に明文化されているものは見つかりません。「地上において例えると、歩道はどこを歩いても自由であり、歩行者が通行できなくなるようなものを歩道上に置いてはいけないのと同じ」と説明されます。海上に船舶が通れなくなるような橋をかけてはいけないとされている中で、開閉可能な橋を設置することによって、船舶の航行と歩行者や自転車の利便性を同時に確保したということを知っておく必要があります。

 それを知ってか知らずか、一方的な主張に対して肩入れしているともいえるマスコミの報道をみて、海の利用者から市議会に対して、跳ね橋設置の経緯を踏まえ、住民の一層の利便性の向上に向けた協議調整を市に求める請願が12月議会で提案されました。論点は、「海上の自由航行の原則を確保しつつ、さらに住民の利便性を上げる方策を模索する」という内容でした。

 もう一つ誤解されているのは、この海域は確かにレジャーやスポーツのための船舶が通行することがメインなのですが、海上保安庁の船舶も緊急で通行することがあることを知らない方が多いということです。ですので、遊ぶ人のために橋を開閉しているのではなく、様々な用途の船舶の航行の自由を確保しておくために開閉していて、その開閉のルールは地上の通行者の利便性に配慮して決められているということを理解しておかなくてはなりません。

 地上の利便性だけを主張した請願も提出されましたが、海上の自由航行の原則を無視した一方的な主張であったこともあり、不採択となりました。

 西宮市議会で採択された請願の内容は以下のとおりですが、その前にイメージができるかと思いますので、写真を2枚掲載致します。


↑ 昨年10月、西宮浜義務教育学校の開校式に参加した際に、西宮浜の歴史を紹介した写真展が図書室でありましたので、撮影させて頂きました。震災直後に西宮大橋が通行不能となり整備された連絡道路の形状がイメージできる写真です。

 なお、通行不能となった当時の西宮大橋が分かる写真も展示されていました。

====請願の内容====

御前浜橋の開閉のあり方に関する請願

(請願趣旨)
 現在、私ども「阪神地区マリン利用促進協議会」が開閉作業を行っている御前浜橋(通称「跳ね橋」)について、このたび複数回にわたり、マスコミに取り上げられました。
 しかしながら、以前からの報道や今回の報道に関して、いずれもこの橋が整備された経緯やそもそもの考え方についての理解が極端に不足しており、事実関係が歪められて伝わっているのではないかと危惧しております。
 このため、跳ね橋の整備の経緯や私ども港湾利用者の姿勢及び考え方を市議会議員の皆様に改めてお伝えしご理解頂いた上で、跳ね橋の開閉のあり方について西宮市に働きかけて頂きたく、ここに請願いたします。

1.橋の整備までの経緯
平成7年に発生した阪神淡路大震災により、西宮浜と市街地を繋ぐ唯一の橋であった西宮大橋が損壊し通行不能となり、橋を管理する兵庫県が、橋の復旧工事が完了するまでの暫定の通行対策として、御前浜付近の海を埋め立てて仮設の連絡道路を整備しました。これがその後に跳ね橋を整備する発端となりました。
②この仮設道路の整備については、「船舶が湾内を自由に航行できなくなること」、「海流が遮られ、水質が悪化することが懸念される」等の理由から、私ども港湾利用者としては受け入れがたいものでしたが、被災に伴う緊急的かつ暫定的な対策であることから同意致しました。
③その後、産業団地として整備された西宮浜に、被災した市民のための仮設住宅や復興住宅の建設が進み、平成8年5月には西宮大橋の復旧工事が完了しましたが、復興住宅など西宮浜の住民からの強い要望があり、西宮市は、仮設道路の撤去後も、徒歩や自転車での通行が可能な道路整備を行う方針を打ち出しました。
④仮設道路については、あくまでも暫定的な措置として同意致しましたが、正規の連絡道路を作るとなれば、従前の船舶の利用環境の復元が不可欠であり、湾内を自由に航行できる状態に戻すことを前提に検討されました。
⑤こうしたことから、港湾管理者である兵庫県、海上保安庁、そして、私ども港湾利用者が協議を重ねた結果、「海域の自由航行が原則である」という大前提が再確認されることとなり、連絡道路の整備にあたっての前提条件として提示されました。
⑥これを受けた西宮市からは、歩行者や自転車の通行のため、できるだけ起伏のない平面的な道路としながらも、橋を開閉することで船舶の自由航行にも対応できる可動型式(跳ね橋)での整備案が提案されました。
⑦この提案に対し、港湾利用者としては、常時自由航行はできないにしても、開閉可能な可動橋であれば、船が航行できる時間を一定確保できると判断するとともに、市民の生活道路としての利便性も理解し、土日祝日の1日5回(平成23年度より現在の1日4回に減少)と開閉時間を決め、整備に対して協力することになりました。そして、現在の跳ね橋が平成11年に完成致しました。

 このように、跳ね橋の整備と橋の開閉による船舶の航行の確保というものは、本来一体不可分なものとして計画、整備されてきたことをご理解頂きたいと思います。

2.現状に対する私どもの考え方
①マスコミ等の報道に「船が通ってもいないのに橋を開閉するのはおかしい。」「開閉操作自体が無駄ではないか。」などの内容が含まれておりました。しかし、土日祝日の1日4回の決められた時間に、1回あたり開閉時間を含めて15分という、極めて限られた開閉時間しかないことが、船を通りにくくさせ、時の経過とともに、通過する船舶の数を減らしてきたのが事実です。
②西宮浜の南側から芦屋浜に至る御前浜の海域は、波や風が穏やかで船の通行には安全で通りやすいことから、現状よりも開ける回数を増やし、その時間を長くとっていただければ、今より船は通ることになります。つまり、現状は、港湾を利用する船舶にとっては、航路を大きく制限され、不便を強いられてきた結果なのです。
③しかし、市街地と西宮浜を繋ぐ橋のうち、西宮大橋よりも跳ね橋のほうが通行しやすく、住民の利便性が高いこともよく分かっていますので、決して住民の皆様の利便性を考えずに自由航行の原則のみを押し通す考えはありません。
④ご理解頂きたいことは、まず、元々自由に通れていた海が先にあり、阪神淡路大震災以降、様々な関係者の知恵と努力の下で、海と陸のそれぞれの利用者が少しずつ譲り合い、協力しあってこの橋の通行と船舶の航行が両立できてきたということです。

(請願事項)
 1.西宮市として「海域の自由航行が原則である」ことを市民に対して正確に説明し、今後、西宮浜の住民の皆様の一層の利便性向上に向けて、市が主体的に関係機関及び港湾利用者と橋の開閉方法等の見直しに関する協議調整を進めるよう働きかけてください。
 2.橋の開閉方法等の見直しについては、私どもは陸の通行の利便性がさらに向上するよう十分に検討致しますので、市におかれましても、船舶の航行が一定確保される方法について検討してください。

 私たちは、海から様々な恩恵を受けて暮らしてきました。そのことを市民や市の方々にも十分に理解していただきたいと思います。そして、海を利用し、海とともに暮らしていくことで、西宮市の魅力が一層向上することを願って今回の請願の結びとします。

====以上が原文====

住民の一層の利便性向上につながるよう、解決されることを市に対して求めて参ります。
 

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