行政経営について②ー公立保育所の民間移管

2021年1月23日[カテゴリ:保育所政策, 質問

令和2年12月30日のコラムの続きです。

これまで、公立保育所の民営化、民間への移管の必要性について、本会議場で提言し続けてきました。

平成15年12月議会一般質問 
平成24年3月議会(包括外部監査報告書質疑)
平成24年6月議会一般質問 
平成27年12月議会一般質問 
平成30年12月議会議案質疑 
平成31年3月議会代表質問
↑それぞれクリックするとコラムが開きます。ご参考までにご覧頂ければ幸いです。

 しかし、一向に動きが見られず、「行政経営改革」を進めるとする一方で、真に改革すべきこの件についてはほぼ放置。
 さらに、コロナ禍で財政が厳しくなるかもしれないとして、これまで6年間もかけて念入りに、施設の必要性から再整備すべき施設規模まで議論し、ようやく入札の手続きに入っていた西宮市中央体育館や陸上競技場等の再整備事業をいったん止めましたが、この件については全くの放置。
 西宮市役所は、スポーツ施設の環境悪化という市民サービスの低下を許しても、非効率に多額の市の財源を費やし続けているこの件は見て見ぬふりをしているのです。

 改めて、令和2年12月議会において取り上げ、市長の見解を問いました。

====本科議場での発言の概要====

令和2年12月議会一般質問

1.行政経営について
■質問の背景(再掲)

 本市では現在、「行政経営改革」に取り組んでおります。西宮市が16年前から使い始めた「行政経営」とは何なのか、具体的な事業を3つ挙げまして、今日は問いたいと思っております。
 私は、行政経営とは、「将来の社会状況も見据えながら持続可能な財政を確立し、住民福祉の向上のために、限られた資源を最大限に活用しながら最少の経費で最大の効果を上げること。」と言えると思っております。
 そして、現在、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って来年度以降の財政悪化が懸念されております。また一方で、近年、職員数の増加に伴って人件費は増加し続けており、経常収支比率は令和元年度決算で99.6%といよいよ100%に近づき、財政が再び硬直化しています。このような時こそ、今ある資源の中で、いかに課題を解決するかが問われており、単に職員数を増やすことで喫緊の課題を解決するという旧態依然とした発想を捨てなければならないと考えています。というのも、将来の人口減少時代を見据えた時、無造作に市職員を増やすことを厳に慎まなければ、今の大人たちの都合で、今の子供たち、将来世代に重い負担だけを残すことになりかねません。それだけは絶対に避けなければならないという思いで、この項目を取り上げることと致しました。
 その点を踏まえて、以下ご答弁頂きたいと思います。

(イ)公立保育所
■質問の背景

 これまで何度指摘しても市が頑なに改善しなかった政策です。民間保育所等の運営費については国庫交付金や県交付金が収入されますが、公立保育所の運営費については、平成16年度より一般財源化され、現在、地方交付税により措置されています。しかし、コロナ禍によりこれまでも減少傾向にあった地方交付税の一層の縮減も予想され、市の財政状況がますます悪化することが懸念されます。
 そして現在、公立保育所は表4のとおり、正規・非正規を合わせて895名の保育士で運営され、令和元年度の人件費は、約37億1000万円となっています。さらに、先の連携公立幼稚園の対応で保育事業に要する市の職員が増えることとなります。限られた経営資源を有効に活用して行政課題を解決するためには、待機児童対策と同時に、近年建て替えた園の公設民営化も含めて早急に民間移管を進め、人員配置の最適化を図るべきです。
 平成31年3月議会において、保育所民間移管計画が長年棚上げにされ放置されていることを指摘したところ、ようやく3園ある対象園のうちの一つ、今津文教保育所が閉園される方針が示されました。しかし、それも7年先の令和9年度のことです。そして、残る2園については閉園できる見込みは示されていません。

