これまで、待機児童対策と並行して公立保育所の民間移管を進めるべきと主張し、一般質問で議論してきましたが、市長が変わっても、市は一向に提案を受け入れようとしません。
以下、令和3年12月議会一般質問の内容を掲載する前に、私が行った議論を時系列で整理してみました。それぞれ下線が引かれた部分をクリックするとコラムが開きます。ご参考までにご覧頂ければ幸いです。
平成15年6月から、私の1期目の任期が始まりました。
⚫平成15年12月議会一般質問で議論。
この時の市長は山田市長でした。「公立保育所をさらに民営化していくべきではないか」との私の質問に対して、市からは、「市民、保護者の方から提起されました保育士の配置基準などの保育水準の問題や公立保育所が果たすべき役割、NPO、学校法人など設置者の規制緩和の問題、民間保育所への助成のあり方など、総合的に検討する場を設け、保育サービスのあり方についての方針を取りまとめたい」と前向きと取れる回答を頂いていました。
⚫平成19年7月に西宮市民間移管計画(案)が示されました。
この計画での民間移管の方法は、「保育所の土地(市有地)については、従来の民間移管を行った場合と同様に無償貸付。建物については、無償譲渡とし老朽化による改修等の必要な施設整備の費用は移管先の負担とする。」となっていました。
⚫平成21年3月に西宮市保育所待機児童解消計画が示されました。
この計画の中で、民間移管の方法を見直すとの方針が示され、「緊急課題である待機児童解消のために、民間移管先保育所を先行整備し、受け入れ枠の増大を図る必要が生じたことから、当面、対象3園については公立保育所のままで並存させるものとし、待機児童数の縮減や定員の弾力化率を低減することが可能となる時期に、廃園するものとする。」という、いわゆる先行整備方式にすり替えられました。
その後は、以下の一般質問や質疑において、市はかたくなに先行整備方式にこだわっています。
⚫平成24年3月議会(包括外部監査報告書質疑)
私の質疑に対して、包括外部監査をしていただいた監査人の方も「待機児童の解消をしながら、民間委託も同時並行的にやっていけるんではないかなと考えております。確かに、一定の時期が来たら待機児童の解消が絶対できるかというても、なかなかそれもわからないところもありますので、民間委託のほうも進めていかれたらどうかなというふうに考えております。」とお答えになっています。しかし、市は外部監査人の意見すら受け入れない状態です。
⚫平成24年6月議会一般質問
この時は河野市長の時でしたが、市の回答は、「民間移管の対象とした3園のうち朝日愛児館については、本年4月に移管先となる民間保育所を開所しましたので、今後は、廃園の時期を検討してまいります。」という前向きの内容でした。
しかし、一向に廃園されることはなく、今村市長の4年間の時を経て、石井市長になってから、老朽化を理由にして公立のまま建替えられました。
いやいや、老朽化していたから民間移管計画(案)では民間移管の対象園に選ばれていたのですが。。。見事に公務員の人数はキープされ、市の財政はどんどん硬直化が進んでいます。
戻りまして、
⚫平成27年12月議会一般質問
この時の今村市長の回答は「特に建替えに際して、御提案のような当該建替え園の民間移管や、それに伴う定員増を検討することについては、市として十分とり得る手法の一つである」と認めながらも、「当該地域において公立保育所が担うべき役割の明確化や、民間保育所の意向、さらには、将来的な人口動態を考慮した地域における適正配置のあり方等について分析を行う必要がある」という条件付きの回答でした。
⚫平成30年12月議会議案質疑
現在の市長が就任して半年が経過した時です。公立保育所の民間移管を進めるという努力をすることなく、育休の取得促進を理由に、職員定数を増やしたいという条例改正案が提案されました。民間移管が先だと意見を述べ市長の見解を問いました。市長はその質疑に対して、「行政の肥大化になるそうした市長部局における定数増は、私が市長である限り行いません。」と明言され、条例案も議会で否決されて現在に至っています。その代わり、職員定数に入らない公務員である「会計年度任用職員」は増加の一途をたどっており、行政の肥大化が進んでいます。
⚫平成31年3月議会代表質問
上述の朝日愛児館の建替えの予算が提案された際のやり取りです。朝日愛児館の建替えは民間法人に委ねるべきではないかとの問いに対して、「10月から始まる幼児教育無償化の影響等による保育需要の見込みを見きわめるとともに、今後の保育所整備事業等の進捗状況に照らし、判断する必要があると考えている。」と、市はかたくなに民間移管を進めようとしません。
閉園された私立苦楽園口幼稚園の跡地に移転整備された公立保育所
そうこうしているうちに、耐震化が必要と診断された公立保育所14園のうち11園は、約10年の年月をかけて、公立のまま建替えや改修工事が推し進められてきました。
建替えの際に民間に移管して民間法人が整備すれば、市の負担は整備費の4分の1となるため、残りの4分の3にあたるお金を他の政策に活用することが可能となったにもかかわらずです。
また、安井保育園のように、西宮市では過去に公立の建物をそのまま民間の社会福祉法人に移管した事例があります。公立のままとして建替えたとしても、その施設を民間の法人に譲渡することは可能であると考えています。
民間の認可保育所であれば、運営費の4分の3は国と県の補助金が受けられ、その浮いた市の財源で、例えば保育士さんの「給料の官民格差の是正」に利用することで保育士の確保にもつながれば、児童の受け入れ人数を増やせる可能性も秘めていると考えています。
市は、新保育所をどんどん建設しても一向に解決されない「待機児童の解消を優先する」のほとんど一点張りです。なぜ、うまくいかない方法を見直さないのか。なぜ、市民にとっていいことばかりと考えられる民間移管を約15年間も西宮市は進めようとしないのか、理解ができません。
昔は保育所を民営化したら保育の質が下がると言われてきましたが、西宮市では認定こども園を含めると民間の認可保育所が公立の3倍となっている中で、質の悪い保育所が増えているというご意見を頂くことはなく、公立も私立も同等です。そして、行政経営改革を強調し始めた市長に対して、一昨年12月議会で質問しました。
⚫令和2年12月議会一般質問
「民間移管の対象園を増やすとともに、公設民営化の手法も加えるなど、行政経営の視点で保育所民間移管計画を見直すべきではないか」という私の質問に対して、市長は「公立保育所の役割は当然あるでしょうが、行政経営の発想・観点も踏まえた公立保育所などのあり方について検討を進めてまいりたい。」と回答しました。が。。。
そこで、その「検討」の状況についてさらに突っ込んで確認するため、再び令和3年12月議会で取り上げました。
その内容につきましては、次回のコラムに掲載します。