■質問(田中まさたけ)
 耐震化や老朽化対策が必要な市立保育所については、民間に移管することで市の一般財源を抑えながら再整備することが可能となることから、民間移管の対象園を増やすとともに、公設民営化の手法も加えるなど、行政経営の視点で保育所民間移管計画を見直すべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問に対する市の回答
 公立保育所の民間移管につきましては、平成19年7月に西宮市立保育所民間移管計画(案)を策定致しましたが、その後、待機児童が急増したことから、平成21年3月に西宮市保育所待機児童解消計画を策定し、待機児童を踏まえた手法に見直しを行いました。待機児童数が縮減し、定員を超えた受入れの低減が可能となる時期に対象保育所を順次閉園することにしております。議員御案内のとおり、民間移管対象保育所の一つである今津文協保育所につきましては、既に近傍地に開園しております移管先保育所に加えて、さらに分園の整備を行った上で閉園する方針としております。
 一方で、保育所施設につきましては、公立、私立を問わず、総量としての適正配置を検討することが必要と考えております。昨年度は、第2期子ども・子育て支援事業計画において今後の総量の試算を行うとともに、今年度はさらなる保育需要の伸びを踏まえ、試算の見直しを行ったところです。こういった中で、公立保育所については、福祉的ニーズに対するセーフティーネットなどの役割を果たしつつ、今後の保育需要の推移と耐用年数などを考慮して、規模の縮小やその時期について検討を行ってまいります。

■再質問(田中まさたけ)
 職員数に余裕がない中で、今いろいろな行政課題に対応して頂いていることは、一定の理解はしているつもりです。ですのでなおさら、1人でも職員を有効に活用しなければいけないという発想が必要だと思います。
 もう一つは財源のことですが、こちらは、公立保育所の経費の負担については、(平成16年度より) 一般財源化されたということを述べましたが、これまで公立保育所の定員は減るどころか増えている中で、お配りしております資料の表2に示しました通り、平成22年度は104億6,000万円あったのですが、それがどんどん、どんどん、どんどん減り、公立保育所の定員は増えて、(その経費負担は「国から措置されて一般財源となる地方交付税」であるはずですから、地方交付税が増えていてもおかしくないのですが)、地方交付税のほうは減らされまして、令和元年度は平成22年度よりも年間で72億円も減少しているという状況が見てとれます。

 先ほども申しましたが、今後、コロナ禍によりましてさらに地方交付税の引締めが行われる可能性があるという中で、いち早く一般財源の負担を減らす対策が必要と私は考えて、今回質問をしました。
 こども支援局長からも、少しこれまでとニュアンスの違うお答えとして、規模の縮小や、その時期について検討を行うとご答弁を頂きました。少し踏み込んだお答えを頂いたのかなとは思ったのですが、今、職員を有効に活用する、活用と言うと少しおかしいですが、有効に配置するという観点から言うと、市立保育所の民間移管計画の見直しが必要だと私は思うのですが、これは市長にお答えいただきたいのですが、先ほどのこども支援局長の御答弁は、この計画の見直しと理解していいものなのでしょうか。

■再質問に対する市長の回答
 先ほどこども支援局長が答弁したところと思いは重なるわけでありますが、もう少し踏み込んで答弁を致します。
 率直に思いますに、今日の西宮の公立保育所に関する方針、特に民間移管に関しましては、先ほども言及致しました平成19年の西宮市立保育所民間移管計画、そして平成21年の西宮市保育所待機児童解消計画、この二つの存在がとても大きいなと。語弊を恐れずに言いますと、ちょっと引っ張られているなというふうに正直思っております。ちょっと言い過ぎだったかもしれませんが、ただ、待機児童対策が喫緊の課題であることは、この10年間、変わりはないわけでありますが、一方で、その一歩先を見ることが私は必要であろうと思っております。
 10年以上前の計画をずっと未来まで引き続いていくとも限らないであろうと思いますし、また、西宮の財政、これは厳しくなることが予想される中です。私としては、もちろん過去の計画の趣旨、背景は尊重すべきところはしますけれども、今は令和の時代であります。平成21年から10年以上たっており、この10年の間に、国の制度は、幼保の一元化を含む子ども・子育て支援新制度や幼児教育・保育の無償化など大きな変化を遂げております。
 よって、公立保育所の役割は当然あるでしょうが、行政経営の発想・観点も踏まえた公立保育所などの在り方について検討を進めてまいりたいと思います。

■意見(田中まさたけ)
 かなり踏み込んで頂きまして、公立保育所の在り方を見直すということでございました。待機児童の解消というのも非常に重要でありまして、かつ難しい課題だということは実感をしておりますが、そこばかりに手を取られて、民間移管とかそういったところの結論をずるずると先延ばしするというのは、今後、行政経営というのが行き詰まってくるのではないかと思いますので、今御答弁頂いたとおり、前に向いて御検討いただきたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 市長からは少し踏み込んだ回答がありましたが、現場からは相当の抵抗を受けていることが透けて見えます。市民の目から隠れ、見えにくくなっている「現場の抵抗」の理由を追及する必要があると感じます。
 そして、西宮市立保育所民間移管の方針が行政経営の観点で見直されることを、しかもスピード感をもって対応されることを期待したいと思います。

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